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読む政治:消費増税、砂上の合意 社会保障、帳尻合わせ
http://www.asyura2.com/10/senkyo101/msg/856.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 12 月 12 日 16:32:30: xbuVR8gI6Txyk
 

読む政治:消費増税、砂上の合意 社会保障、帳尻合わせ(その1)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101212ddm001010051000c.html

◇「13年度引き上げ、年金財源に」 財務・厚労省、ひそかにシナリオ
 「党、改革本部の考え方をいただき、方向性を確認した」。菅直人首相は10日、政府・与党社会保障改革検討本部の会合でこうあいさつし、一度は封印した消費税増税に再びかじを切った。「消費税」の文言は避けながらも、税率アップを求める党調査会の意向に沿う考えを示し、間接的ながら増税に言及したのだ。

 これに先立つ1日、50%を維持するか以前の36・5%に戻すのかで揺れた基礎年金の国庫負担割合を巡り、厚生労働省の今別府敏雄官房審議官(年金担当)は財務省に可部哲生主計官(厚労担当)を訪ねた。50%維持には消費税率1%分、約2・5兆円を要する。11年度分は独立行政法人の剰余金など「埋蔵金」をかき集めてどうにかしのいでも、その後の策は尽きていた。

 協議したのは12月中旬に開く閣僚折衝の合意事項。議論の結果、「税外収入を集めるのは11年度限り。12年度以降は消費税増税でまかなうと法律に明記する」という趣旨の「メモ」を作ることで落着した。話を終えた2人は「これで12年度は埋蔵金はいらないな」と笑顔を交わした。

 支えにしたのは、麻生太郎政権時代の09年3月に成立した税制改正法の付則104条。「11年度までに消費税を含む抜本改革に必要な法改正をする」というくだりだ。11年度中に法改正すれば、遅くとも13年度には増税が実現する、それなら12年度は13年度の増税分を担保につなぎ国債を発行でき、埋蔵金は不要になる−−。財務省はそう思い描き、11年度からの50%維持を受け入れた。

 それでも厚労省幹部は「合意は砂上の楼閣」と漏らす。政府は04年の年金改革で「07年度をめどに税制の抜本改革をし、安定財源を確保して09年度までに50%に引き上げる」と法律に明記した。実現しなければ27年には国民年金の積立金が枯渇するからだ。

 にもかかわらず、歴代政権は増税から逃げ続け、毎年財源探しに四苦八苦してきた。仙谷由人官房長官更迭論が噴き出し、大きく政権が揺らぐ中、首相が再び過去の失敗を繰り返さない保証はない。

 11月29日、財務省の吉田泉、厚労省の岡本充功両政務官は激しくやりあった。吉田氏が基礎年金の国庫負担を渋る戦術に出たためだ。

 吉田氏「36・5%に戻し、年金積立金で補う。増税が実現した時点で穴埋めする」

 岡本氏「だめだ。十数年前の貸しも返ってこないじゃないか」

 旧大蔵省が財政難から年金へ必要な税を投入せず、年金積立金を取り崩した例は13年前を最後に幾度もある。流用分6・6兆円のうち3・1兆円はまだ返済されていない。なのに吉田氏は会談後、極秘にするはずだった36・5%に戻す提案を記者団に公表した。

 「増税の必要性を訴えるショック療法だろう」。政官界には、財務省の焦りを感じ取る向きも多い。

    ◇

 政治が負担という名の痛みを先送りし続けてきた結果、年金だけでなく医療、介護など社会保障のほころびは取り繕えないほど大きくなった。修復への道筋は見えていない。

読む政治:消費増税、砂上の合意 社会保障、帳尻合わせ(その2止)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101212ddm003010057000c.html

◇利用者負担増・給付カット、通常国会に法案 与党抵抗、厚労相「出したくない」
 「地元では厳しい声をいただいている」「ペイ・アズ・ユー・ゴー(新規政策は自ら財源を調達)なんて言っていたら、民主党の主張は何もできない」

 9日夜、国会内であった民主党の高齢者医療制度改革ワーキングチーム(WT)で、山崎摩耶衆院議員や森ゆうこ参院議員らは次々と厚労省の岡本充功政務官を突き上げた。前日、同省が示した後期高齢者医療制度に代わる改革案に70〜74歳の人の窓口負担割合(1割)を2割にアップすることや、75歳以上の低所得の人の保険料を最大9割軽減する措置の縮小などが盛り込まれていたためだ。

