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総額5兆円規模の経済対策を盛り込んだ補正予算の成立に合わせ、自民党は仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議案を参院に提出し、野党の賛成多数で可決された。
問責決議案の可決は、閣僚として不適格との判断を一院が示すもので、その意味は重い。
とくに仙谷氏は問責の理由とされた尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件への対応で、中心的な役割を果たしてきた。自民党は「船長釈放は仙谷氏主導と考えざるを得ないのに、那覇地検の判断だと強弁している」「ビデオを長期間非公開とし、貴重な外交カードを失った」などと批判した。
特に問題なのは、仙谷氏が自衛隊を「暴力装置」と発言したことだ。撤回や謝罪で済む問題ではない。これだけでも安全保障会議を構成する官房長官の職にふさわしくない。
これらを考え合わせても、菅直人首相は「更迭はまったく考えていない」と言い続けるのか。
衝突事件への対応は、菅政権が外交・安全保障政策で失態を繰り返した核心部分といえる。内閣の要となる仙谷氏の問責可決は、政権の統治能力や危機管理能力の欠如を突いており、首相の責任をも問うものである。
北朝鮮による韓国砲撃をめぐる対応でも、首相や内閣の危機管理の欠如が露呈した。来年の通常国会で政権の立て直しを図りたいなら、野党が多数を持つ参院で信任を失った仙谷氏を続投させるのは困難だろう。今も継続している尖閣問題や朝鮮半島の危機に備えるため、どのような布陣を敷くかを考えるべきだ。
内閣不信任案は法的拘束力があるが、問責決議案には拘束力がない。ただ、政治的な効果は大きい。平成10年には当時の額賀福志郎防衛庁長官が問責可決から約1カ月後に辞任に追い込まれた。福田康夫、麻生太郎両氏も首相問責決議案を可決されたが、結果的には2、3カ月後にそれぞれ退陣を余儀なくされた。
自民党は問責決議案の可決に向けて野党をまとめたが、国会の自浄能力にかかわる最大の懸案である小沢一郎元民主党代表の国会招致は実現しなかった。
国民の信を問うときが来たという判断はしなかったようだが、参院多数派のパワーをもっと生かしてほしかった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101127/stt1011270253003-n1.htm
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