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菅直人首相は29日昼、自らが率いる民主党グループ「国のかたち研究会」所属の約30人とともに忘年会を開き、来年の政権運営に自信を見せた。一方、今春に自民党を離党したたちあがれ日本の与謝野馨共同代表と無所属の鳩山邦夫元総務相は都内で会談した。小沢一郎民主党元代表の国会招致をめぐる民主党の内紛は越年することになったが、政界再編に向けた胎動はかえって活発化している。
29日昼の首相公邸。首相は上機嫌だった。盟友の江田五月前参院議長、荒井聡前国家戦略担当相らが顔をそろえたことがよほど心強かったようだ。伸子夫人が国会周辺のイチョウから取ったギンナンを天ぷらにした「永田町揚げ」を振る舞い、ビールをあおり、こう宣言した。
「衆院政治倫理審査会の議決は来年の通常国会の召集前にやるぞ!」
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件などで心身とも疲れ果てていた首相も、小沢氏との対決を通じ、闘争心に火が付いたようだ。その言葉には、政治とカネの問題を通常国会に絶対に持ち込まないという強い決意がにじんだ。
首相は年末年始に外国訪問するのが恒例だが、これも見送った。年末年始は公邸に籠もり、内閣改造、そしてその後の国会運営の構想を練る腹づもりのようだ。元日には東京・世田谷の私邸で新年会を開く小沢氏に対抗するように知人らを公邸に招く。もはや「脱小沢」路線は止まらない。
「首相になると警備の都合で飲み屋に行くのも大変だ。出前でラーメンを取ろうと思ったら『3時間前に言ってくれ』と言われる。それじゃ、ラーメンのびちゃうよ。でも公邸は結構住み心地がいいんだ…」
忘年会で首相はこう語り、「来年も大変だけどよろしく」と結んだ。「まだまだ公邸に住み続けるぞ」。そんなメッセージを込めたようだ。
民主党内には休戦ムードが広がる。連日のように会合を開き、気勢を上げてきた小沢氏を支持する議員の多くは28日中に地元に戻った。
ところが、小沢氏は29日も永田町に姿を見せた。午後4時ごろ、国会内の事務所に入ると側近の岡島一正、川島智太郎両衆院議員が慌ただしく出入りした。1時間20分後、事務所を出た小沢氏は記者団に軽口をたたいた。
「また悪口でも書きに来たのか?」
与謝野、鳩山両氏が会談したのは都内の与謝野氏の事務所だった。将来の政界再編をにらむ両氏だが、路線の違いは徐々に表面化している。
会談で与謝野氏は、27日に破談となった民主党とたちあがれ日本の連立について経緯を説明。「平沼(赳夫代表)も連立入りにOKと言ったんだが、断ってしまった。だからこの話はもうない」と打ち明けたが、なお自民党を含む大連立への未練を残す。
一方、鳩山氏は「今の政権は左翼政権だ」と断じ、協力には首相交代が条件だとの考えを強調した。鳩山氏は兄の鳩山由紀夫前首相とも連携を強めるとともに保守色の強い民主党議員と親交を重ねる。28日夜には小沢氏に近く、保守色の強い民主党の松原仁、小宮山泰子両衆院議員らと会合した。つまり目指すは「平成の保守合同」なのだ。
ただ、両氏で意見が一致したことがあった。鳩山氏が「菅さんは案外粘り腰かもしれない」とつぶやくと与謝野氏はこう応じた。
「きれいなビルが突然崩れることはあるが、ボロボロのボロ屋は案外倒れないもんだ…」
(加納宏幸、今堀守通)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101229/stt1012292301007-n1.htm
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