菅・小沢会談が持たれた。菅首相が小沢氏に政治倫理審査会への出席を要請したのに対して、小沢氏はそれを拒否した。新聞によると「政倫審に出てほしい」「議決があっても出ない」の押し問答を１０回以上繰り返したそうだ。最後には、首相は証人喚問にまで言及したと報じている。もし事実なら、菅氏は人の上に立つ資格がない。

今は、民主党内の内ゲバなどやっている時か、と思っている国民の方が多いだろう。今やるべきことは１１年度予算編成であり、巷に溢れる失業者や来春大学や高校を卒業する若者に働く場所を与えることである。菅・仙谷内閣がやっていることは、７０年代の学生運動と同じだ。全共闘が幾つかのブントに分かれ、連合赤軍のように仲間内で殺し合いをしたが、それと同じようなことを国政レベルで行っている。

マスコミが報道するように、小沢氏が「政倫審」を作った。だから「政倫審」とは何か、その趣旨も運用も十二分に知っている。だが、マスコミの既得権益を認めない小沢氏を政治の表舞台から追い払いたい彼らは、「自分が作った政倫審なのに、小沢氏は何故出席を拒むのか」と批判する。菅・仙谷内閣は、その煽りに便乗しているが、それは違う。小沢氏は政倫審の精神を知るから出る必要がないと言っているのだ。

政倫審の設立精神は、司法の手を煩わすのではなく、政治の中で自律的に相互チェックすることにある。また、他に出席を要請する場合は、規定第２条に、「申立書に議員が行為規範等の規定に著しく違反していることを明らかにした文書を添えて、これを審査会の会長に提出しなければならない」と定めている。菅はこれらのことを知らないのだろうか。知っていて言うのなら、パフォーマンス以外の何ものでもない。

過去８人の議員が政倫審に出席したが、全員が自ら申請した。誰一人として公判を控えて申請した者はいない。つまり、自らの潔白を証明するために自ら申請したのだ。処が、検察審査会が、司法の場で「シロクロ」を着けろと議決した。この議決に疑義があった３日後に小沢氏が「国会で決めた決定に従う」と記者団に語ったことを取り上げ、菅は小沢氏に出席を要請したそうだ。だがその時と、今は事情が違うだろう。

最高裁が検察審査会は準司法機関、議決は行政機関の決定ではないと判断した。ここで完全に司法の問題になった。三権分立である日本では、小沢氏の言うように立法府の自律機関である政倫審の手を完全に離れた。小沢氏は自らの潔白を司法の場で明らかにすることになった。これが本筋である。こう云うと、では証人喚問だとか、刑事責任と政治家の倫理・道義的責任は別だと、テレビで宣う輩が出てくる。

証人喚問では、小沢氏は起訴されることが決まっているのだから、全て証言拒否することになる。そうなるとマスコミは「疑惑が深まった」と書きまくるだろう。それが菅氏の狙いなら、何も言うことはない。では、政治家の倫理・道義的責任とは何だ。テレビで宣う輩の話では、秘書が３人も起訴されたこと、土地を保有していること、それに政治献金を「小沢氏だけが」が潤沢に持っていることなどらしい。

大久保秘書の西松ダミー献金事件は、実質的に検察の敗訴。陸山会土地取引事件は、３人の秘書がいずれも無罪を主張しており、大久保秘書の検面調書は、でっち上げ専門の前田元検事の調書であることをマスコミは全く報道しない。だが、菅氏は知らないはずはないだろう。おそらく野党の多くの議員も知っている。３人の秘書が無罪判決になる可能性が高いから、今のうちに小沢氏を叩けが、野党の戦略だと思う。

土地の保有や、政治献金が他の議員より多いなどは、ヤクザの言いがかり。自民党町村議員のように自らの政治団体が１０００万円で購入した土地を、６００万円で取得するようなことをしてはいない。また、政治献金を小沢氏より多く手にしている議員は多数いる。そのような政治家を含め、政権交代を懸けた昨年夏の総選挙で、多くの立候補者に選挙資金を渡した政治家がいるか。それのどこに問題があるのだ。

今週発行の週刊ポストで、渡辺乾介氏は「政治とカネ」の問題について、ネット市民は自ら調べ「小沢さんは悪いことをしていない」と判断しているのに、民主党議員たちは完全に後れをとっていると指摘している。菅氏を含め議員たちは、事実はどうなのか、自分の目で納得するまで調査したのか。マスコミの報道を鵜呑みにし、そしてマスコミの後ろから石を投げているのと違うか。（以上渡辺氏の言を引用）

昨年の暮れは、国民は政権交代による高揚感に満たされていた。だが、今年は暗い気持ちで年の瀬を迎えようとしている。この半年、国民は菅・仙谷内閣に「あきれた」状態であった。だが、今やこの内閣は「怒り」をぶつける対象になりつつある。最後に今一度書くが、今は内ゲバをやっている時ではない。「国民の生活が第一」の旗を踏みにじるようなことをやるなと強く言いたい。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=101730
　

コメント
01. 2010年12月25日 05:30:28: PIvCcYcOwA 内ゲバの認識は間違い。菅は内の人間ではない。今回の立ち位置、言動、行いすべてが内側の人間ではないことを示す。 ここでいう内側とは昨年、国民の生活が第一を掲げて政権交代を果たし、その政策を実現しようとする勢力に味方をする人のこと。

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