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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110106/plt1101061657006-n1.htm
菅直人首相(64)が近く断行する内閣改造・党役員人事では、「影の宰相」こと仙谷由人官房長官(64)の処遇が最大の焦点となる。世間の常識では仙谷氏の更迭は当たり前なのだが、当の仙谷氏は、政敵である民主党の小沢一郎元代表(68)や野党を口撃するなど権力を満喫。官房長官続投という正面突破や、国会の質疑に出なくてすむ「党代表代行兼副総理」に処遇するという奇策もささやかれている。仙谷氏の“官邸籠城作戦”とは。
「政策実現のために最も力を発揮できるような党と内閣の体制をしっかり整備したい」
菅首相は5日夜のテレビ朝日の番組で、こう述べ、通常国会前に内閣改造・党役員人事を行う事を表明した。時期は党大会翌日の14日から18日ごろまでの間が想定される。
さらに、菅首相は「野党にもしっかりと議論に出てきていただいて…」と述べただけに、野党が審議拒否の理由としている仙谷氏や馬淵澄夫国土交通相を交代させる意向であるとの見方が、永田町では広がった。
実際、仙谷氏については、対立している小沢グループだけではなく、菅グループからも更迭を求める声が出ている。野党が過半数を占める参院の西岡武夫議長も12月28日に岡田克也幹事長と会談した際、仙谷氏の交代を求めた。
それだけに民主党中堅議員は「ガス抜きの意味でも、菅首相は、仙谷氏更迭やむなしの判断に傾いているようだ。仙谷氏は党代表代行などの要職で処遇すればいい」と話す。
しかし5日、仙谷氏は気味が悪いほど元気だった。
午後には、首相官邸2階の大ホールで、約200人の職員の前に「どうもっ」と笑顔で現れ、「今年は菅内閣がいよいよ、有言実行を実現をしなければならない」と強い意欲を語った。
それに先立つ午前の記者会見では、聞かれてもいないのに「気分がネガティブからポジティブに反転したようだ」とあいさつ。続けて、「小沢切り」に奔走する菅首相支持を明言し、返す刀で「菅内閣は衆院で圧倒的に信任されている。私や馬淵氏に対する参院の問責決議を盾に国会審議に応じないという党利党略の戦術を取るなら、国民の信頼を失うことになる」と野党側強く批判。「審議拒否により(菅政権を)衆院解散に追い込むことを国民は望んでいない」と強調したのだ。
その理由について首相周辺の1人はこう打ち明ける。
「要するに仙谷氏を閣内に残留させるという方向で調整が進んでいるためだろう。私の個人的な考えだが、仙谷氏は続投だ。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)や消費税増税も含め、重要案件はすべて仙谷氏が処理してきており、外せば政権はマヒしてしまうからね」
小沢氏に近い民主党若手議員も「仙谷氏は官房長官に居座ろうとしている。自分が居座っても野党の審議拒否は長く続かないとタカをくくり、強行突破しようということだ。そうした傲慢なところが、内閣支持率が下がり、野党の協力が得られない原因なのに。そもそも、仙谷氏は問責決議案が可決される直前まで、『公明党は問責に賛成しないから大丈夫』と豪語していたが、公明党も賛成して可決されたら腰を抜かしていた。そもそも、見通しが甘い人なんだ」と吐き捨てる。
仙谷氏留任についてはこんな事情を指摘する声もある。
「昨年12月に問責が可決された直後、仙谷氏も官房長官を辞め、幹事長や国会対策委員長などに横滑りする事を模索していた。党内でカネと権限を握る幹事長になれば、これまで同様に好き放題ができるという思惑だ。しかし、周辺から『野党に問責された人が幹事長などになれば、与野党間協議などが開かれなくなり、菅政権が立ちゆかなくなる』と指摘され、これを断念。結局、行き場がないため残留しようとしているんだ」(民主党有力筋)
■「闇将軍」「傀儡政権」の批判必至
しかし、仙谷氏が官房長官残留となれば、野党側が強く反発するのは間違いなく、国会冒頭から審議拒否が続くのは間違いない。その結果、菅政権が国会冒頭でクラッシュする可能性も指摘される。そのため、菅首相も野党側の出方をみながら最終判断する意向のようだが、仙谷氏を官邸内に残留させるための新たな奇策も浮上している。仙谷氏を党代表代行にしたうえで、無任所の副総理を兼務させるという案だ。
この奇策について民主党有力筋は「野党は『仙谷氏や馬淵氏が出席する審議に応じない』というスタンスなので、国会審議に出てこない代表代行兼副総理なら、野党の審議拒否理由にならないうえ、政権中枢に残せて一石二鳥、という理屈だ」と説明する。
しかし、そうなれば「闇将軍」「傀儡政権」といった批判が強まるのは間違いない。
最近、民主党議員に首相を支持する理由を問うと、「首相をコロコロ代えるのはよくない」「他に適任者がいない」という、いわば消極的、消去法的なものばかりだ。仙谷氏が政権中枢に残るなら、理由は同じ消去法、というオチなのかもしれないが…。
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