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ご無沙汰しました 日々通信 いまを生きる 第304号 2010年12月14日 伊豆利彦
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>> 日々通信 いまを生きる 第304号 2010年12月14日<<
発行者 伊豆利彦
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ご無沙汰しました
久しくご無沙汰しました。前号を発行したのは9月24日だから、2カ月半以上の時が過ぎて、今年も終わりが近づいた。今年の12月8日は、あの「開戦」の日から69年経って、人々の記憶も関心も薄れたのか、マスメディアに取り上げられることも少なかった。
★『朝日』の「天声人語」
>69年前のきょう、日本は太平洋戦争に突入した。真珠湾から広島、長崎に至る44カ月、日本人だけでも300余万の命が失われ、被爆者の苦痛は今も続いている。どこかで戻る道はなかったかと、今さらながら思う
掲示板11112
http://www.asahi.com/paper/column20101208.html
一度始められた戦争は途中でやめるわけにはいかない。
日本の経験は忘れてはならない教訓だろう。
アメリカ自身もヴェトナムの経験がある。
いま、アフガンの戦争も10年になる。旧ソ連も10年で敗退し、やがて崩壊していった。
★「デモクラシーナウ」は「米国のソビエト化」について語っている。
>アフガニスタンの戦争は10年目に入り、ベトナム戦争を超えて米国史上で最長の戦争となっています。TomDispatch.comのトム・エンゲルハートは、「米国のソビエト化」だと言います。ソ連共産党は軍事力による支配を過信してアフガニスタンを攻撃し、10年にわたる戦争にはまりこみ、財政が破綻して本国のインフラが崩れ社会そのものが崩れ始めました。1989年にほうほうの体でアフガニスタンから撤退しましたが、それから2年でソ連は崩壊しました。ソ連の自壊で米国は冷戦の勝利者になりましたが、驚くべきことにこの国はソ連がたどった道を後追いし始めたのです。
掲示板 11119.ソ連自壊の道を後追いする米国 「帝国の墓場」にはまる基地帝国
http://democracynow.jp/video/20100618-4
日本は柳条湖事件から数えれば15年、蘆溝橋から数えれば8年で破滅した。中国の国民政府を相手に戦った戦争の初期は、軍事力の差が大きく、誰も一捻りで倒せるとおもっていた。しかし、広大な国土と抗日人民闘争の拡大は、日本軍を果てしない泥沼にひきこみ、日本の国力を消耗させ尽くした。1939年ごろから物資不足は顕著になり、1940年ごろから配給制度が始まった。「大東亜戦争」は破滅に追い込まれた日本がはじめた絶望的な戦争だった。
緒戦の「大戦果」に国民は熱狂し、日本の勝利を信じていた。普通の国民が日本の追い込まれた実情に気づいたのはガダルカナル転進のころからだろう。そして、日本全土が爆撃され、広島、長崎に原爆が投下されて、ようやく降伏したのだった。軍部はもちろん日本の敗北を知っていただろう。しかし、一度はじめれた戦争は徹底的な敗北に追い込まれるまでやめられないのだろう。
戦争は始めるのは容易でも、止めるのは困難なのだ。壊滅的な崩壊に追い込まれるまでは敗北をうけいれることができない。敗北を受け入れることはいまの権力者=既得権益者の権益を奪われることだから、最後の最後まで敗北を認めることができないのだ。戦争をつづける間は権力者は権力者でありつづける。新聞もラジオも報道機関は権力者の手にあり、虚偽の報道で国民に苦難を強いつづける。
いまのアメリカや日本はあの時の日本とは違う。民主主義があり、言論の自由があって、国民は真実を知らされていると思っているなら、それはとんでもない間違いだ。テレビがあり、視聴覚を動員して、朝から晩まで国民を欺瞞する報道をつづけたら、あのころよりもさらに徹底して国民を虚偽の幻想に溺れさせることができる。言論の自由が奪われているのは、中国や朝鮮だけではない。そもそも、わたしたちの中国や朝鮮についての認識は、アメリカ経由の報道によって支配されているのではないか。
海老蔵事件が示すように、対立する当事者の言葉は片方だけを信じるわけにはいかないのだ。いま、日本のマスメディアは朝鮮や中国の問題にしても、民主党の小沢問題にしても、一方に加担する画一的な報道をして、不偏不党の公平な報道だとか、民主的報道だとか主張している。すべての言葉は両義的で立場によって意味が違う。平和とか人権とかがある立場に立って主張され、天理であり、絶対の真理として他を貶め、攻撃するために用いられる。
あの戦争の宣戦勅語は、「世界の平和」とか「万邦共栄の楽を偕にする」などという言葉がならべられ日本は「東亜永遠の平和」のためにたたかうのだと宣言されている。いまのイラク戦争もイラクが大量殺戮兵器を保持していて、世界平和を破壊する恐れがあるから、平和と民主主義のために戦うという大義名分ではじめられた。アフガンの戦争も世界平和を破壊する武装兵力タリバンを撃って世界平和を守るために戦うのだと言われている。これまでの戦争の大多数が「平和のため」の戦争だった。そして、平和を主張するのは現在の秩序を維持すること、既得権益者の権益を守るためだった。
新興勢力、既成秩序への反抗者は平和の破壊者として攻撃される。日本はかつて中国の人民武装兵力を「匪賊」とよんだ。いまのアメリカの戦争は、日本が戦ったあの戦争と多くの点で似通っている。いま、10年つづいたアフガンの戦争に苦しむアメリカが、四苦八苦して破滅への道を辿っているときに、あの戦争の開戦の日を迎え、あらためて新しい視点からあの戦争について考えさせられる。
