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菅直人首相(64)が9月の内閣改造後に行われた大型選挙で、野党に4連敗を喫し、いよいよ死に体となった。28日投開票の和歌山県知事選では民主推薦候補が惨敗、沖縄県知事選では候補者すら立てられず、自民県連や公明党などが推薦した仲井真弘多氏(71)の再選を許したのだ。先の衆院北海道5区補選や福岡市長選に続く失態で、「選挙にめっぽう弱い首相」というレッテルが貼られるのは確実。民主党内からは“菅降ろし”の声すら出始めた。
「仲井真氏におめでとうと言わないといけない」
政府高官は28日夜、仲井真氏の再選にこんなノー天気なコメントを寄せた。日米安保を否定する伊波洋一氏(58)=共産、社民、国民新推薦=が当選すれば、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を同県名護市辺野古に移設する日米合意が完全に暗礁に乗り上げていただけに、かつて県内移設を容認していた仲井真氏の当選で、「首の皮一枚つながった」(外務省関係者)というわけだ。
「5000票差程度の僅差になるかと思ったら、4万票近い大差がついた。伊波氏は経済政策に乏しかった上に、選挙直前の中国漁船衝突事件や北朝鮮の韓国砲撃事件で、日米同盟の重要性を再認識した県民も多かったのだろう」(自民党関係者)
とはいえ、民主党が「最低でも県外」などと沖縄県民をあおったおかげで、仲井真氏も今では県外移設論に転換。鳩山由紀夫前首相(63)が自らの首と引き換えに辺野古移設に転換した経緯も踏まえれば、本来民主党は辺野古移設を公約した候補を立てて、戦わなければならなかったはずだ。
ところが民主党内には、「反米・反基地」のイデオロギー色が濃い伊波氏に親近感を持つ議員が多く、選挙戦では「特定候補の応援禁止」という岡田克也幹事長の通達を無視して伊波氏の決起集会に参加する猛者も出現。何もかも中途半端なまま、仲井真氏の圧勝を遠巻きに喜ぶズルさを見せてしまい、民主党と沖縄県政との信頼関係はゼロになったともいえる。
オバマ米大統領は菅首相に来春の訪米を要請したが、裏を返せば「それまでに普天間問題の最終決着を図れ」と迫ったもの。内閣支持率20%台と政権の体力が弱り、仲井真県政とのパイプもない中では、鳩山氏のように「トラスト・ミー」とはとても言えない状況だ。
さらに、28日に行われた和歌山県知事選では、自民党が推薦した現職の仁坂吉伸氏(60)が、民主、国民新推薦の新人候補に3倍以上の得票差をつけて圧勝した。
和歌山は二階俊博元経産相のおひざ元で、「保守王国・和歌山」とも呼ばれる地。しかし昨夏の衆院選では県内3小選挙区中2選挙区で民主候補が制していただけに、完膚無きまでの大敗は、菅政権にとって大打撃だ。
愛媛県知事選など与野党相乗りを除き、菅民主党が連敗した各選挙で目立つのが、公明党による自民系候補の支援だ。和歌山では推薦こそ見送ったものの、水面下では圧勝した仁坂氏を支援。沖縄県知事選や福岡市長選、衆院北海道5区補選では、いずれも自民党と歩調を合わせ、民主系候補を打ち破った。
公明党内では「来春の地方統一選は民主党と組んでは戦えない」との声が急速に広がっている。公明党の支援を望めないまま、いまだ民主党執行部は統一選で候補者擁立の拡大路線を続けており、このままなら統一選大敗は火を見るより明らかだ。
ジリ貧の菅首相は、知人から「支持率1%でも辞めるな」と言われご満悦に浸ったようだが、地方選の連戦連敗に身内からは“菅降ろし”や“解散・総選挙”の声も出始めた。
原口一博総務相(51)は28日、「今、やらなければいけない改革ができないとするなら、できる人たちで改革をやろう」と述べ、菅おろしを公言。自ら後任首相を目指す考えを示した。民主党政権を追い込んだ元凶の1人である鳩山氏に至っては、「内閣改造する前に私が改造された」などと自虐ネタを炸裂させながら、「このままいくと来年選挙かもしれない」と放言する始末だ。
党内外で敵に囲まれ、米国からは普天間問題の解決のタイムリミットも切られた菅首相。八方ふさがりの現状を打開できるのか。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101129/plt1011291632003-n1.htm
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