http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/572.html
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北朝鮮の砲撃のマスゴミ報道が過熱して韓国・延坪(Yeonpyeong)島からの生中継などを行って米国戦争屋への加担を行い、政府どころか社民党、共産党までが北朝鮮非難を行い、国会議決まで行って対米従属をさらけだしているが、このような時こそアセアン諸国と連携して戦争の更なる沈静化を行うような外交を行うべきである。
田中宇氏が冷静な分析を行ってあるので以下に引用します。
以下引用
http://tanakanews.com/101124korea.htm
意外と効果的な北朝鮮の過激策
2010年11月24日 田中 宇
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11月23日、韓国と北朝鮮の国境(軍事分界線)沿いの海上で、南北の軍の間で砲撃戦が起こり、双方に死者が出た。従来、北朝鮮が韓国の領海に向けて砲撃したことは何度もあるが、韓国領の民家も並ぶ地上(延坪島)を砲撃するのは異例だ。朝鮮戦争以来の激しい戦いと評されている。(Two Koreas blame each other for attack)
韓国軍はこの日、北朝鮮の沖合12キロにある韓国領の延坪島の周辺海域で、軍事演習をしていた。韓国政府によると、この演習は3カ月に一度行う「定例のもの」だった。北朝鮮側は演習を非難し、やめるよう求めたが、韓国側はやめなかった。その後、砲撃戦が起きた。しばらく前に北朝鮮は、いつでも韓国を砲撃しうるぞと警告しており、警告どおりのことを実行した。韓国側は、北朝鮮側が先に撃ってきたと言っているが、北朝鮮側は、韓国側が先に撃ってきたと言っている。(North Korean shells aim to shock)
韓国軍は米軍の傘下にある。米軍は、演習をやっているうちに紛れて本当の戦争を起こしてしまう傾向がある。湾岸戦争の発端となった1990年のイラクのクウェート侵攻は、イラクがクウェートに侵攻するシナリオで米軍が演習をやっている間に、本当にイラク軍が攻めてきた。背景には、米国がイラクのサダム・フセインを挑発して侵攻を誘発し、米軍がイラクに「百倍返し」して湾岸戦争を起こす米側の策略があったようだ。
01年の911事件でも、当日ニューヨークでハイジャックテロ対策の演習が行われており、航空管制官らは、演習なのか本物なのか判断できず対応が後手に回り、軍産複合体が望む「テロ戦争」が始まった。今年3月の天安艦沈没事件も米韓演習中に起きた。北朝鮮犯人説が正しいと考えられる証拠は今も出ていない。これらの先例からすると、今回の南北間の砲撃戦も、北朝鮮が先に撃ってきたと断定しない方が良いだろう。(911事件関係の記事)
日本にとって北朝鮮は「敵・悪」で、韓国は「味方・善」なので、善悪論からすると「韓国側が先に砲撃した可能性がある」と書いてしまう私は「悪・非国民・売国奴・北のスパイ・アカ・隠れ朝鮮人」などのレッテルを貼られる(と書くと、本当にそう書いて中傷メールを送ってくる読者がいたりする)。しかし、日本の国益のためには、言論統制用プロパガンダに立脚した敵味方や善悪の価値観の拘束から離れ、事態を客観的かつ複眼的に分析する必要がある。上から下まで「鬼畜米英・神国必勝」と軽信して惨敗し、敵だったはずの相手に60年以上も魂まで差し上げて傀儡国に成り下がっている短絡的な愚行を繰り返してはならない。
日本人は、世界のことにもう少し思慮深くなると、真の意味で国際貢献できるすてきな人々になれるのに、近年は逆に思考停止に拍車がかかっている。かっこ悪い。(発信側である官僚やマスコミによる意味づけの歪曲が主因で、受信側の人々のせいではないのだが)。
▼米韓の反応をさぐるための猛攻撃
もし韓国側が演習の最中に、誤って、もしくは意図的に、先に北側を攻撃したのだとしても、北側からの延坪島に向けた攻撃は異常である。戦争行為そのものだ。この異常さの理由について、マスコミは「金正恩への権力継承の時期なので、意図的に南北間の対立を扇動した」とか「北朝鮮は権力が崩壊しかかっており、軍が勝手に暴走して砲撃した」と説明している。(What Is Kim Jong Il Up to Now?)(Attacks that may signal a Pyongyang implosion)
私から見ると、権力継承の時期なので派手にやっているのは確かだと思うが、北朝鮮の権力が崩壊しかかっていると見るのは間違いである。今春以来の北の何回かの議会や党会議、中国との親密な関係構築の様子からすると、すでに北朝鮮の中枢では中国式の経済開放をやる方向が定まり、数年前より安定している(北の中枢は見えないので、何が起きるか予測しにくいが)。(中国の傘下で生き残る北朝鮮)
私の見方では、北が異様に激しい砲撃をしてきたのは、北の「宗主国」である中国が台頭し、韓国の「宗主国」である米国が衰退する流れの中で、北の激しい攻撃に対して、米韓がどのくらいの強さで北に報復・制裁してくるのか、確かめるのが目的だ。案の定、米韓は、激怒するそぶりを見せつつも、国連での北朝鮮制裁を強めることに消極的だ。そもそも、米国が国連安保理で北に対する追加制裁を提起しても、中国とロシアが反対して流されてしまう。(中国の台頭に反応する周辺諸国(1))
