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http://www.pjnews.net/news/490/20101126_1
PJ: 高橋 清隆.
【書評】『日本の独立-主権者国民と「米・官・業・政・電」利権複合体の死闘-』植草一秀(飛鳥新社)
2010年11月27日 07:33 JST
【PJニュース 2010年11月27日】エコノミストの植草氏が、現在のわが国の政治状況を歴史や経済学の視点から分析する。512ページの大作で、戦後米国に握られてきた主権を国民の手に取り戻そうと訴える。
原稿は『月刊日本』への寄稿文や自身のブログ「植草一秀の『知られざる真実』」に収められた小論を一部下地にしてあるが、彼の政治論が一つの体系としてまとめてある。専門的な事柄も努めて平易な文章にしていて、国民全体に呼び掛けているのが分かる。
同書によれば、わが国の支配者は「悪徳ペンタゴン」である。これは植草氏の造語で、米国、官僚、大資本、政治屋、電波(メディア)が構成する利権複合体を指す。この支配構造を名実ともに完成させたのが小泉政権だと分析する。
官僚支配の淵源は明治の太政官制に求められる。大久保利通による有司専制、すなわち藩閥官僚への権力集中による独裁政治がそれである。しかし、人民を抑圧する独裁体制に抗議した江藤新平や西郷隆盛らの第二維新運動は弾圧された。
この構図は現在も変わらない。米軍の占領下で始まった戦後政治は、主権者国民派議員と対米隷属派議員の闘いと見ることができる。2009年8月の総選挙で初めて主権者国民派の鳩山内閣が誕生したが、組閣9カ月後の「6・2クーデター」で対米隷属派の菅政権に奪取された。
植草氏によれば、民主党には両派が存在する。現在幅を利かす対米隷属派として、岡田克也氏、前原誠司氏、仙谷由人氏、渡部恒三氏、枝野幸男氏を名指しする。国民主権派の指導者として期待を託すのが、小沢一郎氏だ。両派の軸で、政界の大再編が起きることを期待する。
植草氏は2004年と06年の2度、えん罪事件に巻き込まれている。事件への説明はないが、検察の横暴は身をもって体験しているだけに、説得力を持つ。元大阪高検公安部長検事の三井環(みつい・たまき)氏の証言から、小泉政権発足直後に検察が裏金問題を封じるため官邸に借りを作ったことを指摘。これを機に、検察は小泉首相の私的秘密警察の色彩を帯びることになったという。
天才経済学者としての真骨頂が表れているのは、小泉政権下で行われた国家的経済犯罪の解説部分だ。すなわち、新生銀行の上場認可、りそな銀行の乗っ取り、郵政米営化・私物化、「かんぽの宿」不正払い下げ未遂事件、日本振興銀行設立の闇である。
圧巻は、竹中氏が推進した郵政民営化の魂胆の分析である。植草氏によれば、四分社化の問題の核心は、資産の分割と人員配置にある。資産分割では、郵便事業に必要な不動産だけが郵便事業会社に配分され、残りがすべて郵便局会社と親会社の日本郵政に配分された。人員はゆうちょ銀行とかんぽ生命への配置が最小化される。
この設計の狙いは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を100%売却することにある。買い手にとっては、張り付く人員は少ないほど取り扱いが容易だ。国民資金300兆円の支配権は外国に奪われる。
郵便事業はユニバーサルサービスを維持しなければならず、黒字化が難しい。国営に戻すことが想定されていたのではないかとの指摘だ。郵便事業を国に返すと、残るのは郵便局会社。大量の人員を抱えているため、株価は安い。外資はこれを買い集めれば、巨大不動産会社を手中にできる。
植草氏は、主権者国民派勢力による権力奪取に希望を捨てていない。期待を託すのは、「インターネット上の密度の濃い10万人の読者」である。氏のブログには、1日10万件のアクセスがある。数からすればテレビ視聴者とけたが2つも違うが、明治維新はわずか3000人が日本を動かした。
事件以来、マスメディアから完全に排除された植草氏だが、支配者側は警戒し始めているようだ。9月12日、産経新聞が「“ミラーマン”植草氏が小沢応援? ブログで徹底擁護」の中傷記事を載せている。テレビしか見なければ氏のことなど、忘れているだろうに。11月21日には、国交省が「かんぽの宿」の売却前に不動産鑑定評価が不適当に安くなったことを調査する方針を示した。もはや、真実の広まりは止められないようだ。【了】
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