★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK76 > 1049.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-155023-storytopic-53.html
県が基地返還計画 段階的な整理縮小狙う
2010年1月1日
上空から見た米軍普天間飛行場(手前)と嘉手納基地(左奥)。右奥にはホワイトビーチやキャンプ・ハンセン、シュワブなども=2009年12月7日(花城太撮影)
県は12月31日までに、在沖米軍基地の段階的整理縮小を目指す基地返還計画の策定に着手することを決めた。仲井真弘多知事が担当部局に指示した。1月から策定作業に入る。仲井真知事は琉球新報の取材に「沖縄は陸だけでなく空、海も米軍に制限されている。本当に必要なのか疑問のある訓練場もある。基地返還アクションプログラム(AP)のような、整理縮小を進めるための計画が必要だ」と述べ、大田(昌秀)県政時代に議論した米軍基地返還APに代わるような計画策定を指示したことを明らかにした。返還期限や最終的な基地の在り方については今後の議論で検討していく。3月に策定する2030年の沖縄の姿を描く「沖縄21世紀ビジョン」とも連動させる考え。
計画の詳細はこれから協議していくが、各基地が軍事上どのような機能を果たしているかを精査し、その必要性を議論することから始める見通し。基地負担についても、騒音や事件・事故など直接的な被害だけでなく間接的な被害も含め、沖縄全体で受ける負担を洗い出していく予定。
県が段階的な基地返還計画を立てるのは1996年に政府に提出した米軍基地返還AP以来。基地返還APでは、2015年までに計画的かつ段階的に基地の全面返還を目指し、返還時期を基地ごとに3段階に分けて、行程を示した。
ただ仲井真知事は、基地返還に向けた行程や最終的な在り方については「最初から決めているわけではない。議論しながら考えていく」と述べ、検討作業の中で決定する考えを示した。
沖縄本島の基地のほか、久米島、鳥島両射爆撃場などの離島地域、ホテル・ホテルなど海域・空域訓練区域も対象にする。
策定中の沖縄21世紀ビジョンでは、県民が望む沖縄の将来の姿として「大規模な米軍基地の返還が実現し、基地問題がなくなっている」ことを掲げており、返還後の沖縄振興も併せて検討する予定。(与那嶺路代)
<解説>振興含む戦略発信/背景に基地行政“限界”
県が約14年ぶりに米軍基地の段階的な整理縮小に向けた計画を策定することになった。これまで県は基地問題で個別の案件ごとに抗議要請してきたが、政府の対応は鈍かった。基地問題を部分的に取り上げても抜本解決にならないと、仲井真弘多知事が基地行政の限界を感じたことが背景にあるとみられる。
知事は「これまで何度も政府に要請してきたがなかなか進まない。どの基地にどのような問題があるか全体的に整理し直さないとどうにもならないのではないか」と指摘。負担だけでなく経済的要素も含めて沖縄が基地から受ける影響を体系的に整理し、沖縄から戦略的に行程表を描く考えだ。
幹部の1人は「沖縄振興と基地返還は切り離して考えることはできない」と語り、単に基地問題解決を掲げるだけでなく、返還後の跡地利用も含めて沖縄全体の振興を議論する考えを示した。
読谷村ひき逃げ事件では担当課長が米軍に電話で抗議するにとどめるなど、近年の仲井真県政の基地問題への対応は適切さを欠いているとの指摘もある。
別の幹部は「長い間、県は基地に対する主体的な取り組みをしてこなかった」と述べ、幅広い観点から検証する必要性を強調した。
大田県政時代に作られた基地返還アクションプログラムは「将来を見据えたこれまでにない計画」と評価された一方で「具体化のための財政的な裏付けがない」「基地返還ありき」などと経済的利害や実現可能性について指摘もあった。新たな返還APでは過去の指摘も考慮した計画の在り方が問われる。(与那嶺路代)