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菅直人首相(64)と民主党の小沢一郎元代表(68)による泥仕合。菅首相ら党執行部が小沢氏に対する証人喚問や離党勧告をチラつかせれば、国会招致を拒否する小沢氏は「首相は感情的になっている」と人格攻撃に出るなど、対立は深まるばかりだ。そんな中、追い込まれつつある小沢氏の“奇策”として、真の「一兵卒」として単身で離党し、党外から小沢系議員をコントロールするというプランが浮上している。これは政治の師・田中角栄元首相と同じ手法だ。角栄流で瀕死の菅政権を追い込もうというのか。
小沢氏の衆院政治倫理審査会(政倫審)招致について、菅首相は21日付の自身のブログに、「この件に取り組むならば、国会閉会中の方が国民の皆さんに迷惑を掛けないで済む。その上で、次の通常国会では来年度の財政や重要法案の審議に専心していきたい」と記し、来年1月の通常国会召集前に決着させたいとの意向を示した。
歴代首相のメールマガジンなどは、政策について発信することが多かっただけに、「小沢切り」への異様な気合の入れようが分かる。
党執行部は、小沢氏が政倫審への出席を拒否し続ければ、離党勧告や除名、証人喚問も視野に対応を検討している。
対する小沢氏は21日夜、国会近くの居酒屋で中堅・若手議員約20人と懇談。出席者によると、小沢氏は「(首相との会談で)菅さんは感情的になっていた。仲間なんだから冷静に話をしようと言ったが、興奮していて話にならなかった。言われっぱなしで肩がこった。仲間から責められるのはつらい」とボヤいた。そして「両院議員総会であれ党大会であれ結束を確認する場にしていく」と述べ、対決姿勢を語ったという。
ただ、小沢氏にとって厳しい状況が続くのは必至だ。民主党中堅議員が言う。
「証人喚問に突き出されれば、野党は偽証罪を引き出そうと集中砲火するうえ、テレビで流されて『悪』のイメージが固定化する。離党しても、小沢氏に付いていく議員は比例単独議員を中心に数十人だ。小沢氏は八方ふさがりだ」
そこで、永田町では、小沢氏の政治の師である田中角栄元首相が行った『1人離党』がにわかに注目されている。
田中氏は首相退任後の1976年7月、ロッキード事件で逮捕されたのを機に自民党を離党。しかし、その後も大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘ら各元首相の誕生に絶大な影響力をふるった。
東京・目白の「田中御殿」に、多くの自民党幹部や官僚トップが押しかけ、田中氏の指示を仰いだことは有名だ。
小沢系ベテラン議員は「『離党で一定のケジメを付けた』として、菅首相サイドと証人喚問などに踏み込まないと裏取引できるのが条件だ」と前置きしてこう続けた。
「田中氏同様、今の小沢氏は資金もまだ潤沢で傘下議員も多い。小沢氏が『詰め腹を切るのは俺だけでいい。お前らは党に残り、政権交代の意義を完遂してくれ』と系列議員に指示し、党内野党として予算関連法案に反対したり、内閣不信任案に賛成するなどの揺さぶりをかける形で、政界のキーマンとしてまだ頑張れる」
しかし、離党は党のカネや人事に直接手を付けられなくなる。「選挙で汗をかき配下を増やすゴールデン方程式は難しくなる」(民主党幹部)という難点もあり、菅首相に近い若手議員は「ただの奇策」と余裕の表情を見せた。
一方、菅首相サイドも、場当たり的な対応のツケが回り、政権運営に関しては青息吐息だ。
まず、菅首相が目指していた、参院で否決された法案を与党が衆院で再可決する道が、険しくなった。民主党の石田芳弘衆院議員(愛知6区)が21日、来年2月の名古屋市長選への出馬を表明し辞職が固まったためだ。
衆院は議長と欠員を除くと478議席。現在は与党会派と与党系無所属議員に社民党を加えて再可決に必要な3分の2(319議席)にぎりぎり届くが、石田氏が辞職した時点で足りなくなるのだ。
■菅は執務室で“孤食”状態
小沢氏の証人喚問についても高いハードルが待ち受けている。証人喚問の舞台となることが多い、衆院予算委員会の中井洽委員長は小沢氏に近く、周囲には「司法手続きに入っている議院を証人喚問に呼ぶことはあり得ない」と話し、理事や委員にも小沢氏に近い議員がいる。
問責閣僚の存在も、通常国会の混乱要因だ。自民党と公明党は21日、参院で問責を受けた仙谷氏と馬淵澄夫国交相が辞任しない限り、審議拒否を続けることで合意した。
こうした苦境からか、菅首相にも異変が起きている。昼食の際、首相執務室にひきこもり、ひとりで食べることが多くなってきているというのだ。官邸関係者は「政権発足当時は仙谷氏らとともに食事するケースが多かったが、徐々に減っている。12月第2週は月曜から金曜まで、すべて1人で食べていた。人に会うのがイヤなのか。それとも相当疲れているのか」と証言する。
若者がトイレで食事を取る「孤食」が話題になったが、首相も“孤独死”寸前か。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101222/plt1012221617001-n1.htm
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