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マスメディアが伝えない"新聞・テレビの歴史といま"
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新聞・テレビをはじめとする多くのメディアは、日々、世界中で起きている出来事をかいつまんで教えてくれる便利なものです。ビジネスの世界では、朝刊に掲載された内容を把握していることは常識とされますし、学校生活においても、流行しているテレビ番組や芸能人が話題の中心となることも多いでしょう。
このように老若男女問わず、私たち市民の毎日の生活に深く浸透しているメディアですが、あまりにも慣れすぎてしまい、その本質は見えにくいのではないでしょうか。
情報の受け手である市民が「メディアとはいったい何か。その目的は何か。どんな影響があるのか」と、メディアの本質について知っておくのは、生きる上で大きな知恵となります。
なぜかといえば、メディアがさらなる巨大権力と化し、暴走しはじめたとしたら……。日本人は実際、メディアに踊らされて、過去に大きな戦争をしています。当時のメディアは明らかに暴走しました。被害にあったのは、メディアを信用し、何も知らなかった多くの市民です。
現代において、仮にまたメディアが戦争以外にも何らかの方向に暴走をしはじめても、気がつかないことは十分に考えられます。どうして気がつかないのか……それは私たち市民の多くが、メディアの本質をまったく知らないからです。
私たちの生活を守るのは私たち自身です。メディアについて一緒に考えてみませんか?
メディアとは何か?
先にも「メディア」という言葉を多用しました。その意味はご存知だと思いますが、「メディアについて考える」前に、いま一度確認しておきます。
情報を伝達するための媒体(テレビ・新聞・雑誌・電話・手紙・広告・音楽・ラジオ・本・インターネットなど)を、メディアといいます。
しかし、多くの人がメディアという言葉から連想されるのは、特定の少数の送り手が不特定多数の受け手に対して情報を伝達する媒体ではないでしょうか。代表的なものは、新聞・テレビ・ラジオです。これらをマスメディアといいます。
今回は、数あるメディアのなかでも、多くの人にとってより身近な、新聞とテレビを中心に話を進めていきます。(以下、「マスメディア=新聞・テレビ」とします)
新聞・テレビの影響力
みなさんは、いま社会で起きていることを、どのようにして知りますか? 多くの場合、新聞・テレビから情報を得ているかもしれません。インターネットを活用している人も多いでしょう。では、正しい・間違っていると見極める価値観は、どのようにして作られていますか? 両親、家族、友人、また会社の上司から教わることもあるかもしれません。それは一見、マスメディアとは関係ないようにみえます。しかし、 自分は新聞・テレビをみていなくても、マスメディアが作り出した価値観は、周りの人々や社会の常識、または先人の教えとなって、人を介し広がっていきます。人とふれあうかぎり、その影響を免れることはできません。
それほど影響力が大きいにもかかわらず、新聞・テレビで流れる情報は、一方的に偏った情報や嘘や間違いも少なくありません。なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。その原因のひとつには、大手マスメディアを腐敗させる構造的欠陥が考えられます。
新聞・テレビの構造的欠陥@
― 記者クラブ制度 ―
記者クラブという団体があります。この制度は、明治時代に帝国議会の取材を求める記者たちが結成したのが始まりとされる各地にある任意団体です。法的な制度ではないのですが、政府・警察などの公式発表を取材できるのは、この団体に属する大手新聞社とテレビ局の記者のみで、情報の独占をしています。最近、フリーの記者にも記者会見をオープンにする動きがありますが、まだまだ充分とはいえません。
