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2010年11月29日
菅直人政権は本年6月に鳩山由紀夫の腑抜けな辞任劇で誕生した参議院選専用の臨時内閣の筈だった。
しかし、仙谷・前原を中核とするグループは民主党を小沢一郎から奪う事だけに腐心し、一定の効果を上げた。参議院選必勝が目的の内閣であったが、菅は就任時から鳩山・小沢から託された国政選挙必勝の心構えなど毛頭なかったようだ。
当然のごとく、夏の参議院選では政権与党としてはあり得ないレベルの大敗北を来した。しかし、菅政権及び党幹部の誰ひとり責任も感じず、責任を取る行動もなかった。菅直人・仙谷・前原等は参議院選に負けたのは、日本の腐れマスメディア同様「小沢の政治とカネだ」を合言葉に、正式な民主党政権となる、9月の代表選必勝戦術に明け暮れていた。
9月の代表選は一見公明正大に行われた形式をなぞったが、党員・サポーターの投票ハガキは目隠しシールがなく、ハガキに触れる人間であれば、如何なる操作も可能な投票方法を採用した。それに小沢一郎の検察審査会「強制起訴議決」の情報を絡ませ、今度は民主党議員の判断力を惑わす といった疑問だらけの代表選を実施した。
代表選期間中の小沢一郎と菅直人の政治家としての力量の差は歴然とし過ぎて比較対比するレベルに達していなかった。正常な判断能力を有する人間が、その選択をする場合、悩む状況にはなかった。しかし、結果は驚くべきことに、菅直人が勝利したのである。
菅直人の勝利は、その時点から民主党の凋落を示唆していたわけだが、案の定、息絶え絶えの政権運営に奔走する無様さをみせている。未だに、小沢一郎の「政治とカネ」が菅政権の足を引っ張っていると民主党幹部(岡田幹事長)は嘆く。
腐れマスメディアも、雨だれのように小沢一郎の不利な情報を、各社分業の手法で垂れ流し、愚民に向かって記憶が薄まらない洗脳活動を行っている。
兎にも角にも、菅政権は補正予算を成立させた政権だが、来年1月開催の本会議・本予算を前に「ねじれ国会」を乗り切る算段はついていない。「ねじれ国会」の解決は参議院選前には「みんなの党」との連立等と政局音痴な発言をしていたが、此処に来てターゲットは公明党に絞り込んだ感がある。
しかし、公明党の支持母体・創価学会の菅・仙谷へのアレルギー体質は根深いものだし、“死に体菅政権”と連立を組むことが得策かどうか、公明党は熟考しているに違いない。仮に民主党と連立を組むとしても、何時裏切るか判らない菅・仙谷・前原政権を信ずる根拠は殆どない。それに、菅政権で衆議院任期までの2年半が保証される可能性もない。まして、4月の統一地方選で菅政権との連立がプラスに働くことはなく、概ねがマイナスに作用する。
それでは自民党との連立はどうだろう。たしかに国家存亡の時、小異を捨て大道につく為、保守連立?という意味では大義が成り立つ。しかし、小沢のいない民主党政権など怖くもないし、何時でも政権を奪取できそうに思えるだけに、菅直人のニヤケ顔に首を縦に振るほど自民党も落ちぶれてはいないだろう。ほっておけば、ひたすら支持率を下げるだけの政権と連立を組む事は考えにくい。
谷垣に首相の座を引き渡してでも、菅が政権維持に動くとも思えない。ただ、自民党の財政事情や組織の立て直しに、まだまだ時間が必要だとなると、公明党よりは可能性がありそうだ。
しかし、3年前の小沢代表時の福田自民党連立を「民主主義に反する」と主張した菅・仙谷・前原等が口を拭うには、あまりの豹変、国民も議員も素直に納得出来ることではない。
ここまで考えて行くと、如何に菅政権がお先真っ暗状態に陥っているかが良く判る。
