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首相官邸5階の首相執務室には当月のカレンダーしか張っていない。そう聞いて「やはり」と妙に合点がいった。菅直人首相が「有言実行内閣」を掲げながら何も実現できないのはなぜか。それはスケジュール感覚が決定的に欠落しているからだ。菅首相に限らず、仙谷由人官房長官、民主党の岡田克也幹事長−と政権中枢の多くにこれが欠けている。だから言い出したことを実現できない。というか、実現する術をもたないのではないか。
自民党政権において「政治闘争」とは、一つは多数派形勢を目指してしのぎをけずる「数の闘争」であり、もう一つは「スケジュール闘争」だった。
麻生太郎元首相も、森喜朗元首相も、そして小泉純一郎元首相さえも、頭の中には少なくとも3年先までのスケジュールがたたき込まれていた。衆院任期はいつまでか。参院選はいつか。統一地方選は…。これにサミットなどの外交日程や国会スケジュールを加味し、どの政策をどう打ち出し、どこで実現させるかを練る。党内の反主流勢力も同じように政治スケジュールを組み立て、いかに相手の政治スケジュールを読み解き、自らの勢力に有利となるように流れを変えるかに知恵を絞る。これが激突すれば「政局」となった。
だから歴代首相の執務室も、自民党の幹事長室にも国対委員長室にも少なくとも半年先までカレンダーが張られ、細かな日程が書き込まれて消され、また書き込まれていたのだ。
平成17年の郵政解散だって偶発的に起きたわけではない。小泉氏も、その周辺も1年以上前から「解散あり得べし」と考え、動いていたのだ。そしてスケジュールを読み間違えた勢力は命取りとなった。
もちろん予想を超えたハプニングもある。小渕恵三元首相の急逝や、安倍晋三元首相の病による電撃退陣はその例だ。それでもハプニングが起きれば、即座にスケジュールを練り直し、次の手を打つ。これが政権与党の危機管理でもあった。
別に自民党に限らず、米国のオバマ大統領も、ロシアのメドベージェフ大統領も、中国の胡錦濤国家主席も同じだろう。企業経営者だってもちろん同じ。経営目標を立て、その実現に向け、スケジュールを立てるのは当たり前の話だ。受験生だって入試に向けて受験勉強のスケジュールを組んでいる。新聞記者さえも締め切り時間を守らなければ失格だ。
ところが、菅首相にはこのスケジュール感覚がまるでない。
まずは就任直後に打ち出した消費税率引き上げがそうだった。ろくに戦略も立てずにぶち上げたばかりに参院選で大敗し、完全に封印してしまった。衆院任期は平成25年秋、参院選は平成25年夏。来春の統一地方選が終われば、しばらくは大きな政治日程がなく、税制や社会保障などの抜本改革に取り組むチャンスだったのだが、もはや望むべくもない。
夏以降に「1に雇用、2に雇用」と声高に唱えた緊急経済対策も同じだ。10月1日に臨時国会を召集しながら、補正予算案を閣議決定したのは10月26日。何のために慌てて召集したのかさっぱり分からない。補正予算案策定に事務レベルでどれくらいの日時を要し、与党内の調整にどれほど手間取るか、まったく計算していなかったのか。まさか9月の党代表選にかまけて、「国民生活に直結する」と言い続けた補正予算案にまで頭が回らなかったなどということはないだろうが…。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も10月1日の所信表明演説で唐突に「参加を検討する」と表明したが、事前に根回しした痕跡は見当たらない。案の上、農業団体や民主党内の“農水族”の激しい抵抗にあい、大幅に後退してしまった。
なぜこれほどスケジュール感覚が欠落してしまったのか。与党が提示する政治スケジュールに「いちゃもん」をつけるだけの野党生活のクセがまだ抜けないからなのか。それともスケジュールの遅れなどは「政治主導」の大義に比べれば些末なことだと思っているのか。
だが、国際社会は大目に見てはくれない。来春の訪米までに米軍普天間飛行場移設問題にケリをつけなければ、オバマ大統領の堪忍袋の緒が切れることは間違いないが、努力の形跡はない。秘策もなさそうだ。もしゼロ回答でのこのこと訪米すれば、菅首相のみならず、日本の国際評価は地に堕ちることになりかねないが、そんな危機感も感じられない。
日本人の国際信用力は「武士に二言なし」という言葉に表わされるように「約束を守る」「納期を守る」「ウソをつかない」ことで培われてきたはずだ。それができないならば政治家どころか、社会人失格である。それでも石にかじりついてでも首相を続けたいのだろうか。(了)
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