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伝説によれば、サンタクロースの起源とされる聖ニコラスは、貧しい隣家に金塊を投げ入れて娘の身売りを防いだ。
先週公表された09年政治資金収支報告書によれば、民主党の小沢一郎元代表は衆院選の候補者に500万円ずつ配り、自公政権の延命を防いだ。
ニコラスは聖人に列せられたが、小沢は陰険な金権政治家と見なされている。不当だろうか。私はそうは思わない。
いま、師走の永田町では内閣改造やら大連立やらが取りざたされている。菅直人首相の失策続きで、小沢待望論の焼けぼっくいにも火がついた。小沢については当コラムで何度も書いてきたが、金脈を問うこと自体が誤りであるかのような最近の、一部の狂った論調に反論しておかなければならない。
ふた月ほど前、名門月刊誌の編集後記の中に、こんな一節を見つけて驚いた。
「……推定無罪で報じるべきメディアは、検察が立件もできなかった疑惑について、『政治とカネ』という空疎なスローガンを繰り返して、小沢氏を攻撃し続けた。−−」
メディア批判はあって当然だが、メディアは検察が立件できなかった疑惑に立ち入るべきでないという惰弱な自制に甘んじるわけにはいかない。「政治とカネ」は空疎なスローガンでしかないという虚無的な断定も受け入れがたい。
リクルート事件を暴いた朝日新聞の調査報道は、検察が立件を見送ったにもかかわらず、記者たちが疑惑を丹念に調べ直したところから生まれた。「政治とカネ」をめぐる国会内の化かし合いはともかく、小沢の金脈を問うことは空疎でも無意味でも偽善でもない。
政治資金収支報告書によれば、小沢は昨年だけで9億円集めて4億円配った。選挙資金の配分は政党の戦術、幹事長の裁量だが、巨額にのぼる収入の不明朗さが際立っている。
今回の公表で注目されたポイントは、9億円の中に旧「新生党」解党時(94年)の政党資金の一部、3億7000万円が含まれていたことだ。同党には4億8000万円の税金(立法事務費)が支給されていた。法律上、返還の義務はないが、道義上、小沢の政党私物化は許されるかという問題だ。
当節、そのくらい厚かましくなければ中国、ロシアと渡り合えぬという声もある。明朗清潔で凡庸な政治家より、陰険な金権政治家の方がマシだという期待もある。それが小沢待望論の背景になっている。
人生で3度、小沢と組んだ海部俊樹元首相(79)は、近刊の自伝で、小沢の本領は「人の陣地を手に入れて、誘惑してその気にさせて、壊す」ところにあり、「あの性癖は死ぬまで治らない」し「病としか言いようがない」と回顧している(「政治とカネ」新潮新書)。
小沢待望論者は海部の言う病的な循環を国策への情熱と錯覚していると思うが、言ったところで聞き入れられまい。
剛腕待望はいいが、公平・公正・正義に期待する常識から離れて政治は成り立たない。小沢が、郵便不正事件の元厚生労働省局長や、足利幼女殺害事件の元服役囚と同列の受難者であるという非常識な宣伝にくみするわけにはいかない。
参院選前は謹慎した小沢が選挙後は代表選を仕掛け、就任間もない首相の追い落としを図り、政局混迷に拍車をかけた。常識を見失う愚を繰り返すべきではない。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/news/20101206ddm002070083000c.html
◇
雑誌「世界」編集後記
(2010年11月号)
岡本 厚
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2010/11/pscript.html
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