また、記者クラブは、首相官邸、各省庁、警察署内に記者室を持ち、そこを毎日の活動拠点にして、持ちつ持たれつの馴れ合いの関係を政府・警察組織関係者と持っています。この構造が、権力を監視しなければいけない立場にある記者たちが、批判的な記事を書くことをむずかしくしている一因にもなっています。
さらに、各社の記者たちは、記者クラブでの取材後に、みんなで取材内容を確認して一致させます。これは、「メモ合わせ」と呼ばれます。このため、どこの新聞やテレビのニュースも、同じ内容になります(横並び報道)。
このように記者クラブ制度は、記事のネタを取りに行く時間や努力も省ける便利な構造として、大手マスメディアの既得権益となっています。
新聞・テレビの構造的欠陥A
― スポンサー ―
テレビ局の事業収入は、そのほとんどを放送収入(広告収入)から得ています。つまり、CMです。一方、新聞社の場合においても、収益全体の約4割〜5割が広告収入といわれ、かなりの割合を占めています。
あたりまえのことですが、スポンサーに依存するほど、自由な言論はできません。
また、スポンサーからの資金がなければ、テレビ局・新聞社とも継続できません。撤退されては困るので、スポンサーの事業内容を批判することや、意向に反する報道はできないのです。しかし、スポンサーの顔色を窺いながら、真実を伝えることなどできるでしょうか。
当然の結果として、数多くの番組が、高額なスポンサー料を払う大企業や資本家・権力者に都合のよいものばかりに偏ってしまいます。
新聞・テレビの構造的欠陥B
― 大手広告代理店 ―
新聞・テレビ各社が気を使うのは、スポンサーだけではありません。
各企業の広告の依頼を一手に引き受けている一部の限られた大手広告代理店の存在があります。
大手広告代理店は、ありとあらゆるメディア関連企業に関与し、企業主催の公演、広報対策、オリンピック、ワールドカップといった大型イベント、さらに、選挙の際の政党広告、政治家のPR戦略なども手掛けています。
大手マスメディア各社以上に、巨大な権力となった大手広告代理店の意向に背くような内容を報じることなど到底できず、真相を追求するどころか、報道の自主規制さえしているのが現状です。また、大手マスメディア幹部社員の子息の多くが、大手広告代理店に入社していることから、馴れ合いの関係もみてとることができます。
加速する新聞・テレビ離れ
しかし、巨大なシステムとなったマスメディアにもいま危機が訪れています。インターネットの登場以来、テレビの視聴率と新聞購読者数の低下は著しく、若者を中心に新聞・テレビをみない人が増えています。その影響として、広告収入が下がり、記事や番組の制作費が削減されて質が低下し、つまらなくなり、さらに新聞・テレビの人気が落ちていくという悪循環になっています。
マスメディアの衰退は、新聞・テレビの流す情報に異議を唱える人が増えている証拠ともいえます。「マスメディアは、何を伝え、何を伝えていないのか」それが、インターネットで調べてみると、一般市民の私たちにもまる見えだからです。インターネットで多様な情報を得ている人からしたら、新聞・テレビが一部の限られた情報しか伝えていないことは、一目瞭然です。
次に、時代によって新聞・テレビがどんな役割を果たしてきたか、日本のマスメディアの歴史をみていきます。歴史は、マスメディアの現在の体質を、きわめて客観的に教えてくれます。
江戸のメディア=瓦版
江戸時代には、瓦版(かわらばん)という新聞のような一枚刷り(木版)の雑誌のようなものがありました。おもに天変地異や大火、心中など時事性の高いものや政治以外の社会ニュースを伝えていましたが、明治に入ってからは、新聞にとって代わり衰退していきました。
幕末
幕末の開国以来、居留外国人の間では英字新聞が発行されていましたが、日本語の新聞はまだありませんでした。というのも、幕府が出版物を厳重に規制し、新聞の編集・発行の知識と印刷技術がまだなかったからです。
明治元年 − 創刊するも即発禁に!
