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年末に向けて11年度税制改正と予算編成作業が佳境に入る中、政府・民主党の司令塔の不在ぶりが鮮明だ。法人税減税など焦点の問題で各省庁や党の利害が対立、決着の見通しが付かない。菅直人首相は「最後は私が決める」というが、支持率急落で求心力が低下する中、指導力を発揮できるかは分からない。
「首相は何を考えているのか」。3日夕、財務省に困惑が広がった。この日は懸案だった来年度の基礎年金の国庫負担問題で、現行の50%を維持する案を官邸に持ち込み、了承を得る手はずだった。同省は当初「2・5兆円の財源確保が困難」と、負担率を36.5%に引き下げる案を主張したが、政府・与党内の反発を受け方針転換。「首相裁断」で他省庁に協力させ、独立行政法人の剰余金の活用などで財源を捻出する収拾策を描いたが、首相は決断しなかった。
子ども手当増額も、関係5閣僚が3歳未満の支給額を2万円に上積みすることで合意したものの、財源(約2400億円)では意見が対立したまま。法人税率5%引き下げも、見合いの財源(1.5兆円)をどうするかで、財務、経済産業両省や、党の調整が付いていない。政府税制調査会の議論も「各省の政務三役の意見発表会」の様相で「収拾がつかない」(財務省幹部)状況。霞が関には「税制も予算も誰が最終決定するのか、見えない」と嘆きの声が漏れる。
昨年の予算編成も混乱したが、最後は小沢一郎幹事長(当時)が12月16日にまとめた「党要望」を決め手に、25日の予算案決定にこぎつけた。今年は「菅政権の最高実力者」とされる仙谷由人官房長官の手腕が期待されたが、尖閣諸島問題を巡る参院の問責決議可決などで「予算編成にまで気を配る余裕がない」(官邸筋)のが実情。与党内には「仙谷氏主導の予算では、野党が反発し、ねじれ国会を通らない」との声もある。司令塔不在に、霞が関では「年内に予算編成ができるのか」と不安が募る。【坂井隆之】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101205k0000m010043000c.html
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