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菅直人首相は20日午前、民主党の小沢一郎元代表と会談し、「政治とカネ」問題について衆院政治倫理審査会に出席して説明するよう求める。小沢氏は強制起訴を控えていることを理由に拒否するとみられる。毎日新聞が18、19両日実施した全国世論調査でも小沢氏に国会での説明を求める回答は77%に上り、低支持率に苦しむ首相は「脱小沢」の姿勢を鮮明にすることで政権浮揚につなげたいところ。民主党執行部が小沢氏に対し、政倫審での招致議決や、離党勧告などの処分に踏み切るかが焦点となる。
菅首相は野党の攻勢にさらされた臨時国会閉会後、法人税率の5%引き下げや諫早湾干拓訴訟の上告断念などで「首相指示」を連発し、指導力のアピールによって政権浮揚を図ってきた。しかし、世論調査で菅内閣を支持しない理由を聞いたところ、「指導力に期待できないから」(37%)がトップ。11年度予算編成の目玉とされる子ども手当の上乗せに反対が69%を占めるなど、今のところ首相の思惑は空回りしている。
菅内閣には「脱小沢」路線への成功体験がある。6月の組閣と9月の内閣改造で小沢色を一掃し、支持率のV字回復を果たした。このため、民主党の岡田克也幹事長の主導する政倫審出席要求から、「三匹目のどじょう」を狙う党執行部の思惑を感じ取った小沢氏側も徹底抗戦。双方ともに引くに引けない神経戦が続いている。
「反小沢とかでやってきたつもりは執行部の中枢には全くない。きちっと説明されるべきだという筋論だ」
民主党の枝野幸男幹事長代理は19日のNHK番組で強調。一方で、小沢氏が政倫審出席を拒否した場合の処分については「幹事長や代表(首相)はいろいろお考えかもしれないが、私の立場から何か申し上げるタイミングではない」と含みを残した。これに対し小沢グループの幹部は、世論調査で仙谷由人官房長官の辞任を求める回答が半数を超えたことを理由に「政権に対する不信感が反映されている。支持率と小沢さんの政治とカネは全く関係ない」と反論する。
自民党はあくまで小沢氏の証人喚問を求める構え。石原伸晃幹事長は同じ番組で「アリバイ工作の片棒を担ぐつもりはない。小沢氏は政倫審で議決しても出てこない」と民主党の内紛に冷ややかな見方を示した。実際、小沢氏への強硬姿勢は支持率回復につながっておらず、首相を支持する前原誠司外相グループの一人は「小沢さんの問題で始末をつける態度を示せばよくなる。離党勧告しないとだめだ」と主張している。【大場伸也、影山哲也】
◇自公の国会審議拒否 「評価しない」68%
自民、公明両党は先の臨時国会で問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相が辞任しない場合、来年の通常国会で両氏が出席する委員会などの審議に応じない構えをみせている。しかし、世論調査ではこうした方針を「評価しない」とする回答が68%に上り、「評価する」は27%にとどまった。自民党は支持率でも依然、民主党を下回っており、執行部は国会対応に苦慮しそうだ。
審議拒否方針を評価する意見は自民支持層でも51%で、45%は「評価しない」と答えた。自民党には「審議に出て攻めた方がいい」(幹部)という声も出ているが、「問責決議の重さを考えれば(審議拒否)方針の撤回はできない」(国対幹部)のが実情だ。石破茂政調会長は取材に「年明けの国会戦術にどう共感を得るかが課題だ」と語った。
今のところ自民党に同調している公明党も、通常国会に対決一辺倒で臨むつもりはない。山口那津男代表は最近の発言で、審議拒否方針の変更に含みを残している。仙谷氏らの早期辞任に期待するのが同党の本音で、幹部の一人は「いつまでも審議拒否できるわけはない。引き際を誤ると自分たちにはね返ってくる」と語った。
一方、民主党が主にどの政党と連携すべきかを聞いたところ、自民党が28%で最も多く、みんなの党17%、公明党12%、社民党11%−−などの順になった。民・自大連立への支持とは必ずしもいえないが、少なくとも通常国会で与野党の政策協議が進まなければ、批判の矛先は自民党にも向かう可能性を示している。【中田卓二】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101220k0000m010078000c.html
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