戊辰戦争で、国内が混乱してくると全国で、「今、何が起きているのか」とニュースを求める声が高まると、英字新聞の発行に携わっていた人達や旧幕臣が、日本語の新聞を発行しはじめ、全国各地で新聞社が立ち上げられました。
もっとも早く発行された「中外新聞」(明治元年創刊)は、部数を急速に伸ばし(1500部)、その成功が後に続く新聞の発行を促したことから “ 日本近代新聞の祖 ” とみなされています。
当時の新聞発行者たちは、旧幕臣など幕府を支持する者が多かったため、記事の内容も薩長中心の藩閥政治を批判するものもありました。これは、新政府の怒りを買い、逮捕・投獄される者まで出ました。以降は政府の許可なしに新聞の発行は、一切禁止となり、生まれたばかりの新聞は、即壊滅、いったん社会から消えたのです。
翌明治2年に新政府は、「新聞紙印行条例」を発布し、検閲を受けることを条件に許可を得た新聞の発行を認めましたが、いずれも政府の顔色を窺うものになってしまったのです。この後、明治3年に創刊された「横浜毎日新聞」は、現代と同じ活版技術で印刷された、日本初の日刊新聞です。
文明開化・明治時代「新聞=政府の御用新聞」
同じく明治3年には、木戸孝允の出資により、『新聞雑誌』が発刊されました。また前島密は、明治4年に『郵便報知新聞』(現・報知新聞)を発行しました。 政治家が新聞を発行し、直接的に世論誘導をしていることが特徴です。これらの新聞には、新政府の広報としての機能のみが求められました。
新聞紙条例=新聞撲滅法
自由民権運動が高まり、言論が活発化してくるとそれまで政府の御用新聞であった各紙も政府に批判的な記事を掲載するようになります。
そのような社会状況の中、明治8年には、 新聞・雑誌の反政府的言論活動を封ずるための「新聞紙条例」が制定されます。 その主な内容は、以下のものでした。
@発行を許可制とする。
A違反者には、罰金・懲役を課す。(社主、編集者、印刷者の権限・責任を個別に明示し、 違反時の罰則などを規定)
B記事に本名(住所・氏名)を明記することを原則とする。
C犯罪者(当時の法律下での犯罪)を庇う記事を禁ずる。
D政府の変壊・国家の転覆を論じる記事、人を教唆・扇動する記事の掲載を禁ずる。
これらは、さらに明治16年に改正・強化されると、全国で355紙あった新聞が199紙に激減し、俗に「新聞撲滅法」とよばれました。
伊藤博文と「朝日新聞」「毎日新聞」
大阪朝日新聞(明治11年創刊)は、当初、政府(伊藤博文など)と三井銀行が資金援助する御用新聞でした。明治14〜26年までの間、政府から極秘の資金援助を受ける代わりに密約を結んでいました。
この密約の重要な点は、『大阪朝日新聞』が政府を表面的に弁護することはなく、「中立ヲ仮粧シテ」みせることでした。これは政府のきわめて巧妙な新聞政策で、当時「多事争論」といわれた様々な言論活動をうまく統制するために「中立」言論を育成し、新聞界での支配権を握るためのものでした。
また明治21年には、伊藤博文の腹心・伊東巳代治が、『東京日日新聞』(現・毎日新聞)を買収し、伊藤系長州閥の御用新聞となりました。
戦争報道でマスメディアに成長
一般の新聞読者の興味を引くものは、戦争報道のような大事件です。
日清戦争(明治27年−)と日露戦争(明治37年−)における戦争報道は、人々の興味を引き、その結果、発行部数を飛躍的に伸ばしました。これを機に新聞は、社会的地位を一気に上げ、マスメディアとしての地位を獲得します。
しかし、戦争報道で獲得した多くの読者を新聞記事に惹きつけておくためには、戦後にも一工夫が必要です。そこで、様々なアイデアが発行部数を維持・拡大するという営利目的で、実行に移されていきました。
三面記事の脚色 − 平時に発行部数を伸ばす手法
戦争のような大事件がないと、新聞はあまり売れません。そこで平時においてもよく売れるように、新聞各社は三面記事に脚色しはじめました。事件にドラマ性を持たせ報道したのです。
よくあった例は、若い男女の心中、強盗殺人事件などを取り上げ、悲劇のストーリー性を強調したり、犯行の残忍な描写をすることです。こうして、読者の興味を惹きつけました。これは、今でもよく日常的に使われている手法で、現代の私たちにとっては、ごくあたりまえの事件報道ですが、この頃から用いられてきた古典的な脚色技術です。
