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10/12/23

ニャンとも濡れ手に粟な制度よ

「地方分権」や「地域主権」を金科玉条の如(ごと)く掲げる御仁が居ます。”正義の御旗”を誇示するかの様に。然(さ)れど、以下の事実を知る僕は、手放しで認められないのです。
その昔、公立学校図書館の図書購入費は補助金でした。学級数に基づき算出した補助金を、往時の文部省と大蔵省は全国の自治体に交付していたのです。無論、目利きの司書が存在するか否かで、蔵書の質は異なるとは言え、図書購入以外の使途には流用不可でした。補助金だからです。
が、補助金は使い勝手が悪い、との「正論」に押し切られ、1985年に一般財源化されます。爾来(じらい)25年、現在でも図書購入費として財政措置される普通交付税200億円の2割強に当たる44億円が毎年、他の経費に流用されているのです。
“心智”(メンタリティ)の低い首長や議員が選良として牛耳る自治体では、公務員給与や公共事業へと転用されているのです。補助金と異なり交付税は、その使途を地域住民がチェック出来ないのを”奇貨”として。それは納税者にとって、”奇禍”以外の何物でもありません。
何故か国家公務員には厳しく・地方公務員には優しい民主党は、「一括交付金」を次年度予算の”売り物”としています。与党統一会派を組む新党日本と国民新党は先月来の予算策定の会合で政府に対し終始一貫、野放図な一括交付金は、敵たる野党に塩を送るが如き、と諫言してきました。
早い話が一括交付金とは、何でも御随意・御自由にお使い下さい、と国から自治体に”逆献上”する予算。オイラの政治力で歩道の整備が公民館の補修が実現へ、と春の統一地方選を控えた首長と議員が自慢するお手伝いを、お人好しな民主党は買って出たも同然。
政権交代直後は民主党へ秋波を送ったものの、心情的にも体質的にも元来は自由民主党な保守系無所属の首長と議員にとって、ニャンとも濡れ手に粟な制度。だから、この一点に限って、礼賛するのです。
愚かな話です。今後20年間で人口が1700万人も急減する超少子・超高齢社会ニッポンの在るべき姿も示さぬ儘(まま)、全てを自治体に権限委譲したなら、パスポートの発行と管理以外に何も行わぬ・行えぬ政府の出現。如何なる社会を再構築するか、その哲学も理念も覚悟も気概も持ち合わせぬ儘、宰相の座に固執するだけの人物を戴く「仙菅ヤマト」内閣の悲劇です。

