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東京と名古屋のどちらが進歩的かと訊かれたらどう答えるだろう。筆者はサラリーマン時代に名古屋に約2年間勤務した経験があるが、それから言えば「名古屋は大いなる田舎」。だが、今や市民意識はと問われれば、東京に比べはるかに名古屋が進歩的であると答える。名古屋市議会解散請求(リコール)が成立したからである。だが、それだけが理由ではない。
東京では、都議会が「東京都青少年健全育成条例」を議決したが、これに対して一般市民が何の反応も示さなかった。この条例が議決されたのは、市民意識の劣化が招いたものだ。こう書くと、「お前はどのような性的表現がマンガに描かれているのかを知っているのか」などの非難があるだろう。だが、そういう表に出た瑣末なことを問題にしているのではない。民主主義・主権在民の根幹に関わる処で差があるのだ。
名古屋のリコール運動は、誰が聞いても唖然とする妨害行為があった。それを「恬として恥じない」市選管委員は、民主主義をないがしろにする既得権益者の姿そのものであった。彼らは11万人以上の署名を無効にし、リコールが成立するに必要な署名人数を1万2千人も下回れば、市民は黙って指をくわえて引き下がるだろうと思い上がっていた。それを市民が自らの手でひっくり返した。当に市民革命である。
都条例では過激な性的描写を子供たちの目から隔離することはできる。それを望む大人が多いのも事実だろう。筆者の子供が未成年なら、そのようなマンガを見せないようにする。隠れて見ていたら、おそらく没収しビンタする。だが、マンガ本を発刊した出版社や作家を非難はしない。「表現の自由」は国民の権利。国民はその権利を守る義務がある。これは子供に「見せるとか、見せない」とは違う次元の話である。
戦前、時局講演などの演説会があると、弁士の横に巡査が座っており、弁士の話の途中で、巡査が「話を止め!」とか「そこまで!」とか大声を出して演説をしばしば中断させたそうだ。その巡査が演説を中止させる判断基準は、時の権力や、地方の場合ならば土地の有力者の意向を汲んだものであったそうだ。明治憲法下では言論の自由は無かった。都条例は、そう云う時代に戻るか、どうかの問題なのである。
この条例には「漫画、アニメーションその他の画像で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」とある。一見すれば当然のことで、反対するのがおかしいと思うだろう。
だが、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成」とは、何だろう。18歳以下の青少年が性的関心を抱くのは当然だろう。そして、肝心なことは「不当に賛美し又は誇張する」基準を誰が決めるのかと言うことだ。これまでも、出版社と公権力の間で性表現の限界についてのせめぎ合いがあった。だが、そのような基準を警察が一方的に決めるものではないだろう。市民が自主的に決めることではないか。
東京には出版社が集中している。この都条例で「刑罰法規に触れる性行為を描写した漫画」だと判断するのは、警視庁生活安全部の一課長だが、実際はその部下だろう。彼らが「不健全図書」だと判断すると、それは日本中の漫画家や編集者に影響する。単に警視庁に採用された一公務員が「検閲者」として日本の出版会の上に君臨する。漫画家の「表現の自由」は全て彼らによって左右される。おかしいと思わないのか。
おそらく多くの人は、過激な性的描写のマンガが排除されればいいとの短絡思考で、警察が取り締まれば安心だとなるのだろう。市民が決めた基準で警察が取り締まるのではなく、その基準を公権力に与えることに問題があるとまで考えが及ばない。それは、国民に依然として「お上」意識が残っているからだと思う。その「お上」意識が検察を暴走させた遠因だとは、誰も考えない。
一方、名古屋。市選管委員は市議会の承認で選ばれた者である。だが、市選管委員のおかしい後出し規則を、市民が自ら区選管に足を運びひっくり返した。市民がおかしいことを正した。それは公権力(=市選管)が主権者である市民の意思を抑え込もうとしたからである。だから名古屋のリコール成立は「市民革命」と言えるのである。主権在民とは、単に国民に選挙権あると言うことではない。
http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=101535
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