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菅直人首相が「小沢切り」のボルテージをあげてきた。民主党の小沢一郎・元代表に対し、今度は「離党勧告」を上回る議員辞職を半ば公然と要求したのだ。小沢氏が追い込まれているようにみえるが、小沢氏が「必勝の形」を「着々と」築いているという週刊誌報道も出てきた。2011年には「菅VS小沢」の決着はつくのだろうか。
菅首相は年頭会見という節目の場で、「政治とカネの問題にケジメをつける」と強調、小沢氏の名前を出して、「起訴されたら政治家として出処進退を明らかに」と迫った。
首相、事実上の辞職勧告
菅首相は11年1月4日の同会見で、出処進退発言について、小沢氏が議員辞職すべきだという考えなのかと記者に問われ、否定はしなかった。政治倫理審査会への出席要請から始まった小沢氏への強硬姿勢は、証人喚問出席や離党勧告の検討へと高まり、ついに「議員辞職の要請」に至った形だ。小沢氏の起訴は、裁判手続き上「強制起訴」で確実に実施されるものだ。1月中にも起訴されるとみられて、政倫審云々の話は吹っ飛んでしまうことになる。
2010年末には、2人が手打ちを行ったのでは、との観測が流れる一幕もあったが、溝は深まる一方のようだ。
10年12月27日の民主党役員会では、小沢氏が政倫審へ自主的に出ない場合に招致議決することを決めた。小沢氏に近い輿石東・参院議員会長もあっさりその方針を認めた。その直後、菅首相と輿石氏が握手する姿がテレビでも報じられ、さらに首相が同じ日に内閣改造を示唆したことから、人事がからんだ「手打ち」があったのではとの憶測も流れた。翌28日には、小沢氏が条件付きながらも政倫審出席を表明し、こうした一部の見方を強める結果となった。
しかし、菅首相は年明けも「攻撃」の手を緩めなかった。年頭会見翌日の11年1月5日付朝刊各紙は、「小沢切り宣言 首相『勝負どころだ』」(朝日新聞)、「首相『小沢切り』に活路」(読売新聞)、「首相、小泉劇場張りの小沢氏『引退勧告』」(産経新聞)などと、首相の強硬姿勢を報じた。
小沢氏は、10年12月20日に菅首相と直談判した後、「首相は相当、感情的になっていた」と周囲にもらしていた。計算以上の首相の強気に今も戸惑っているのかもしれない。
孫子の兵法と「今年前半はじっくりと」
そんな中、首都圏などの書店に11年1月4日にならんだ週刊ポスト最新号(1月14・21日合併号)は、「小沢一郎が着々と築く 孫子の兵法『必勝の形』」との見出しで、11年の政局展望記事を載せた。
「動かざること山の如し」などの文句で知られる中国の古典兵法書「孫子」の言葉を引用しながら、「『孫子の兵法』の信奉者といわれる」小沢氏の動静を予測している。結論としては「まずは年の前半は政敵に撃たせるだけ撃たせ、その間に自陣をじっくりと築いてから一気呵成に攻めに転じるだろう」ということのようだ。「自陣」に有利な要件として、統一地方選の民主惨敗による執行部への不満の高まりや、公明党とこれまでに築いた関係からくる連携の可能性を指摘している。
「必勝の形」と呼ぶには要素としては弱そうだが、菅首相側も「小沢切り」カードだけで現在の不人気や衆参ねじれ現象を解消できる展望はない。
1月1日にあった「踏み絵」新年会には、首相公邸へ国会議員約45人、小沢氏邸へは同約120人が参加した。数名の掛け持ち組もいたようだ。数の上では小沢氏が「勝った」形だが、毎日新聞によると、小沢氏邸への参加議員は10年正月より47人減ったという。
http://www.j-cast.com/2011/01/05084898.html?p=all
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