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夜回り先生のエッセー 『優しさや温かさがある 公正』
2010年12月6日
子どもたち、「平等」と「公正」ということばを知っていますか。この二つのことばの意味がわかりますか。今、私たちの国で、そして周りで、この「公正」と「平等」ということばの本当の意味を見失っている人たちがたくさんいて、そして大変な問題が起きていると、私は感じています。それでは、この二つのことばの意味と違いを考えてみましょう。
子どもたち、君とプロゴルファーの石川遼くんがゴルフをするとします。ハンディキャップなしに戦うこと、これが「平等」です。それまでのゴルフの経験やスコアの実績を考えて、ハンディをつけて戦うこと、これが「公正」です。
たとえば、消費税。すべての消費財に一律に10%の税金をかけ、貧しい人からも富んだ人からも同じく税金を徴収する、これが「平等」です。かつて我が国にあった物品税のように、貴金属や外国の車など、生活にゆとりのある富んだ人が買うだろう高価な消費財から、高額の税を徴収し、食料や日々国民すべてが必要とする消費財には課税しない、これが「公正」です。
子どもたち、学校で給食を、みんなが同じ量をもらい食べること、これが「平等」です。そうではなく、からだの大きさや体調によって、それぞれの量を変えて配り、食べること、これが「公正」です。子どもたち、「平等」と「公正」の意味が見えてきましたか。
子どもたち、君たちが、石川遼くんと、「平等」にゴルフで戦っても、絶対に勝つことはできません。競技にもならないでしょう。子どもたち、貧しい人や富んでいる人から「平等」に税金を徴収することは、貧しい人にとって大きな負担になります。
子どもたち、給食を、みんなで同じ量を「平等」に食べれば、足りない人も出るでしょうし、残す人も出るでしょう。子どもたち、「平等」は、とても美しいことばですが、現実の社会では、大きな問題と弊害を持つことばです。私は、「平等」に、機械的な冷たさを感じます。優しさや思いやりを感じることができません。
子どもたち、私たちの社会で、たぶん最も「公正」を大切にしているのは、裁判です。罪を犯した人を、裁判官や裁判員が裁きますが、その加害者の成育歴や環境、情状などを、多くの証人から聞き、そして「公正」に裁いています。
子どもたち、私は、この国や私たちの社会が、「公正」なものになってほしいといつも考えています。また、そのために日々働くことが政府や行政の一番大切な仕事だと考えています。でも、今は…。哀(かな)しいことです。
子どもたち、ぜひこの「公正」ということばの中にある優しさや思いやり、温かさに気づいてください。そして、常にこの「公正」を国や地方自治体に求めていきましょう。
(水谷 修)
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2010120602000114.html
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※水谷修プロフィール
水谷 修(みずたに おさむ、1956年5月8日 - )は、神奈川県横浜市生まれの児童福祉運動家、教育評論家。元高等学校教諭。神奈川県立横浜翠嵐高等学校、上智大学文学部哲学科卒。
少年少女の非行や薬物依存症問題に尽力し、5000人超の青少年と向き合っている。夜間に繁華街をパトロールすることから「夜回り先生」との異名を持つ。
著書『夜回り先生』はTBSテレビ・水曜プレミア(2004年10月27日放送)にてドラマ化され、水谷の役を寺尾聰が務めた。 更に2009年9月18日には『さよならが、いえなくて』を原作としたドラマ特別企画『さよならが言えなくて』がテレビ朝日で放送。水谷の役を寺脇康文が演じた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E8%B0%B7%E4%BF%AE
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