さらにこのような三面記事に用いられた手法は、政治・経済・戦争などの報道においても、応用されていくことになります。大事な情報を客観的に伝えたり、戦争の是非を問いかけたり、事件報道の与える社会的影響を考慮することは、すべてが売上アップのために犠牲にされていきました。
メディア・イベントの創出
営利目的の企業化した大手新聞社は、記事を盛り上げるために、三面記事の脚色の他にも独自でイベントを作り出します。
新聞社が、自ら主催して報道する娯楽イベントには、囲碁・将棋などがありましたが、その中で最も代表的なものは、 朝日新聞社が主催した全国中等学校優勝野球大会(現・夏の高校野球)です。高校球児の熱いドラマから始まり、活躍した人気選手がプロ野球界へと、それを追い続ける息の長いファンを獲得する一大エンターテイメントとして成立しています。当時から精神主義、集団主義、勝利至上主義を基調とする「武士道野球」を推奨していました。
新聞社の報道する野球の試合は、「日本人にモラルを教化する道徳劇」である一方、運営する側からすれば、企画運営・経営・報道までを一手に担える巨大ビジネスなのです。
白虹事件・はっこうじけん(大正7年)
− 決定打となる政府による言論弾圧 −
度重なる弾圧の末、政府の御用新聞と成り下がりながらも、生き残った大手新聞各社の中にも、ジャーナリストとして本来の役目を果たす記者たちの存在もありました。
大正7年、シベリア出兵を予期し、コメの買占めによって米価格が暴騰すると、怒った富山の漁村の主婦たちが大挙して米屋に押しかけ、打ちこわしを始めました。「米騒動」です。騒動はたちまち全国に広まり、東京・大阪・神戸などの都市では焼きうち、強奪の大暴動となり、警察のみならず軍隊までが出動しました。この米騒動の波及を恐れ、報道の禁止を命令した政府に対し、各新聞社が言論弾圧だとして反発しました。
政府は、批判的な記事(中国の故事に由来する ” 白虹 ” を引用した記事)を掲載した大阪朝日新聞を発行禁止・会社解散処分に追い込むため、裁判に厳しい態度で臨みました。 これを恐れた大阪朝日新聞は、二度と政府批判をしない、穏健妥当な報道に徹するという「不偏不党」を表明しました。その他の新聞各社も同様の「不偏不党」を掲げ、これ以降、政府を激しく追及するような言論は新聞界から影を潜めていきます。
この白虹事件は、「ジャーナリズムの死」ともいえる重大な出来事だったのです。
大戦中の新聞報道
大戦中、各新聞社は、政府発表をそのまま掲載して、みずからも戦争を煽動するなどして、全国民に多大な犠牲を与えました。なかでも政府の公式見解である大本営発表を受けた新聞各社は、ミッドウェー海戦以降は、あからさまな虚偽報道を行うようになり、勝敗と正反対の発表さえ恒常的に行われました。また、ラジオ放送においても、戦時中のNHKが、戦意高揚目的の虚偽発表は864回にのぼります。 (中奥宏 『皇室報道と「敬語」』より)
そのため大本営発表といえば、今では、「内容を全く信用できない虚飾的な公式発表」の代名詞にもなっています。
戦争責任をとっていない新聞社
多くの国民が貧困に苦しむ敗戦後においても、大手新聞各社は、戦時中の虚偽報道を反省することはありませんでした。
朝日新聞は、敗戦後当初、上層部はほとんど辞職しようとしませんでした。昭和20年8月の敗戦、3ヶ月後の11月にようやく、「国民と共に立たん」という社告を掲載し、社長以下重役が総辞職しましたが、数年後には、辞職したはずの村山社長は会長に復帰、さらにその後には社長にまで復帰して、昭和39年まで経営の実権を握りました。
また、読売新聞社では、当時社長であった正力松太郎が、GHQから戦犯容疑指名を受けた4ヶ月後にようやく辞任することを表明しました。しかし、昭和26年には、社長に復帰し、昭和44年まで経営の実権を握りました。虚偽の報道を続け、国民を欺き、戦争へと駆り立てながら、会社は潰れることなく、現在も存続しているのはなぜでしょうか。新聞社にまったく戦争責任に対する意識がないことは明らかです。
そして、戦争責任をとらない大手新聞各社が、戦後の日本において、テレビ局を設立していき、さらにマスメディアとしての力を獲得していきます。
テレビによる戦後の日本統治