暑かったり寒かったり、気候の変動も異常だったが、これも「文明」による環境破壊の結果なのだろう。これからはボーナスも出てクリスマス気分が煽りたてられることだろうが、路上生活者も増え、飢えに苦しむ人々も増えることだろう。寒さが身にしむ季節だが、多忙な年の暮れをお元気でお過ごしください。
何といっても事件が次々に起こり、さまざまな感想がわき出てくるが、高齢でまごまごして時を過ごしてしまった。戦争の時代に青春を過ごしたわたしは、どうしても時事的な問題に心を奪われがちだが、もう時事的な問題をその時々に論ずる力はなくなった。この「通信」も時事的な問題は掲示板にまかせて、新しい年からは性格を変える必要があると思う。
長く休刊したので心配してくださる方もあり、感謝している。頭脳も年々老化して、文章もたどたどしくなっていくが、来年はまた心機一転して、何とか書き続けたい。よろしくお願いします。
掲示板から
★11123.初心忘るべからず
菅内閣「危険水域」に
名前:伊豆利彦転載 日付:12月09日(木) 22時07分
世論の支持を求めて右往左往すればするするほど中心を失って崩壊する。
民主党のアイデンティティは何か。
民主党は民主党であることによってのみ国民の支持を得られる。
「初心忘るべからず」という言葉をかみしめる必要がある。
★Re: 有事なら自衛隊で拉致被害者救出? 首相発言に当惑の声
名前:伊豆利彦転載 日付:12月11日(土) 08時56分
その場限りの無思慮な発言だ。現役の首相の発言とは思えない。菅内閣はひたすら破滅の道を急いでいる。菅首相がこんなにでたらめ発言をするとはおもわなかった。
★11110.Re: 平和賞授賞式 19か国欠席へ
名前:伊豆利彦転載 日付:12月08日(水) 20時35分
ノーベル平和賞は去年はオバマ大統領が受賞し、日本では佐藤元首相が受賞したこともある。今度の劉暁波氏の受賞は、親中か否かで世界の国々を対立させた。いかにもイデオロギー的で反平和主義的ではないだろうか。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20101208/k10015722551000.html
★11115.Re: 平和賞授賞式 19か国欠席へ
名前:伊豆利彦転載 日付:12月09日(木) 08時53分
中国の言論弾圧を肯定するのではない。しかし、中国政府が反対し、一九カ国もが授賞式に欠席するような劉暁波氏にたいす平和賞授与は国家間の平和を阻害し、ふさわしくないと言っているのだ。
わたしも共産党の一党独裁、言論弾圧には反対だ。もし、わたしが中国人だったら、反対運動に加担したのではないかとおもう。しかし、外国人のわたしが自国の問題には眼をつぶって他国の政治に反対したり、抗議したりすることにためらいを感ずる。ましてや、日の丸を振りかざして反対デモをするグループには反対する。内政不干渉の原則は平和のためには必要なのだろう。
アメリカの歴史を思えば、他国の軍事力拡大を攻撃し、人権問題で騒ぎ立て、人道と民主の旗を掲げて、軍事的に脅迫するのは許されないことだ。アメリカは何より自国の飢えに苦しむ路上生活者をなくすことにつとめるべきではないだろうか。
アメリカの裏庭といわれる中南米諸国でアメリカは何をしてきたか。いま、これらの国々が反米的な大統領をえらび、アメリカの桎梏を脱することで経済的に繁栄の道をたどり始めていることをどう考えたらいいか。
★11091.過去最大規模、空母も参加=ミサイル対処や離島防衛を想定―3日から日米共同演習
日本はどこへ行くのか
名前:伊豆利彦 日付:12月04日(土) 01時59分
日米軍事勢力は戦争の危機をあおって軍事予算の拡大をはかるのかも知れないが、国民はほとんど無関心のようだ。また、政府も、野党政治家も切迫したものは感じられない。議会は呑気に失言問題の追及に明け暮れ、審議拒否などやっている。日米関係、日中関係の前途はどうなるか。政権争奪のみに熱中する政治家たちは、国際関係の転換などにはあまり関心がないようだ。
戦争政策にしがみつくアメリカは破滅の道に追い込まれ、焦燥に駆り立てられている。日本もアメリカ依存から離脱して、自立の道を探らなければ、アメリカとともに破滅することになる。アメリカは中国依存を強めながら、対中恐怖におちいり、朝鮮、中国の脅威を強調して、アジアの番犬日本の軍事力増強を図ろうとしている。これまでにない大規模の日米共同演習はその現れだ。
昭和のころの防空演習を思い出す。私が育った北九州は要塞地帯で、海の見える山に登ると、巨大なラッパ状の聴音器があり、高射砲があった。1936年、父の転任で家族が東京に転居した夜、防空演習で東京は灯火管制のため真っ暗になり奇妙な興奮を感じた。翌年、蘆溝橋の一発がきっかけで日中戦争がはじまり、政府は不拡大方針を唱えていたが、まさか、まさか、と思っているうちに底無しの泥沼戦争に引き込ま
れ、とうとう破滅の道をたどってしまった。
1941年12月8日の朝、私たちは野外教練で荒川の河川敷に集合していた。「帝国海軍は、本8 日未明、西太平洋にてアメリカ、イギリス軍と交戦状態に入れり」私は直接そのニュースを聞かなかったが、友人から聞いて、「西太平洋」とはどこだ、「交戦状態に入れり」とはどういうことだと、議論したことを思い出す。それがあのような結末への第一歩だとは思いもよらぬことだった。
戦争の渦中にあるものは、自分がどんな場所にいるのか分からないのだ。
まさかと思う。まさか、まさかと思いながら、思いもよらぬ道をたどるのが現実だと思う。
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