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◇通常国会も混迷 自民、審議拒否辞さず
自民党が提出した仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議案が26日深夜から27日未明にかけ、参院で可決したことで、菅直人首相の政権運営が厳しさを増すことは確実だ。特に「政権の要」である仙谷氏への問責可決により、政権の負ったダメージは計り知れない。自民党などは11年度予算案を審議する年明けの次期通常国会もにらみ、審議拒否も辞さない構え。菅政権のねじれ国会対策は視界不良のまま年を越すことになる。【中田卓二、竹島一登】
「さよなら」−−26日深夜、参院本会議場で仙谷氏の問責決議案が可決されると、野党席から大きな拍手が起き、議場を去る仙谷氏に「別れの言葉」が飛んだ。これに先立ち、民主党の鉢呂吉雄国対委員長は党代議士会で「過去に問責決議案が可決された例は3例ある。(仙谷、馬淵両氏の)2人は問責に値しない」と反論したが、今後の国会戦略は示せなかった。
法的拘束力はないとはいえ、問責可決の政治的効果は大きい。98年10月に参院で問責が可決された額賀福志郎防衛庁長官(当時)は野党側の審議拒否で辞任。問責が可決された福田康夫元首相と麻生太郎元首相も結果的に退陣や衆院解散に追い込まれた。
国会軽視と受け取られる発言をした柳田稔前法相の問題で事実上の更迭に踏み切った菅首相だが、仙谷氏の扱いは別だ。名実ともに内閣の柱であり、柳田氏の後継法相を兼務したのも仙谷氏。問責決議案の対象となったのは、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、官邸の対応の中心的役割を担ってきたからだ。
菅首相の代わりに国会答弁に立つ機会も多く、自衛隊を「暴力装置」と表現した発言が問題化した。官房長官の立場が揺らげば、政権自体が危うくなるだけに、首相が仙谷氏を留任させることは確実で、民主党側も全力で支える構えだ。
一方、自民党の中曽根弘文参院議員会長は26日深夜、仙谷氏の問責可決後の会見で「週明けからはすべての審議に応じるわけにいかない。(通常国会の官房長官は)当然、別の人になっていると思う」と表明。仙谷氏らが辞任しない限り、次期通常国会の審議にも応じない姿勢を鮮明にした。
民主党の輿石東参院議員会長は26日の参院議員総会であいさつし「問責という言葉がはやっている」とけん制した。しかし、国会審議の見通しは立たなくなり、「問責決議は大変重い」(羽田雄一郎参院国対委員長)との焦りが募る。野党には、「菅首相は内閣改造に踏み切らざるを得ない」との見方も強まった。
ただ、民主党との対決姿勢を鮮明にした自民党にも確たる成算があるわけではない。公明、みんな、新党改革の各党は今国会中も問責対象になった閣僚が出席しない審議には応じる方針で、自民党だけが突出すれば、野党共闘が崩れる可能性も高い。今後の国会情勢に対し、自民党幹部は「これはチキンレースだ。先に降りるわけにはいかない」と語った。
◇法案成立率、過去10年で最低
政府が今国会に新規提出した法案は20本。26日の参院本会議で予算関連法案など9本がやっと成立した。9本中6本は人事院勧告実施のため毎年提出する給与関連法案で、菅内閣としての政策実現につながるものはごくわずか。与党は30日の衆院本会議で、参院が可決済みの統一地方選期日を定める特例法案など2法案を成立させる方針だが、それでも法案の成立率は55%どまり。過去10年の臨時国会の最低記録(67%)を下回る見通しだ。
政権の目玉になるはずだった政治主導確立法案や国会法改正案は、前国会に続いて継続審議。国家戦略室の局格上げも再び先送りになった。
連立を組む国民新党が成立を求める郵政改革法案も不成立になる。下地幹郎幹事長は26日、民主党の岡田克也幹事長と2回会談し「延長も考えてもらいたい」と迫ったが、民主党は一刻も早く閉会したいのが本音。与党間に懸案が残った。
成立にこぎつけた法案も野党主導が目立った。改正放送法は通常国会で修正のうえ廃案。政府が再提出した今国会で、野党は再び「NHK経営委員会への会長の参加」など原口一博前総務相肝いりの規定を削除させたうえで、成立を容認した。
預金保険機構理事長など任期切れポストが出ている国会同意人事は、仙谷官房長官が26日、国会への提示の遅れを理由に1カ月10%の給与返上を発表。しかし記者会見で「(遅れた理由は)国会に聞いてください」と発言し、自民党が「政府の怠慢を無視した発言」(菅義偉元総務相)と猛反発。先行きは不透明だ。
植民地時代に日本に渡った図書を韓国に返還する日韓図書協定の国会承認も見送られる方向となった。民主党は26日、返還に積極的な公明党に協力を呼びかけたが、公明党は「自公両党を分断する思惑に乗る気はない」(幹部)と拒否。民主党国対関係者は26日夜、「参院選敗北のつけがボディーブローのように効いてきた」と無力感をにじませた。
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◇主な政府提出法案の審議状況◇
<成立>
改正地方交付税法
改正給与法
改正放送法
農林漁業6次産業化法
<成立見通し>
統一選臨時特例法案
生物多様性法案
<継続審議見込み>
政治主導確立法案
地域主権3法案
郵政改革法案
労働者派遣法改正案
地球温暖化対策基本法案
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仙谷官房長官:給与の一部返上 同意人事で国会提示遅れる
毎日新聞 2010年11月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20101127ddm003010073000c.html
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