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菅直人首相が、民主党の小沢一郎元代表に議員辞職を迫り緊迫する政局。その裏で、もう一つの駆け引きが本格化した。焦点は、参院で問責決議を可決された仙谷由人官房長官の処遇だ。首相は13日の民主党大会後に内閣改造、党役員人事を断行、仙谷氏を代表代行など党の要職で処遇したいが、執行部に批判的な勢力や野党は「問責閣僚を党で厚遇するのは本末転倒」と批判する。党と政府を行ったり来たりして批判をかわす「回転ドア作戦」−。果たして奏功するか。(坂井広志)
「政治活動で起訴されるなら政治家自身が過去の例を参照して判断すべきだ」
首相の「小沢切り発言」から一夜明けた5日。仙谷氏は記者会見で、小沢氏に厳しい発言を繰り返した。自らが問責されたことなどどこ吹く風だ。「風格を感じる」(民主党中堅)ほどの落ち着きをみせた。
回転ドア作戦を公言したのは、自身が官房長官候補として取り沙汰される北沢俊美防衛相だった。
北沢氏は4日夜、首相と公邸で約1時間20分にわたり意見交換。“女房ぶり”を発揮した後、5日の記者会見でこう言い切った。
「全員野球なら、内閣から党に人が出て、党から内閣に入るのも考えられる」
首相も同日夜、首相官邸で記者団に聞かれると「いろいろと考えなければと、熟慮中です」と、まったく否定しなかった。
首相が「回転ドア」に執着するのは、仙谷氏が党の要職に就けば、執行部の構図が温存されるからだ。
小沢氏側近は現在の首相の心境をこう推測する。
「菅さんは一日でも長く首相を続けたいと思っているお山の大将だ。党内を押さえるため、仙谷氏だけは失いたくない。別の形でそばに置きたいのだろう」
問題は仙谷氏の後任だ。北沢氏のほか、玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)や、首相側近の江田五月前参院議長が浮上している。いずれも小沢氏に距離を置く人たちだ。
玄葉氏は、平成23年度予算案編成の調整役だったが「修羅場を切り盛りできるか」(首相周辺)と不安視する声がある。だからこそ党の重し、仙谷氏の存在が貴重になる。
勢い込む首相は5日夜、テレビ朝日の報道番組に生出演で挑んだ。たたみかける司会者。40分近く応戦した首相は内閣改造について「最も力を発揮できる、党と内閣の体制を整備したい」と述べ、党人事の重要性を強調した。
仙谷氏の横滑り構想が「その場しのぎ」(小沢氏周辺)なのは確かだ。問責した野党がこれに反発するのも確実で、国会運営上の懸念も残る。
小沢氏に近い議員たちの反撃も続いている。
鳩山由紀夫前首相は5日、北海道室蘭市内で首相の「小沢切り」発言に「小沢氏が決める話で、ほかの人がとやかく言うべきことではない」と激しく反発。輿(こし)石(いし)東(あずま)参院議員会長も同日、甲府市内で「首相の発言が党内の亀裂を拡大することにならないようしっかりやっていくのが私の使命だ」と牽(けん)制(せい)した。
回転ドアが実現するかどうかは、党内力学次第だ。
党の後見人的存在、稲盛和夫京セラ名誉会長は5日、記者団に、失望感をあらわにした。
「政権交代が期待を裏切ることになり大変残念だ」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/110105/stt1101052320008-n1.htm
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