自民党、公明党との連立の可能性は極めて低い。年末の内閣改造で目先を変えようと試みても、仙谷・前原グループからの脱却はあり得ない。小沢一郎に政権禅譲など、ここまで来たら恩を得る材料にさえならない。菅直人の短い秋の世の夢が消えるだけである。
それならイッソ、伝家の宝刀くらい抜刀して、歴史に名を刻もうか、とアノ菅直人なら考えそうである。 所謂、玉砕戦法に出るわけだ。小沢が口にした「破れかぶれ解散」と云う奴だ。当然小沢一郎は、菅直人の性格から、仙谷・前原等の政局運営能力は見透かしているので、事前の手を打っているのは事実だ。民主党衆議院議員の解散総選挙を怖がる心理を巧妙に揺さぶり、代表の座を射止めた菅直人が、口を拭って解散に逃げ込む可能性は十二分にある。
「常在戦場」という意味では、まさにその言葉通りになるのだが、それで民主党が勝てる可能性は、非常に低いものになるだろう。 コラムを書いている最中に、予想通り仲井真現知事の当確が出た。これで、菅政権は政権浮揚のツールを一つ手にすることが出来たようだ。年内の内閣改造だ。
菅直人が首相を降りる筈がない布陣だと、官房長官に前原、外務大臣に岡田、幹事長を仙谷にする可能性が高い。この改造で、国民に菅政権が変わったと云うメッセージを送れるものか疑問だが、菅はイケルと思うだろう。
これで日米関係のギクシャクも解消、日米同盟の深化と云うか、隷属度を明確にし、前原禅譲でシャンシャンシャンを狙うつもりだろう。
問題は菅直人と仙谷・前原・岡田・枝野等の与党政権能力が根本的に欠如した人々のたらい回しで目先を変えようとしても、所詮能力が無いものは無いわけで、菅政権が望むように支持率が回復するとは思えない。結果的に、野党が菅政権の予算編成にどの程度協力するか、どれだけ自公政治へ回帰するかという問題であり、政権交代時の民主党は影も形もなくなると云う事だ。
仮に、自公など野党との協力が得られても、魂のない政権があるだけで、真の民主主義の定着、普通の独立国としての外交、国民のための政治、自立と共生など胡散霧消するのは明らかだ。外交上も、米国、中国、ロシアに足元を狙われ、国益を日々失う政権が長引く事になる。
気がついてみたら、米国の支配のもと、中国の属国でもあると云う奇妙な国家が出現するかもしれない。米中という列強国に挟まれてもがく日本。それは米英露に挟まれ苦しんだ戦前を彷彿とさせるデジャヴの再来だ。
此処まで「民主党」と云う政党のイメージが壊れてしまうと、それを修復するには、破壊した以上の努力と時間が必要になる。かりに小沢や鳩山に政権の座が戻ったとしても、時すでに遅しの感がある。
民主党に見切りをつけるか、菅直人を代表から引きずり降ろすか、どちらかの選択も検討せざるを得ないだろう。小沢一郎にとって、国家国民が大切なのであって、国家国民以上に民主党が大切と云う論はあり得ない。
引きずり降ろすのは簡単だ。両院議員総会の開催は、党所属国会議員の3分の1以上の要請があれば良い。そして菅直人への不信任、代表辞任を過半数で決定すれば良い事である。しかし、悩みはある。小沢側が過半数を制したとしても、半数弱の党内不穏分子が残るわけで、危険この上ない政権が出来上がる。
小沢・鳩山ラインが干されても矜持を持っていたのに比べ、菅・仙谷・前原ラインは平気で裏切り行為をするに違いない。或る意味で、これでは日々が針の筵になってしまう。心おきなく政策を実行できる土俵は成就しない。
ここまで考えてみると、小沢一郎の民主党分党と云うものも検討せざるを得ないようである。間もなく12月が近づき、政党交付金の対象政党結党の期限が近づいている。
筆者の勝手な推測だが、明日は小沢一郎の政治理念実現とその新党の実現性に迫ってみようと思う。今夜は此処までとしておく、オヤスミなさい。
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