http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/409.html
Tweet |
http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/enquete/101125.html
11月のマスコミ各社世論調査で、菅内閣支持率が一様に30%台を割り込み、危険水域に達した。政権発足(6月8日)当時は「反小沢」路線が支持されて70%台の高い支持率を誇ったが、参院選(7月11日)で消費税引き上げを打ち出して大敗した。その後、代表選(9月14日)で、小沢一郎元代表に勝って再選を果たし、支持率を回復させたにもかかわらず、外交上の失態などが重なり、ジリジリと下降線をたどっていた。
国民の民主党離れは、衆院補欠選(北海道5区、10月24日)や福岡市長選の連敗にあらわれているように、来年4月の統一地方選を控え、深刻だ。支持率低下の原因を探すと、枚挙にいとまがない。マニフェスト(政権公約)の「3K」(子ども手当の満額支給、高速道路の無料化、農家の戸別所得補償)はいずれも財源不足を理由に完全に実行されず、民主党らしさを訴えた「脱官僚」、「政治主導」のスローガンもいまや色あせてきた。くわえて、企業・団体献金の受け入れ再開や武器輸出三原則の見直しを唐突に発表して党内が揺れた。さらに尖閣漁船衝突事件やロシア大統領の北方領土訪問では、外交音痴ぶりを露呈させた。
閣僚や党幹部の相次ぐ失言も、政権の迷走ぶりを浮き彫りにした。「事業仕分け」で脚光を浴びた枝野幸男幹事長代理が「政治主導なんてうかつなことを言った」(11月14日)と、本音を漏らせば、内閣の司令塔である仙谷由人官房長官は「自衛隊は暴力装置」と、国会答弁(11月18日)し、すぐに謝罪した。柳田稔法相にいたっては「二つの答弁を使えばいい」と、地元で国会軽視の失言(11月14日)をして辞任に追い込まれた。
こうした状況のなか、菅政権の幕引きをにらんだ動きが活発化し始めた。最近、永田町の耳目を集めたのが、菅首相が公邸に与謝野馨・たちあがれ日本共同代表を招き、会談したことだ(11月18日夜)。与謝野氏は、福田内閣当時に、自民党と民主党との「大連立」を仲介したことで知られるが、最近は、折りにふれて財政再建のために消費税増税を争点にした政界再編を提案している。会談は、それを前提とした解散・総選挙を働きかけたとみられる。
さらに注目されたのは、京都で行われた小沢元代表、鳩山由紀夫前首相、稲盛和夫内閣特別顧問(京セラ名誉会長)による「三者会談」(11月20日)だ。さる4月3日以来の会談で、「ポスト菅」への対応をめぐる会談とみられているが、自民、民主がともに分裂して保守新党が結成される可能性についてが中心的な話題だったといわれている。
菅政権の今後については、(1)臨時国会の終幕で仙谷官房長官の問責決議案が可決され、1月に通常国会を開いても審議がストップし、菅政権が立ち往生し解散する。となると2月の総選挙になるか、菅首相が辞任に追い込まれる、(2)来年の通常国会において、3月末に菅首相の引責辞任と引きかえに予算が成立。新政権は、地方選とダブルで総選挙に踏み切る、(3)政党交付金の基準日(1月1日)にあわせて、12月末にも民主党の小沢グループが分党し、政界再編の引き金になる――というシナリオがささやかれている。
こうした政界再編が現実になるとすれば、やはりキーマンとなるのは小沢氏である。「陸山会事件」で検察審査会の強制起訴を受け、刑事被告人となるため、目下のところは表立っては動いていない。しかし、側近らが「日本の海運を考える議員連盟」などを立ち上げるなど、約150人の勢力を有する「一新会」と「一新倶楽部」を統合してグループを強化するいっぽう、勢力の拡大に腐心しているのも事実だ。新人議員らに早期の解散に備え、自論である「常在戦場」を説いているのも、臨戦態勢を整えるためだとみる向きがもっぱらだ。このほか、自民党内の有志や亀井静香国民新党代表、平沼赳夫・たちあがれ日本共同代表らとの会談を積み重ね、連携を模索している。小沢氏と盟約を結んでいる鳩山氏も、いざとなれば小沢氏に合流するのは確実で、参院民主党を束ねる輿石東参院議員会長も、代表選前に一度は合意した「トロイカ体制の再構築」を菅首相が反故にして以来、小沢支持で動いている。
これに対し、菅首相、仙谷官房長官ラインも、けっして手をこまぬいているわけでない。先の与謝野氏との会談をはじめ、自民党内のリベラル派である谷垣禎一総裁や、反小沢感情の根強いグループとの連携を模索し始めた。見逃せないのは、キャスチングボートを握る公明党の動向だ。山口那津男代表ら執行部には与党入りの志向が強いが、10年にわたる自公連立の中心だった太田昭宏前代表ら一部の幹部は、民主党との連携に慎重という党内事情を抱えている。みんなの党の渡辺喜美代表は、菅政権批判の舌鋒を引く気配を見せていないが、もともとはアジェンダ(課題)が優先の党。最重要スローガンである公務員制度改革の合意ができれば、民主党と組む可能性もけっして消えたわけではない。
「覇道を歩んできた、あざとい状況主義者」(田中秀征元経済企画庁長官、新党さきがけ時代の同志 週刊現代12月4日号)とまで酷評された菅首相だが、どこまで踏んばれるか。もし、菅内閣が崩壊するとすれば、ポスト菅は、下馬評では、菅、仙谷ラインが前原誠司外相を擁立し、対抗馬が予想される岡田克也幹事長には小沢、鳩山、輿石の各氏が加勢し、一騎打ちになるとの見方が多い。しかしいっぽうで、前原氏にぶつける首相候補には、小沢氏は思い切って若返りを狙っているのではないか、との見方がある。いま水面下で浮上しているのは、野田佳彦財務相、松本剛明外務副大臣、原口一博前総務相、樽床伸二前国対委員長、海江田万里経済財政相らの名前で、いずれも小沢派だ。
いっぽう、小沢氏が「救国内閣」と位置づけ、自民党を含む大連立=保守連合を成功させた場合には、相手陣営から首相候補を立てる可能性が大だ。安倍晋三元首相、与謝野氏、平沼氏や渡辺氏(みんなの党代表)らの名があがる。いずれにしろ、小沢氏の頭にあるのは、総選挙で勝てる、新しい党の顔になりうる人物という一点につきる。
(松本泰高=まつもと・たいこう 政治ジャーナリスト、『日本の論点』スタッフライター)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK100掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。