敗戦後は、武器を持ったアメリカの進駐軍が日本全土に駐留し、治安の維持を確保していました。そして、昭和27年にGHQ(連合国総司令部)が撤退した後は、CIAなどのアメリカ政府の情報機関が代わって対日政策の主導権を握るようになりました。その情報機関が主導した日本支配計画として導入したものが、日本のテレビ放送でした。
ですから、日本のテレビ放送は、歴史の由来からすれば、アメリカによる「日本国民・支配装置」といえるものです。そのため、日本の当時のテレビシステムは、すべてアメリカ式のものが流用されています
当時のテレビ番組は、反共産主義的な内容や、アメリカが憧憬の的になることを促す内容が意図的に放映されていました。それは、進駐軍が撤退した後も、日本国民が、親米感情を持ち続け、当時脅威であった共産主義に感化されず、日本が親米国家であり続けるため、心理作戦として必要とされるものでした。
テレビの歴史 正力とCIA
正史では、日本初の民放である日本テレビの創設は、「日本のテレビ放送の父」といわれる正力松太郎個人の功績とされてきました。
しかし、2000年に日本帝国政府情報公開法がアメリカで制定され、機密扱いとされてきた過去の重要書類が一般公開されました。早稲田大学教授・有馬哲夫氏は、アメリカに渡り、国立公文書館に眠っていた474ページにも及ぶ機密ファイルを調査し、 元警察官僚で、大物政治家の正力松太郎が、テレビを通じて親米世論を日本国内で形成するためにアメリカ政府の諜報機関であるCIAと協力関係にあったことを明らかにしました。 その内容は著書の『原発・正力・CIA』『日本テレビとCIA』に詳しく記されています。
CIA(アメリカ中央情報局)とは
対外諜報活動を行うアメリカ合衆国の情報機関の代表格が「CIA」です。CIAは、外国反米政権を倒すためのテロ組織を支援することや、外国の親米政党に対する秘密援助も行います。政府が公的に手を下せない “ 裏稼業 ” に関わっている組織です。そのため、「クーデターメーカー」とよばれることもあり、反米国家のイランなどからは、「テロ組織」に指定されています。
政治家、軍人、NPO活動家、宗教団体、留学生、芸能人、外国人など様々な身分・職業に偽装させたエージェントを世界各国に配置しているといわれます。末端のエージェント・職員は、自分の活動の目的の全容を開示されておらず、虚偽の説明を受けているようです。
CIAは、アメリカの覇権の維持拡大を最終目的として、外国の政府と同国内の反政府勢力の双方に介入し、政策決定をコントロールする巧みな手法を用います。どういうことか簡単にいうと、まずアメリカの支配対象国内に、あえて左翼・右翼・学生運動・宗教団体などの反米集団を育成します。そして、軍事介入ないし戦争のきっかけを作り出し、その後に支配体制を構築するという長期的な計画を世界各国で実行しています。これは、日本においても例外ではありません。
<日本政府中枢との関係>
日本占領期から、児玉誉士夫、笹川良一(右翼)、岸信介(首相)、緒方竹虎(自由党総裁)、辰巳栄一(元陸軍中将)、田中清玄(左翼)、などをエージェントとして、設立期の自民党にも活動資金を提供しました。ゆえに自民党には基本的に親CIA、またはエージェントが多いといわれます。(角間隆著『ドキュメント日商岩井』、川端治著『自民党 その表と裹』より )
日本の指定暴力団ともコネクションを持ち、左翼学生運動の資金提供にも関与しています。(森川哲郎著『日本疑獄史』より )また、国内の大手宗教団体への関与も指摘されています。
大手マスメディアでは、ほとんど出てくることがないCIA。ゆえに、その存在を知らない一般市民も多数いることでしょう。その事実は、受け入れがたいことかもしれません。しかし、早稲田大学教授・有馬哲夫氏は以下のように述べています。
「政府やスポンサーや圧力団体がメディアにいろいろ働きかけるのは、どこの国でも当たり前のことだ。一国の外交部門や情報機関ともなれば、少しでも自国に有利な世論を作り出すよう対象国のメディアを操作しようと全力を尽くすのは当然だ。この事実に衝撃を受ける日本人が今日いるとすれば、それは平和ボケというものだ」 −有馬哲夫著『原発・正力・CIA』より
メディア史まとめ