 「毎日苦しくて、何かに追われる夢を見ています」。情に訴え、理解を求めようとする岡本氏には目もくれず、WTメンバーは負担増案をことごとく否定し、高齢者医療制度改革関連法案の国会提出にさえ反対する姿勢を打ち出した。

 財源が見当たらない中、厚労省が示した高齢者医療や介護保険の制度改革案は、利用者の負担増と給付カットで乗り切る窮余の策となっている。しかし、来春の統一地方選をにらむ議員たちは、官僚の帳尻合わせを黙認せざるを得ない政務三役らの苦悩にはおかまいなしだ。8日、介護保険改革案を審議した会議の後、党介護保険制度改革WTの藤田一枝主査は「国民の期待に応える中身にしたい。今回の法改正は必要最低限にすべきだ」と述べ、政府に負担増の撤回を迫った。

 与党の抵抗に押され、厚労省が来年の通常国会に提出を予定する介護保険法改正案からは大半の負担増案が消え、基金の取り崩しなどでまかなうその場しのぎの内容となりそうだ。それもねじれ国会の下では、成立の可能性は低い。高齢者医療に至っては法案提出すら危ぶまれている。

 「介護と高齢者医療の法案は内容が乏しい。出したくない」

 11月初め、法案の状況を説明する阿曽沼慎司事務次官に、細川律夫厚労相は気弱な本音を漏らした。

 ◇消費増税の与野党協議、ハードル高く 歴代政権残した課題
 10日午後の政府・与党社会保障改革検討本部。菅直人首相は税と社会保障を巡る与野党協議について「幾多の政権の中で越えられなかった大きな課題だ」と指摘したうえで、「自民党や公明党や他党とも、胸襟を開いて議論ができる場を作っていく」と強調した。

 25年度には団塊の世代がすべて75歳以上となる。厚労省によると、基礎年金の給付費は10年度の21兆円が30兆円に、高齢者医療は17兆円が28・3兆円に、介護は7・9兆円が20兆円にそれぞれ膨らむ。首相の念頭には政権維持への意欲に加え、野党と協調して必要な財源を確保するための増税に踏み切らないと、社会保障の各制度が維持できなくなる、との危機感がある。

 税や社会保障に精通した野党議員の中には、民主党との協議を模索する動きもある。

 先陣を切ったのは、たちあがれ日本の与謝野馨元官房長官。与謝野氏は与党時代、09年成立の税制改正法に「11年度までに消費税を含む抜本改革に必要な法改正をする」との付則104条を潜り込ませた。今回菅政権はこの付則をてこに、11年半ばまでに税制改革案をつくり、13年度からの消費税増税を実現させたい考えだ。11月18日夜、首相に呼ばれ公邸を訪れた与謝野氏は104条に触れたうえで、「消費税アップを含め、財政再建に向けた与野党協議をすべきです」と首相を口説いた。

 だが、機運は広がらない。首相の足元の民主党内は小沢一郎元代表の国会招致議決を巡り、対立が激化する一方だ。

 10日、小沢氏に近い輿石東参院議員会長は、13日の党役員会で小沢氏の国会招致議決を決めかねない岡田克也幹事長の動きにブレーキをかける考えを示した。しかし、岡田氏は挙党一致より、小沢氏の招致を重視する姿勢を鮮明にしている。党が結束し、野党と増税の協議を始められる状況にはほど遠い。

 「与野党協議は成就させたい。うちが先行するより自民・民主で」。10日夕、公明党の坂口力元厚労相の言葉を胸に、尾辻秀久参院副議長(元厚労相)は「まずは参院から」と、国会内で自民党参院議員の林芳正政調会長代理と会い、「自民党も政局を度外視し、首相の提案に乗るべきだ」と説得した。

 ところが林氏は「もはや政調会(政策)の話でなく、幹事長室(政局)の話です。民主党に融和的な姿勢を示すと後ろから弾が飛んでくる」とつれなかった。周辺には「失敗に終われば民主党はこちらに責任をかぶせるだけ。本気とは思えない」と漏らしている。

 首相の申し入れに、野党は不信感を募らせている。自民党幹部は「(仙谷由人官房長官らの)問責決議を握りつぶしておきながら、もみ手でにじり寄ってくるとは」と不快感を示し、公明党幹部はこう皮肉った。

 「弱ってきたから言っている。政権維持のためというのが見え透いている」【鈴木直、山田夢留】

 

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