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1.北朝鮮の韓国への砲撃
23日、日本時間の午後2時34分に、黄海上の北方限界線(NLL)に近い韓国西方沖の延坪島に向けて、北朝鮮軍が数十発の砲弾を撃ち込んだ。韓国軍はすぐさま反撃して、互いの砲撃戦に発展。北朝鮮の砲撃は午後3時42分に止まったけれど、韓国軍海兵隊員2人が死亡したほか、隊員16人が重軽傷を負った。更に、砲弾の一部は一部は住居地にも着弾し、民家60〜70軒が炎上した。山火事も発生し、民間人3人が負傷しているという。
韓国の李明博大統領は、確固とした対応をとるべきとの考えを示し、韓国国防省は、北朝鮮による延坪島砲撃は明らかに休戦協定違反であり、意図的に計画された攻撃、との見解を示している。 それに対して、北朝鮮側は、今回の交戦について、「われわれが繰り返し警告したにもかかわらず、韓国が午後1時から数十発の砲弾を発射した。われわれは直ちに強力な反撃を行った」と、韓国から攻撃してきたと主張している。
確かに、今週、坪島近郊の海域で一部の韓国軍部隊が訓練を行っていて、北朝鮮はこの軍事演習を非難していたのは事実。だけど、韓国軍幹部は、訓練の一環で砲弾の発射もしたが、訓練上の砲弾は西に向けて発射しており、北朝鮮を狙ったものではない、と説明している。真相はやがて明らかになるだろうけれど、北朝鮮のこれまでのやり方からみて、おそらくは、北朝鮮から先に仕掛けたのではないかと思われる。尤も、北朝鮮がそれを認めることはないだろうけれど。
今回の砲撃に対して、国際社会は一斉に非難の声を出している。アメリカは、北朝鮮の砲撃を「強く非難する」との声明を発表。北朝鮮に攻撃行動の停止を求めると共に、 同盟国である韓国の防衛と地域の平和・安定の維持に強くコミットしている、と連携を取っていることを明らかにした。また、ロシアのラブロフ外相は、朝鮮半島の緊張の高まりは「甚大な危険」だとの認識を示して、すべての攻撃を即時停止する必要がある、と述べている。
中国は、南北双方が「平和に貢献するためにさらに行動すべきだ」として、中立的な声明。そして6カ国協議の再開が不可欠との認識を示した。日本はというと、午後3時20分、官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置して、現地の情報収集と分析に着手。官邸は「不測の事態」に備えて政府全体として準備するよう指示を出した。突然起こった今回の砲撃戦。これをどう捉えるべきか。
2.金正恩の外交模擬試験
今年の3月に、韓国海軍の哨戒艦「天安」が、韓国西方の黄海で沈没した事件があったけれど、それについて、7月3日にエントリーした「半島の緊張は正雲の練習台にしか過ぎない」の記事の中で、これは、北朝鮮の後継者問題に絡んでいて、後継者候補である3男の金正雲(当時の表記)氏への帝王学の一環として行ったのではないか、と述べたことがある。次に該当記事から一部引用する。
****だから、金正雲氏にしても、後継者として国内で認められるためには、金正日並みに瀬戸際外交に長け、アメリカ、韓国、日本を手玉にとれる力量があることを見せつけておく必要がある。もしかしたら、例の魚雷攻撃も、そのためのいわば「実地訓練」として起こしたのではないか。韓国の哨戒艦を攻撃・沈没させれば、当然、戦争再開の危機が高まる。そんな状況で「金正雲氏」が自ら陣頭指揮を取って、韓国に工作して、中国と話を付け、瀬戸際外交を仕切ることで、成功をおさめたとしたら、周りも正当後継者として認めざるを得なくなる。普通に考えると、その為に、戦争を起こしかねない魚雷攻撃という危険な賭けは、到底できない筈なのだけれど、おそらく、金正日は、オバマ大統領は単独で北朝鮮を攻撃する気はないと見切っていたのだろうと思われる。※記事エントリー当時の表記は金正"雲" 日比野庵本館7/3「半島の緊張は正雲の練習台にしか過ぎない」より
筆者は、今回の砲撃戦も、同じ流れの中で起こしたものと見る。即ち、金正恩が、自分の力で、瀬戸際外交を切り盛りして、見事北朝鮮を生き残らせる、という模擬試験を行ったのではないか、ということ。ただ、前回の「天安沈没事件」との違いがあるとすれば、前回は、金正日が後ろから後見する形で、金正恩に教えながら、やらせていたという面があったと思われるのに対して、今回は、最初から最後まで金正恩が指図する形でやっている可能性が高い、という点。