さて、江戸時代から現代につづく、メディアの流れをみていきました。今回は、メディア史を簡単に理解するためのポイントだけをピックアップしました。細かいことを出せば、きりがありませんが、明治から昭和にかけて幾度にわたる言論弾圧を経て、段階的に今の企業の存続ばかりを考える体質が定着しました。
三面記事の脚色やイベントの主催にはじまり、戦時下の戦意高揚報道でさえ、新聞の売り上げをいかに伸ばすかという営利目的で行われてきました。つまり、権力を監視し、社会を正しい方向に導いていくという私たちが抱く「公正なマスメディア像」などは、生き残った大手新聞社には、ありえない幻想なのです。
むしろ、新聞という公的要素が強い媒体を、ときの政治家はうまく利用して、国民を思い通りに操ることばかりを考えてきました。新聞社は、政府とがっちり手を組んで、企業として繁栄してきました。戦中・戦後には、日々の食べものに苦労する国民に倹約を訴える一方で、新聞社は巨額の富を得ていました。
その大手新聞各社が、戦後のアメリカ統治下のもとでテレビ放送事業を創設しました。テレビ局は、新聞社の体質をそのまま受け継ぎ、権力者の御用機関として機能する一方で、さらなる利益を追求し、現在に至っています。
このように歴史を検証してみるとわかるように、大手マスメディア各社も他の企業と同じような一企業にすぎません。だから、「客観・中立・公正」な報道など、期待すべくもありません。「いくら、政府やスポンサーに頭が上がらないにしても、ニュースは事実を伝えているだろう」という人もいるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。世論を操る側からすると、ニュースこそが一番利用したいものなのです。
戦後から続く、アメリカの影響下にある日本のマスメディア。敗戦後65年も経ち、アメリカによるマスメディアに対する影響を肌で感じる人は、少ないでしょう。
戦後当時のアメリカ政府・心理戦局文書には、こうあります。
「ニュース素材の提供は、いかにも作為的に行われていると日本人に気づかれないように細心の注意を払ってなされなければならない」
私たちが、すぐにそれとわかるような情報操作は、情報操作とはいえません。まさに想像もつかないほど自然に、巧妙になされていることでしょう。なぜなら、70年前、私たち日本人が、バケツリレーや竹槍訓練をしているときに、彼らはすでに核分裂の実験をしていたのですから。その差が、今も寸分変わらないはずだと想像するのは難しいかもしれません。その想像力のなさが、巧みな情報操作に気づくことを難しくしているのでしょう。
ちなみに、海外からのニュースは、すべて「ロイター通信」と「AP通信」という通信社から、国内大手マスメディア各社を通して、私たちの耳に届けられます。ロイター通信と日本のマスメディアの関係は、明治期から始まって、今に続いています。しかし、「ロイター通信」と「AP通信」という企業は、それぞれロスチャイルド家とロックフェラー家という一部の巨大財閥が所有する企業です。その情報が、彼らに都合のよい世論誘導に使われていないとは到底考えられません。
(ロスチャイルド家とロックフェラー家に関しては、THINKERのホームページ内にある「戦争について考える」をご参照ください)
信用できない世論調査
新聞・テレビからの情報を判断する上で、もうひとつ注意したいのは、マスメディア各社などが実施する世論調査です。世論調査とは、無作為に選ばれたある一定数の人々から意見を収集し、世論の動向を調べる事をいいます。
政治家の発言や新聞記事やニュース番組において、まるで世論調査の結果が、民意であるかのような主張がしばしばみられます。しかし、世論調査には、実際の世論よりも誇張された傾向があると指摘されます。その原因となっているのが、「重ね聞き」「言い回し」問題です。
ある質問に対し、「わからない」と答えた回答者に対して、「あえて言えばどちらですか」と聞くことを「重ね聞き」といいます。これを行えば、より多くの回答者をYES NOにふりわけることができます。
また、例として「○○内閣」の支持・不支持を調べる際に、「○○“改造”内閣」の支持・不支持として質問することで、回答者にいいイメージを刷り込ませるなど、言葉を巧みに使って誘導することを「言い回し」といいます。
