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菅直人の「征韓論」
総理大臣の器を備えた人物が日本政界にいるだろうか。いないのかもしれないが、国民の支持率が1%になっても、それでも総理の座にしがみつきたい、それが菅直人である。こう民主党内からもみられている「市民派」総理が、先日妙なことを口走った。気になっていたのだが、案の定、半島や大陸から大反響が起きている。いうところの21世紀の「征韓論」である。
「邦人救出のために自衛隊機を出す必要がある。そのことで韓国政府と協議をしたい」といった菅発言をテレビの前で公言したことである。南北朝鮮で再び戦争が起きる。その韓国に5万人ほどの日本人がいる。真っ先に救出しなければならない。其の責任が政府・この自分にある。邦人救出のための派兵について、いま具体的に詰めておきたい。こう彼は判断して、あえてマスコミの前で「先見の明」のあるところをひけらかし、同時に改憲軍拡を推し進める考えを披歴したものだろう。
以前、財界の要人が日本記者クラブで「海外の出張先で事件が発生する。アメリカは軍隊が駆けつけてくれるが、自衛隊は来ない。自衛隊が来られるように憲法を改めるべきだ」と暴論を吐いたものだが、またしても財閥の意向が官邸を突き動かしたものか。自民党政権時代に中曽根がペルシャ湾に掃海艇を出そうとして、官房長官の後藤田正晴に止められた。ワシントンの意向が反映されたものか。
小泉内閣はイラクなどで派兵やりたい放題のことをしてきている。侵略戦争に向けた参戦は、邦人救出・保護を大義に掲げて実施されてきた。朝鮮半島や中国大陸の人民・市民は過去の歴史から学んでいる。日本国総理大臣のこの発言に、怒りで震え上がったに違いない。昨夜、ネット新聞で韓国のマスコミがそのことで怒り狂っていたという情報を知った。中国のネット新聞もそうした韓国事情を紹介していた。
前駐韓国大使の会見と日本人記者の感度
実は昨日の午後、日本記者クラブで今年8月まで韓国大使だったという重家俊範氏の講演と会見を覗いた。そこで現役の新聞社幹部から「最近の韓国から歴史認識が消えている。双方の努力のせいだろうが、いつ頃からそうなったのか」と3年有余、韓国大使だった人物に質問した。
わかりやすく言うと、韓国の政府や市民も過去のことをいわなくなった、もう忘れたのか、というような問いかけである。韓国事情にうとい筆者である。そういえば、このところ韓国からは歴史認識に関する報道は、日本のメディアからは消えている。実際は報道しないようにしているのであろうが、質問者も認識不足のままそれを確認しようとしたのであろう。前大使はなんというか。「基本的に変わっていない」と断言した。この場面で答弁者も質問者も、この日の韓国マスコミ報道を知らなかったのであろうが、前大使の判断が正しかった。残念なことは、今の韓国経済は輸出が好調で、かつ韓米関係もすこぶるいい。そうした環境の下で、過去を忘れた韓国社会という判断を日本のマスコミ関係者がしていたということである。
官邸を乗っ取った政経塾右翼
恐らく菅直人の認識もこの程度だったのだろう。側近に言われての「征韓論」だろうが、歴史を知らない暗愚の宰相であることを、内外に自ら暴露したことになるのだが。これには、日本を代表するジャーナリストの不見識な韓国認識も、総理発言の背景にあるというべきだろう。しかし、このことは新たな問題提起をしている。総理大臣周辺は「明治の征韓論」のような民族主義的な人材がはびこっているという不安である。
筆者は自民党と民主党に巣食って偏狭な民族主義と国家主義を振りまく松下政経塾、財閥資金で右翼教育を受けてきた特異な人種を、10年ほど前から警戒・警鐘を鳴らしてきた。しかし、誰も関心を示そうとしなかった。内外の研究者は松下幸之助イメージに惑わされてきたのである。筆者は「松下は70億円の脱税資金で政経塾を立ち上げている」という自民党リベラル派の指摘から疑念を抱くようになった。
政経塾議員のほとんどが平和憲法に挑戦的という事実からも。それに豊富な賄賂金を使い、中国など海外で暴利をむさぼる財閥に拍手する気にはなれない。マスコミも含めて「NATIONAL」と「PANASONIC」のブランド名に酔いしれてきているため、当初から筆が鈍っている。リスクの大きな政経塾の先頭を前原と野田が走り、彼らの資金を仙谷や枝野が利用している、こんな菅内閣の風景である。
日本国の財政と外交を牛耳り、与党を抑えて鳩山と小沢を排除しようとしている。これに老害の黒幕も暗躍、大連立を実現して平和憲法、日本の唯一の誇りを押しつぶそうとしている。
財閥支配の韓国
日本で生まれた韓国大統領は財閥育ち、財閥の代理人である。戦争に突入する勇気などさらさらないのだが、ほどほどの緊張が統治と利権確保に最高の環境と思い違いしているであろうことは、彼の統治手段で理解出来る。実際の韓国社会はどうなのか。前大使は少しだけ韓国の内情を打ち明けた。「韓国経済は財閥主導で動いているが、反面格差が拡大している。会社間、地方とソウルの格差など問題を抱えている。
失業率は3・5%だが、若者のそれは2倍と言われている。従って政府は現在中道寄り、公正な社会という標語を使っている」と語った。この発言の行間から韓国の内情が見えてくるだろう。財閥はオバマのいう強欲資本家である。ウォン安と南北緊張政策で正に暴利をむさぼっている。軍拡も狙い通りなのだろう。政府の政策を操作し、韓国マスコミをコントロールしている財閥である。
その悪しき構造は、日本のような天皇制と「天皇の官僚」は無縁で、其の分透明でいいのだが、財閥支配という点でいうと、日本とほぼ同じといってもいいだろう。この財閥国家の弱点はGDPの40%が輸出に頼っている点である。世界経済の影響をもろに受ける社会だ。米国や日本の衰退は今後一段と強まってゆく。中国とASEAN頼みでもある。しかし、かの国もインフレ圧力に泣いている。そうそう成長路線を突っ走ると自滅しかねない。つまるところ、中期的には南北和解の道しか残されていないだろう。東アジア共同体に突進することが、最高の選択肢なのである。それは日本・中国も、である。
ワシントンに従属する現在の緊張政策路線は、いずれ墓穴を掘ることになろうか。財閥主導経済が行き詰まりを見せると、人々が事態を黙認することなどないだろう。現状のままでは、南北そして日米ともに厳しい茨の道が待ち構えている。
慰安婦の叫びが聞こえる日本大使館
韓国の歴史認識は、当然のことながらしっかりしている。その主役が慰安婦問題に取り組む人たちである。彼らを支援する平和団体は、現在も日本大使館前に集まり、週1回怒りの叫びをしていると聞く。この声は大使の耳に届いているのか。それとも防弾・防音ガラスによって封じられているのであろうか。ここは重要な視点である。前大使は質問に答えて「聞こえている」と証言した。
慰安婦問題は大使館関係者全てに届いているのである。歴代の大使・職員は、日韓に横たわる歴史認識を学ばされているということなのだ。今のような日本の外務省は解体したらいいのだが、どうしても残すというのであれば、ソウルの大使館勤務か、せめて研修させる必要があろう。断固そう思うのだが。
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51695993.html
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