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http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20101130/253229/
今臨時国会の会期は12月3日までで残りわずかだ。2010年度補正予算が11月26日に何とか成立したものの、しかし、この臨時国会はいったい何だったのだろう。おそらく国会テレビ中継を見た方、新聞で読んだ方も同様の思いで、あきれはてているのではないか。
まともな質問をしたのは自民党の石破氏と林氏くらい
今回の臨時国会は補正予算を議論する場であった。ところが、補正予算の中身をどうするかについてまともな質問をした野党議員は、私が知る限りでは、自民党の石破茂氏と林芳正氏くらいで、あとはほとんど関係のない質問ばかりしていた。
政府・民主党にも問題はある。なぜこの補正予算を組むのか。その理由がよくわからないのである。もし、対立点があったとしたら、二つだ。
一つは財政に負担をかけないための予算の組み方である。財務省によると、「国の借金」は今年6月末時点で904兆円と過去最高を更新、これは国内総生産(GDP)比で180%以上になる。900兆円を超える巨額の借金を抱えた国は、世界でもちろん日本だけだ。
福祉医療費と地方交付金の削減に踏み込めるか
もう一つは逆に、景気を回復するために積極的な予算を組むというものだ。失業者が多く、大卒就職率も60%と極めて低い状況で、しかも深刻なデフレ状態にある。こうした状況から脱却するための予算を組むという考え方である。
財政に負担をかけない補正予算を組むのか。デフレから脱却するための補正予算を組むのか。この二つでまったく逆の予算の組み方になる。
2010年度予算は歳入が37兆円、歳出が92兆円。歳入の足りない分は国債発行44兆円、そしていわゆる「平成の埋蔵金」11兆円で穴埋めしたが、もしこれが企業ならとっくに倒産していてもおかしくない。
借金をこれ以上増やさないのであれば、消費税を上げるか、歳出を減らすしかない。歳出を減らすには、地方交付金を削るか、福祉や医療などの予算を削減するしか方法はないだろう。
国家公務員や国会議員の数を減らすという議論もあるが、民主党が言っているように2割カットしたとしてもその効果はたかだか1兆円程度だ。歳出を大幅に減らすには、福祉や医療費、地方交付金の削減に踏み込むしかないのである。それができるか? できないだろう。
中国とどう付き合うかの議論がない
一方、デフレからの脱却を図ろうとするならば、思い切って35兆円から40兆円の国債を発行することだ。ただし、それは無利子国債とする。
こうした論争が今回の臨時国会ではあっただろうか? 一つもなかった。自民党からも何の主張も出てこない。民主党も自民党も補正予算をどうするかという議論をせず、出てくるのは尖閣問題などほかの問題ばかりである。
その尖閣問題にしても議論がまったくできていない。この問題を契機に今後中国とどう付き合うかが重要な課題となっているが、そんな議論はない。体当たりしてきたビデオ映像を公開するかどうか、そんな話ばかりだ。
中国に対して毅然とした態度をとるのか。あるいは、日本にとって中国は最大のマーケットなのだから、もっと親しくしていくのか。話し合うべき問題はたくさんあるのに、くだらないことばかり取り上げている。
仙谷由人官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言を取り上げ、「けしからん」という議論に走るのも同じだ。マックス・ウェーバーが「政治は暴力装置を独占する権力」と言い、レーニンがロシア革命を起こしたとき「暴力装置」という言葉で革命の理論付けをした。実はかつて、自民党のある防衛庁長官が「暴力装置」という言葉を使ったこともある。いずれにしても、政治学・社会学で使われる言葉であり、現在の日本では自衛隊が暴走しないようにシビリアンコントロールされている。
マスコミも無駄に国会に付き合っているばかり
このように国会の場で仙谷さんを袋だたきにする。あるいは菅直人首相の揚げ足を取って、何とか菅さんを怒らせようと、乱暴きわまりない口調で挑発する。今臨時国会ではそんなことばかりが繰り返された。
しかし、大切なことは山ほどあるではないか。前述した景気対策、中国との付き合い方。そして、北朝鮮が韓国に砲撃し朝鮮半島情勢が緊張する中、日本はどうすべきなのか。北朝鮮の砲撃を把握してから「70分間官邸は空っぽだった」と責めるばかりで、本当に話し合うべき問題の本質には、まったく切り込んでいない。こんな国会は無駄である。
無駄な審議が国会で繰り返される中、マスコミはどうしていたか。「大事な論議をまったくしていない。枝葉末節ばかりをあげつらい、国会を無駄にしていいのか」という主張がマスコミから出てこない。つまり、マスコミも無駄な国会に付き合うばかりで怠惰だと言わざるを得ないのである。
マスコミは安全保障の議論もまともにできない。安全保障問題を取り上げると、保守反動あるいは右寄りというレッテルを張られることになるというのか? 日本における平和とは、どうやら安全保障について語らないことらしい。
日本は世界の落ちこぼれになってしまう
こんなことでは日本は完全に世界から取り残されてしまう。世界の落ちこぼれになってしまうだろう。すでに経済面ではGDPで中国に抜かれた。世界各国のビジネスを見ていても、韓国やヨーロッパの国々の勢いに負けている。
予算審議もしない。中国との付き合い方も議論しない。安全保障についても話し合わない。大事な問題にはまったく触れず、枝葉末節ばかりに終始している。だらしないというか、あきれるばかりだ。
政治家にもマスコミにも危機感がまったくない現状を見るにつけ、私は強い憤りを感じるのである。
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