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師走の永田町、人の往来がにわかにあわただしい。予算陳情だけでなく、
<政局が始まった>
と見る向きが多いのだ。この政局とは、特異な政界用語で、倒閣の画策など権力闘争を意味している。
だが、今回は、ポスト菅をめぐる民主党内の政権争いといった単純な図式とは限らない。しきりに、
「大連立だ」
の声が飛びかっているように、政界全体を巻き込む再編成につながる気配も漂っている。
しかも、菅直人首相を批判する陣営の司令塔に、金銭疑惑で手負いの小沢一郎民主党元代表が構えていることが、師走以降の政局をギラギラと複雑にしている。何が始まろうとしているのか。
中曽根康弘元首相が、伊藤隆亜細亜大、佐藤誠三郎埼玉大両教授のインタビューに応じ、50年の戦後政治を語り始めたのは1995年春、翌年まで11回に及んだ。96年9月、「天地有情(ゆうじょう)」(文芸春秋)のタイトルで刊行される。同書のプロローグには、
<日本政治大転換への予兆>
の表題がついた。村山富市から橋本龍太郎に政権交代(96年1月)したころで、同年9月には民主党が結成(代表、鳩山由紀夫・菅直人)されている。
小沢主導で実現した細川・羽田両非自民政権の崩壊から2年余が過ぎていた。この前後、<大転換への予兆>について、中曽根は、
「東西冷戦の終焉(しゅうえん)が重大な転機になっているが、直接的には保守合同による、いわゆる55年体制が金属疲労を起こして崩れたということだろう。世論も『自民党よ、もういい加減にしろ』という意識を明確に持ち始めていた。
小沢君一派はそれに乗じて一つのチャンスをつかんだわけです」
と語っている。そのころ、自民党の金丸信、社会党の田辺誠、経団連の平岩外四、連合の山岸章ら保・革・経・労の実力者4人が、
「2大政党を作ろう」
と会合を重ねていた。
「小沢君はそれをよく知っていて、一つの賭けに出たんだね。ある程度の数が(自民党から)離脱すれば、自民党より大きくなると算段して、一応成功した。守旧派と改革派の対決とか、言葉の戦術をうまく弄(もてあそ)んで、……」
と中曽根は言っている。
しかし、それから14年、予兆はあっても、大転換には至っていない。小沢は自民党に政権を奪回された(94年)あと、自民・民主大連立を仕掛け失敗したり(07年)、政権を再奪回(09年)したが、政治の劣化は進み、依然迷走のまま今に至っている。
ジグザグコースの繰り返しだ。内外の状況は国難に近い。
「党派を超え、オール・ジャパンでできないのか」
と世間のいらだちも聞こえてくる。
機は熟しているとも思えるが、中曽根が言う大転換のためには、精緻なシナリオと強力な舞台回し役が不可欠だ。しかし、政界はかつてない人材不足、再編の旗印もまだ見えてこない。そんななか、歴戦の小沢は、先日、
「今は動けないが、非常時になれば最後は動く」
と述べたという。強制起訴による裁判開始を控え、確かに動きにくく映る。だが、こうした発言自体が刺激的な動きであり、政界を駆けめぐる。
非常時を意図して演出しようとしているのか。またぞろ<小沢政局>の渦を作り、最後の賭けに出そうな雰囲気だ。
しかし、政治の転換は、数々の怨念(おんねん)をばらまいてきた小沢流の暗い権力闘争でなく、わかりやすいのがいい。(敬称略)=毎週土曜日掲載
http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/
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