浮き足立っているのは、北朝鮮よりむしろ韓国の方だ。韓国の対米従属派は、冷戦後の91年に米軍が韓国から撤去した核兵器を、また韓国に戻してもらいたいと言い出している。冷戦直後、米国の単独覇権体制が揺るぎない時期には、核兵器を持ち帰ってもらう方が良かった。だが今や、米国が衰退して韓国から撤退していき、中朝が伸してくる中で、むしろ韓国の対米従属派は、核兵器で韓国を米国の支配下に縛ってもらった方が米国に見捨てられずにすむと思うようになっている。対米従属派は日韓ともにM(マゾ)だ(世界中でいじめをやる米国はS)。(Seoul raises spectre of return of US nuclear arms)
韓国は、先日ソウルで開いたG20サミットに際し、以前からの懸案だった米国と自由貿易協定(FTA)を締結(米議会で批准)してもらえると期待したが、それも実現しなかった。むしろ、米当局が連銀の量的緩和策(QE2)によってドル安を誘導したので、韓国はウォン高やインフレに悩まされている。経済面も、米韓の同盟が強化されているとはいいがたい。(US-South Korea fail to agree trade deal)(Seoul raises rates to tackle inflation)
▼イランを真似る北朝鮮の核戦略
私はもう一つの分析として、北の激しい砲撃の裏にある戦略が、北方領土を訪問したロシアのメドベージェフ大統領の戦略と似ているとも感じている。以前の記事に書いたように、メドベージェフは「中露」対「米日」という対立軸を作って中国をロシア(もしくは多極型世界)の方に近づけようとして、日中の喧嘩に割り込むかたちで国後島を訪問した。(◆メドベージェフ北方領土訪問の意味)
同様に北朝鮮は、米中の力関係が逆転する中で「中朝」対「米韓」の対立軸を強化し、優位に立とうとしている。今回のように、38度線の周辺で北朝鮮が米韓との対立を煽る過激策をやると、国内が本質的に不安定なだけに自国周辺の安定を好む中国は、北朝鮮をしかるだろう。しかし中国は、北朝鮮の政権が崩壊すると困るので、あまり北を制裁できない。中国が北朝鮮に最も望むことは、市場経済体制を導入して中国型の安定を実現することだが、北朝鮮は張成沢の出世などによって、その分野の努力をすでに始めており、中国に評価されている。(Young Kim set for early China photo-op)
北朝鮮が米韓を攻撃する無茶をやった後、中国はあまり怒らず、南北双方に対して冷静に対処するよう求めただけだ。北朝鮮は無茶をすることによって「中朝」対「米韓」の構図を強化している。米国は、北朝鮮問題は中国に任せるしかないという態度を強め、米韓の関係が揺らぐ中、韓国は中国に南北問題の解決をゆだねる姿勢を強めている。(US asks China to curb nuclear plans of N Korea)
北朝鮮は、米韓との軍事対立の面ではロシアを真似ているが、核開発の面ではイランを真似ている。北朝鮮は11月前半、米国の核兵器専門家(Siegfried Hecker)を招待し、寧辺の核施設を見学させ、軽水炉と、2000基の遠心分離器からなるウラン濃縮施設を見せた。使用済み核燃料であるウランを濃縮すると核兵器を作れる。米国側は驚愕した。(US scientist says North Korea building light-water reactor)
米専門家が驚いたのは、北朝鮮が意図的に米国側に見せたウラン濃縮事業が、米欧イスラエルから「核兵器開発している」と非難されているイランと同種の事業だったからだ。(Hecker: North Korea now has same nuclear defense as Iran)
以前から何度も書いているように、イランはウラン濃縮をやっているものの、IAEA(国際原子力機関)の査察を受けており、国際的に容認されている発電用の低濃度にとどまり、核兵器の開発をしていない。米イスラエルは「核施設の空爆も辞さず」と言って脅すが、イランは「IAEAの査察を受けつつウラン濃縮することは、あらゆる国に認められた科学技術振興の権利である」と言って核開発をやめず、今ではイスラム世界や中露など、欧米以外の多くの国々が、イランの主張を認めている。12月初めに、EUの主導でイランと欧米との核問題の交渉が再開される予定だ。(善悪が逆転するイラン核問題)(EU: Iran Talks Likely to Begin on December 5)
イランの主張が認められていく今の状況下で、北朝鮮はイランと同様のウラン濃縮を始めた。米イスラエルのプロパガンダを軽信して「イランは核兵器開発している」と思っている人は「北朝鮮はけしからん」と思うだけだが、イランの核開発が国際的に認められた範囲であることをふまえると、北朝鮮の策略が、米国の裏をかく絶妙なものであることが見えてくる。米国は「北朝鮮はイランと同罪だ」と非難するが、今後イランの主張が認められていくと、実は北朝鮮の核事業も問題がなく、不当な濡れ衣をかけていたのは米国の方だという「善悪の逆転」が起きるからだ。
北朝鮮は核実験を行っており、すでに核兵器(未完成?)を持っている。米国と中国は、6カ国協議を再開し、この北の核兵器を没収しようとしており、ちょうど米国の特使が中日韓を回って6カ国協議の日取りを決めようとしていた。北朝鮮は、その最中にウラン濃縮施設を米専門家に見せた。その結果、米国は「北はイランと同罪だ」と怒り出し「北がウラン濃縮をやめない限り6カ国協議を開かない」という立場に転じた。ウラン濃縮は合法なものなので、北朝鮮はやめないだろう。6カ国協議は開かれず、北は核兵器を手放さずにすむ。北朝鮮は、見事に米国の裏をかいている。
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