これらの手法が、あてにならない例として、2008年8月の内閣に関する世論調査があります。新聞大手3紙と日経によるもので、同じ時期に同じ調査方法で実施したにもかかわらず、各社の結果に最大で約20%の開きが出ました。
多くの人が、公正なデータだと信じている世論調査は、その報道を知った国民の考えをさらに誘導する二次的効力を持っています。 “ みんなと同じ ” であれば、安心する日本人の特性が働くからです。
世論調査を巧妙に利用して、世論誘導をしているなどと信じたくありませんが、過去(メディア史)をみる限り、そのように使われてきたことが多いのが現実です。世論調査は、鵜呑みにするのではなく、世論誘導に使われている可能性のあるものとして捉えるのが賢明でしょう。
新聞・テレビが生みだす罪 〜そこそこの自由〜
近年、テレビや新聞で、 “ BPO ” という言葉がよく持ち出されるようになりました。BPOは、「放送倫理・番組向上機構」という団体ですが、NHKと民放連、民放連加盟会員各社によって出資、組織されている任意団体です。視聴者の基本的人権を擁護するために設立されており、やらせ番組や人権侵害など、放送倫理に違反していないか調査し、勧告・見解しています。
視聴者である市民は、BPOのような団体があることで、テレビ業界に自浄作用があるようなクリーンな印象を持ちますし、日本のテレビ番組の質を確保してくれる存在に感じます。しかし、そもそも何を基準に、勧告・見解を示しているのか、非常に曖昧で、逆にBPOに指摘されなかった番組は、視聴者にとって何も問題がないように映ります。また逆に、視聴者に伝えなくてはいけないような重要な情報をマスメディアが意図的に伝えなかったときには、何のお咎めをするわけでもありません。
私たちは、北朝鮮の国営ニュース放送を目にするとき、「自由のない国とは、こういうものか」と、その誇張された偏向報道ぶりに違和感を感じます。しかし、私たちが得ている言論の自由とは、どれほどの自由でしょうか。
平均的な日本人の多くは、日本は言論の自由がある国だと思っています。しかし、マスメディアの世界には、決して口にしてはならない、いわゆる “ タブー ” が存在します。ニュース番組の出演者は本心をどこまで話すことが許されているでしょうか。あるコメンテーターは、朝の情報番組のコメントにまで、用意された台本があることを公言しています。番組を見ている私たち市民も、心のどこかで「テレビには本音と建前がある」と暗黙の了解をしているのではないでしょうか。
日本国憲法第21条にて、「言論の自由」は保障されていますが、もしかすると、私たちは「言論の自由」を得ていると錯覚しているだけかもしれません。それは本物の「言論の自由」ではなく、閉鎖的な国と比べたときにある「そこそこの自由」に過ぎないのです。
マスメディアとの幸せな付き合い方
− テレビ・新聞は、私たちを幸せにしているか? −
テレビ・新聞では、若くして偉大な成功をなしとげるアスリートが持ち上げられ、バラエティ番組ではセレブタレントや流行りのモデルが物欲をかきたて、グローバルに活躍している人が、「あなたももっとがんばりなさい」と声高にいいます。マスメディアでフィーチャーされる人をみて、その努力に勇気づけられることもあるでしょう。
しかし一方で、この不景気のさなか、必死で働いても生活が苦しい人々に対して、焦りや格差の実感をかき立てているのも、また事実ではないでしょうか。他人と自分を比較することを助長し、競争社会の歯車にすべての人を巻き込もうと、駆り立てている側面もあると感じざるを得ません。
そもそも私たちを生き苦しくするような情報や価値観ならいらないのです。もはや情報を得るだけならば、新聞・テレビである必要はないのですから。本来、さまざまな個性があることは自然で、テレビが押し付けてくる価値観がどんなものであれ、翻弄される必要は全くないのです。
ひとりひとりの人間が個性を持っていて違うように、人それぞれに幸せの形も違います。
テレビや新聞をみていて、自分が幸せでないのなら、見ない方がよいのです。
アメリカ第3代大統領のトーマス・ジェファーソンの言葉にこうあります。
− 「何も読まない者は、新聞しか読まない者より賢い。なぜなら、嘘を信じる者より真実に近いからだ。」
さいごに
最近(2010年3月末現在)、原子力に関するニュースを目にする機会が多くなっていることに気づいていますか?
