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選挙に不利だからと、負担増の問題を避けて通る。そうしたやり方では、いつになっても財源を確保できず、国民生活に責任を負う政権政党とは言えないのではないか。
失望感を誘うほど、社会保障に関する菅政権と民主党の政策の迷走ぶりはひどい。このところ特に目立つのは、医療や介護の財源に関する先送りの姿勢である。
民主党が政権公約に掲げていた後期高齢者医療制度の廃止は、その典型例だ。新制度に移行するための法案の成立を先送りする方向で検討が進んでいる。新制度は小手先の対策にすぎないが、それすらも踏み切れない。
主な理由は、民主党内の反対である。厚生労働省がまとめた新制度案には、医療費の窓口負担を引き上げたり、保険料の軽減措置を縮小したりする内容が含まれている。これに対し、党内には、来春の統一地方選を心配して、反対の声が強い。
介護保険も同じような構図が見える。厚労省は、審議会が提案した利用者負担増の法案化をすべて先送りする方針だ。これも民主党内の反対を踏まえた動きで、やはり選挙を意識したためというのだから、驚くというよりもあきれ返ってしまう。
高齢者医療制度を放置し続ければ、暫定措置として実施している高齢者の負担軽減策もそのまま延長される。高齢者にとってはありがたいが、財政はますます悪化し、若い世代の負担が増えることになる。
介護保険では、保険料の上昇を抑えようとして、都道府県にある積立金の取り崩しのみに依存する方針だ。これも負担の先送りであり、恒久財源の確保とは言えない。
政府はさきに、税と社会保障の一体改革案を来年6月までに示す方針を閣議決定している。その基本姿勢はよいとしても、当面の負担増に反対したり、先送りを正当化したりする言い訳に一体改革を使うのでは、本末転倒もはなはだしい。
医療や介護を支えるのは、保険料と自己負担、そして税金しかない。前の二つを増やせないから公費投入のかさ上げが必要だというのなら、増税の覚悟を国民に説明して回るのが政府と与党の仕事のはずだ。
とりわけ重いのは、党の政調会長を兼ねる玄葉光一郎国家戦略相の責任だ。これ以上、選挙目当てで政策決定をゆがめないためには、ただちに党内で増税など財源の確保に向けた真摯(しんし)な議論を始めなければならない。
野党に協議を呼びかけるにも、まず政府・与党が案を示す必要がある。それすらもなく「国民の安心のため、利用料の引き上げを回避しました」などと説明するとしたら、財源なき政権公約の愚かな繰り返しでしかない。
http://www.asahi.com/paper/editorial20101222.html
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