http://www.asyura2.com/10/senkyo103/msg/776.html
Tweet |
週刊・上杉隆【第156回】 2011年1月6日
2011年、世界中で進行するメディア革命に“抵抗勢力”菅首相と記者クラブメディアは抗しきれるか
1月4日、菅直人首相が年頭会見に臨んだ。
元日の朝にも述べた「開国元年」というキャッチフレーズを繰り返し、TPP参加を視野にも入れた貿易自由化の促進を訴え、外に向けた「開国」を強調した。
「開国」に異論はない。いや、その宣言は遅すぎたとさえいえる。
インターネットメディア等の台頭により、世界中で社会構造の転換が図られている。そうした現実の変化からも、居心地のよい「鎖国」に閉じこもっていた政治家やメディアの方が遅すぎたのだ。
この20年間、「情報公開」、「オープンな政治」を訴えてきた菅首相だが、政権に就いた途端、まるで過去の自分を呪うかのように真逆の政策を採ってきた。
先月までの約3ヵ月間、一切記者会見を開かないという酷い対応で情報管理に励んだのみならず、この日の会見では再度、会見時間を短縮させた。
鳩山首相時代は、いつも約1時間ほど行っていた首相会見は、菅首相になって40分に減らされ、さらにこの日、ついに30分になってしまった。
しかも、普段から「ぶら下がり懇談」で首相に接する機会の多い記者クラブメディアにばかり質問が当たる。結局、ネットとフリーランスの記者からの質疑は、私の行なった一問だけであった。
〈――首相は野党時代から情報公開、そして今クリーンでオープンということを訴えていますが、情報公開の観点から官房機密費の公開、記者会見のフェアなオープン化ということを約束したが、これを守っていただく時期はそろそろきたのではないか。この件に関してやるのかやらないのか〉
「会見のあり方について何度かこの場でご質問といいますか提案をい ただきまして、私もできるだけオープン化すべきだという姿勢で私自身の会見は臨んでおります。また閣議あるいは閣僚懇の席でも各閣僚にできるだけそういう 姿勢で臨むようにということを申し上げているところです。官房機密費の問題はいろいろな経緯、いろいろな判断がありますので官房長官と十分考え方を合わせて対応していきたいと思っております」(産経新聞WEB要約版)
ちなみにこの質疑応答を掲載したのは、産経新聞ウェブ版だけである。残りのすべての新聞・テレビは黙殺した。替わりに何を報じたのか。
案の定、その日の新聞は、国家や国民に直接関係することではなく、小沢一郎というどうでもいいひとりの政治家のことばかりを報じたのである。
〈「小沢氏進退 自ら判断を」〉(毎日新聞夕刊トップ)
〈「小沢氏は出処進退を」〉(朝日新聞夕刊トップ)
あまりにレベルが低すぎてもはやコメントする気にもなれない。
情報公開という国民の利益に直結する政策についての首相のことばよりも、政治部的な政局報道が優先するこの国のメディアらしいではないか。
もはや、こうした愚かな行為が隠しきれなくなっていることを彼らは知らないのか。首相官邸のHPでさえ、首相会見の動画をすぐにアップしているというのに……。
この際、政治家以下の感性しか持ち得ない記者クラブメディアの愚行は無視することにしよう。
■情報公開の大波は日本にも――秋葉忠利広島市長のケース
2011年、情報公開の大波は日本にも押し寄せている。愚かな「記者クラブごっこ」に付き合っている暇はない。なにしろ、そうしている間にも、「メディア革命」は恐ろしい勢いで進んでいるのだ。
たとえば、広島市の秋葉忠利市長は自らの退任会見を「ユーチューブ」でのみ行なうと発表した。
既存メディアを中抜きし、直接、市民に訴えるという方法はいかにも斬新なように思われる。だが、実は、たとえば2年前にオバマ米大統領が始めたように、記者クラブのない世界中で当然のように行われていることなのだ。
〈「広島市の秋葉忠利市長は5日、前日に表明した退任に関する記者会見や取材の要請を拒否し、今後も応じない方針を示した。一方でインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に退任理由などを説明する映像をアップし、報道各社に視聴するよう求めた。
(中略)
投稿映像は「yasuwo53」の登録名で4日の投稿。撮影者や時間、場所は公表していない。
一方で、5日に市政記者クラブが記者会見を行うよう要請したのに対し、秋葉市長は広報課を通して「ユーチューブの映像を見てほしい」と回答。退任 に関しては今後も「会見は開かないし、インタビュー等も受けない」とした。同課によると、5日は新聞社と地元放送局の計4社が個別取材も申し込んでいた。
秋葉市長は退任を表明した4日も「任期が来てやめるだけ」と記者会見を拒否。新聞2社の取材申し入れも受けなかった。一方で地元民放1社が生放送した番組には出演した。
広報課によると、秋葉市長は月2回の定例記者会見は今後も継続する意向という〉(中国新聞ウェブ版2011年1月6日)
■記者会見をめぐり記者クラブ側とフリーランスの対立が先鋭化
また、総務省では、記者クラブメディアとフリーランスなどのジャーナリストたちが、記者会見のオープン化をめぐって激しく対立している。
1月5日、動画中継を行ったフリーライタイーの畠山理仁氏に対して、記者クラブ側が中止を要請、同席したジャーナリストの田中龍作氏が「ジャーナリストがジャーナリストを排除して恥ずかしくないのか!」と声を荒げる一幕があったという。
さらにジャーナリストの寺沢有氏が、場合によっては法的手段に訴えると示唆し、片山総務大臣が「両者の間での話し合い」を求めて仲介するという喜劇のような場面もあったという。
いったい既存メディアは、情報公開ということに関してどう考えているのか。
実は、こうした経緯は、記者会見を欠席してオーストラリアでゴルフをしている筆者にもライブで伝わった。
タイムライン上に現れる畠山氏(http://twitter.com/#!/hatakezo)や田中氏(http://twitter.com/#!/tanakaryusaku)、あるいは寺沢氏(http://twitter.com/#!/Yu_TERASAWA)のツイッター上のつぶやきをみれば、ほとんどわかってしまうのである。
時代は変わったのだ。それに対応できていないのが記者クラブメディアであり、そして菅直人首相なのである。
そもそも、菅首相に、情報公開や国民の知る権利に応えようとする意思はあるのだろうか。菅首相は年頭会見でこう言い切った。
「小沢元代表は自分の言ったことくらいはきちんと守ってほしい」
その言葉を聞いて、筆者は菅首相にこう言った。
「情報公開について、先ほど小沢氏に言ったことを、ぜひとも総理ご自身にもやっていただきたい」
もちろん、このくだりを、すべての新聞・テレビメディアが無視したのはいうまでもない。
http://diamond.jp/articles/-/10657
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK103掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。