今回の陸地への攻撃という「過激な挑発」をして、日米韓の3ヶ国、そして中国を相手に外交で手玉に取ることができれば、国内的にも金正恩を後継者として認めるだろうし、今後も北朝鮮が独裁国家として生き残っていけるだろうと考えていると思われる。だけど、いくらなんでも、ここまでしたら、韓国やアメリカが黙っていないだろうとも思えるのだけれど、その辺りちゃんと手は打ってある。それは、ずばり、核。
3.常時防衛出動を発令せよ
今月の12日、アメリカのロスアラモス原子力研究所のヘッカー元所長が、北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設を訪問した際、北朝鮮側に、完成したばかりだというウランの濃縮施設に案内され、2000基の遠心分離機が稼働していると説明されたと明らかにしている。その後、米科学国際安全保障研究所(ISIS)が21日、北朝鮮の寧辺のウラン濃縮施設とみられる建物の衛星写真を公表し、その存在が確認されている。
そして、23日に、複数の北朝鮮高官が訪朝した米国の安全保障問題の専門家、リオン・シーガル氏に対して、北朝鮮は単なる核爆発装置ではなく「核弾頭」を保有していると伝えている。これらは、明らかに意図的なリークであり、単にアメリカとの二国間協議を行いたいというだけじゃなくて、今回の砲撃戦への報復攻撃をするのであれば、すぐさま、核ミサイルで反撃するぞ、という牽制と脅しに使おうとしていると思われる。
手元に核ミサイルがあるぞ、とチラつかせることで、アメリカを牽制して報復攻撃出来なくさせておいて、最終的に、何処からも攻撃させないまま、うやむやに終わらせる。そこまでが今回の狙いではないかと見る。この核をちらつかせた脅しは、実は中国に対しても行われていて、あまりガタガタ口を出すなら、核を打ちこむぞという姿勢を見せることで、中国に対して、北朝鮮を属国ではなく、対等な国として扱えよ、という暗黙のメッセージを送ってる。
だから、大枠でいけば、今回の北朝鮮の韓国に対する攻撃は、金正恩の練習台として使われているのだと思う。日米韓そして中国を相手に、外交ゲーム、或いは瀬戸際外交の練習をしている。極めて危険で綱渡りな練習ではあるけれど。そうしたところまであると仮定すると、同じ脅しが日本に対しても行われることは既定路線と考えておくべきだろう。
つまり、「核を打たれたくなければ、金をよこせ、米をよこせ」と脅してくるだろうということ。なぜそこまで心配するかというと、今回の攻撃で、北朝鮮は、まず、韓国とアメリカからの攻撃を防ぎ、かつそれらとの外交交渉を最優先に取り組むことになると思われるのだけれど、それらとの外交交渉が思わしくなかった場合、特にアメリカとの交渉が拙い方向に行った場合には、北朝鮮は、アメリカの「同盟国」を脅すことで、アメリカの矛先を鈍らせるように仕向けてくると思われるから。
すなわち、日本を脅すことで、アメリカに泣きつかせ、北朝鮮への攻撃を諦めさせるよう仕向けてくる可能性があると見る。だから、日本も無関係ではいられない。近いうちに、北朝鮮から核ミサイルの脅しがくると見ておいたほうがいい。だけど、今の日本はそういう事態にきちんと対応できるかというと極めて怪しい。ハードはいざ知らず、ソフトの面で特に危うい。なぜなら、政府の危機管理体制が全くなっていないから。
今回の砲撃戦に於いても、砲撃が始まったのが午後2時34分なのに対して、官邸に報告が上がったのが、午後3時半頃というから、1時間も経っている。もしも、北朝鮮が核ミサイルを日本に向けて打ってきたらどうするのか。北朝鮮が日本にミサイルを打ったら、着弾まで7〜8分しかないと言われている。
発射の兆候をキャッチして、1時間経って、官邸に連絡が入って、そこから防衛出動をするかどうかの閣議をして云々なんて暢気なことしている間に、官邸は黒こげになっている。尤も、今の菅政権では、北朝鮮がわざわざミサイルを発射するまでもなく、発射するぞ、と一言いうだけで、あっと言う間に白旗を上げてしまうかもしれない。まったく話にならない。
特に、防衛出動を発令しないと自衛隊が動けないという体制は非常に問題。自衛隊の元航空幕僚長の田母神氏が指摘するように、防衛出動が発令できない問題を解決するために、常時防衛出動を発令しておくことを検討すべき。官邸が本当に「不測の事態」に備えるのであれば、ただちに防衛出動を無期限発動して、しかるべき地点にPAC−3を配備するなり、有事即応体制を取るか、それが難しければ、今のような有事「遅応」体制ではなくて、有事「即応」できる体制を整えるべきだと思う。
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