「2030年までのエネルギー政策の指針となる『エネルギー基本計画』の原案が明らかになった。二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために、十数基の原子力発電所を新増設することや稼働率のアップを明記……」(3月20日 時事通信)
また、CMや新聞広告で、「原子力発電は、リサイクル可能でCO2を出さないエネルギー」として、頻繁に宣伝されています。
また、過去に「核の密約があった」という報道も話題になりました。
地震大国の日本において、また世界で唯一の被爆国である日本において、原子力や核の話題が日常的になってきています。国防論という意味での核の保持を支持する意見もありますが、それでも安全性については十分に考慮し、慎重にならなくてはならない問題です。そして、原子力や核という言葉を頻繁に耳にすることで、ほんの少しずつかもしれないけれど、着実に戦争できる体制へと歩みを進めている可能性が否定できないことを危惧しています。
なぜなら、歴史をふりかえったとき、新聞は購読者数を伸ばそうと意図的に大衆が気づかないうちに準備を進め、世論を巧みに誘導し、戦争へ導き、戦争報道によって、企業として大成長してきた過去があります。つまり、 戦争が起きれば、大手マスメディア各社は儲かり、存続できるわけで、そのためマスメディアは右傾化しやすいといわれます。
いま、マスメディアは、存亡の危機に立たされています。異常なまでの原子力や核という言葉のオンパレードが、大手マスメディア各社による企業戦略と、武器やウランを買ってほしい外国からの圧力によるものではないかと、深く見極める必要があります。今後、新聞・テレビをみるうえで、ぜひとも注意してほしいこととして、最後に記しておきます。---------------------------------------------------------------------------------------------------参考文献:
『昭和史を動かしたアメリカ情報機関』有馬哲夫 平凡社新書
『メディア史を学ぶ人のために』有山輝雄 竹山祥子編 世界思想社
『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』有馬哲夫 新潮社
『日本マスコミ「臆病」の構造 なぜ真実が書けないのか』ベンジャミン・フルフォード 宝島社文庫
『輿論と世論 日本的民意の系譜学』佐藤卓己 新潮選書
『情報戦に勝つ技術』長谷川慶太郎 幻冬舎
『テレビは見てはいけない』苫米地英人 PHP新書
『原発・正力・CIA』有馬哲夫 新潮新書
『偽装報道を見抜け!世論を誘導するマスメディアの本質』高橋清隆 ナビ出版
『秘密のファイルCIAの対日工作 上・下』春名幹男 新潮文庫
『読んでびっくり・朝日新聞の太平洋戦争記事』安田将三 石橋孝太郎 リヨン社
インターネット百科事典『ウィキペディア』−日本の新聞・瓦版・新聞紙条例・阿部定・記者クラブ・正力松太郎・CIA
http://getnews.jp/archives/12086
http://diamond.jp/series/admin_change/10005/?page=7
http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/masmedia.htm
http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-122.html
http://mchd7w4hh.hp.infoseek.co.jp/html/dentsu_taboo.txt.htm
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