カテゴリー：日刊ゲンダイ にっぽん改国

コメント
01. 2010年12月22日 23:55:48: PPAJr6WqwQ 河村市長や良くも悪くも橋下知事などの地方改革と併せて行わないと、今度は地方公務員の天国となる。 でも補助金がいいとは思わない。
02. 2010年12月23日 08:18:53: QmF1B8Oo56 田中さんの言うとおり。 たとえば八ッ場ダム。これ、地方にまかせてたら地方のボスの思い通り。 国のヒモがついているからこどチェックが効いたのだ。 地方分権なんて国民にとって良いことなどひとつもない。 Ｂ層国民にわからないのはともかく、阿修羅の良質な閲覧者にどうしてそれがわからないのか。 地方分権って、要するに日本の切り売りですよ？ 大前研一が言っていたように北海道はロシア経済圏、九州は中国経済圏、近畿は韓国経済圏、関東はアメリカ経済圏というように、 実質、さまざまな国家権限を各国に売り払うわけです。 そのための外国人地方参政権であり、人権擁護法案なんです。 だれも気がつかないようだけど、 地方分権、外国人参政権、人権擁護法案、これ三つでセットの日本売国法案なんですよ。 小沢さんを謀略に落とそうとしている勢力もひどいが、小沢さんの言う地方交付税の撤廃も、これまた売国的な悪法なんです。 小沢さんだからすべていいというわけにはいかないわけで、わたしたちは是々非々でいのぞむべきでしょうね。
03. 2010年12月23日 12:02:21: FfYrDONfcA 国民が目覚めて「国の政治、地方の政治」に関心をもたねば、何をしてもしてもダメ。 最近のインターネット・デモに見られる非組織の「自立した市民」の行動が現れたのに希望を託したい。今のところ「国政の問題」に焦点が当てられているが、 やがて「地方の問題」にも波及することは火を見るより明らかだ。 地方の首長、議員、理事者は今から覚悟して「◯◯区の区議会は◯◯区商店連合会の理事会みたいだ」から脱却しなければならない。 「野党の質問を"はぐらかし”て、これが政治家らしい」と思っている首長、議員、理事者はいずれ消されて行くに違いない。−−−これ、私の確信−−−
04. 2010年12月23日 15:05:09: GbwDTd8AXc 地方交付税と補助金の違いを説明してくれた田中さんに感謝。 地方交付税は，その税の使途を公開し、住民がチェックできるようになれば問題がないのでは。 住民が地方財政をチェックできると、住民の間に政治＝生活という意識が強まれ 地元の活性化につながると思います。 補助金は、他力本願になってしまって、国民の自立心がいつまでたっても生まれないと思います。だから、それこそ、官僚の思うつぼになってしまいます。 ついでに、消費税率も地方ごとに決めては如何でしょうか。 要は、地方分権になった場合に地方格差を生まれないように国は最善の努力が必要です。、 外国人参政権については，賛否両論がありますが、永住権者だけを対象にしているので、反対者が憂慮するような事態は起こらないと思っています。 やみくもに韓国人や朝鮮人に対して偏見をもつ人たちの外国人参政反対運動には 賛成しかねます。 ＞02様>>小沢さんだからすべていいというわけにはいかないわけで、わたしたちは是々非々でいのぞむべきでしょうね 勿論、完璧な人間はいませんので、同感です。 しかし、小沢さん事案を通して、米国のいいなりになる現政権が暴露され、 マスゴミと司法の、癒着と陰謀と暴走を知ることになり、これ以上我慢できなくなって、私はデモという行動に出ました。 今、日本の、反民主主義勢力や体制を是正できる力量を持ち合わせているのは小沢氏しかないと思っています。 国民の血税を使って、大企業とアメリカの利益を優先する現政権は、どの角度からみてもいいとこ無しです。
05. 2010年12月23日 16:20:11: KLT08CD8lU 　大阪府知事の橋下を信じてはいけない。彼はファシストである。府知事就任早々会った人物が石原慎太郎や、小泉純一郎であり、橋下の狙いは国政参加で「維新党」をヒトラーの「ユーゲント」のように手足として利用して独裁国家にすることだ。 口先だけの男を信じるのは、大阪の下品なオバチャンだけでいい。
06. 2010年12月23日 19:44:49: 2bnMLHyeZ2 ０４様に賛成 田中康夫氏の言わんとすることは分からない訳ではないが、何事も中央政府が仕切るのでは今までと何ら変わりがない。補助金頼みの弊害もある。 地方には地方の事情がある。それによって予算の使い方も違ってくる。それでいいのだと思う。予算を決めるのは議員だから、その議員を住民が選び、監視するようにする。政治に関心が生まれ活気が出る。そうなってほしい。
07. 2010年12月24日 00:18:49: KIuYJ6Q0mA 田中康夫さん、いつも深いご意見を言ってくださるので感心しています。 最近田中さんの意見がなかなか聞けないのですが、もっとどんどんご自身の見解を述べてください。 意味のない空おしゃべりの政治家ばかりテレビに映し出され、最近はテレビもみなくなりました。本当に真摯に意見を述べられる方にであわなくなりました。 田中康夫さん、もっと政治の表舞台に出られて活躍なさってくれたらと願っております。　応援しておりますのでがんばってください。

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