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<イスラム食堂>など : 「本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(10) (「ジャーナリスト同盟」通信)
http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/259.html
投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 11 月 23 日 09:30:59: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: 本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(9) (「ジャーナリスト同盟」通信) 投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 11 月 22 日 12:22:46)

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51685375.html
『「ジャーナリスト同盟」通信』の本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(10)
2010年11月22日から下記を転載投稿します。

=転載開始=

<イスラム食堂> 

 中国の大学生・大学院生は実に恵まれている。政府が教育費に相当の支援を行っているからだ。昔に比べると、それでも大変だというが、日本などと比べると文句なしに立派だ。むろん学生の質は断然高い。学生はキャンパスの寮で生活している。目の前の教室に通い、時間があると図書館に飛び込む。アルバイトに大半の時間を割いて勉強をしなかった筆者のような学生は一人もいない。肝心の食事も心配ない。学生食堂・学食も完備していて問題ない。栄養も値段も。筆者は毎朝、学食の一つであるイスラム食堂を利用した。

 理由は二つある。暖かい豆乳を大きなお椀に入れてくれる。時にはこれを2杯も注文した。もう一つは野菜がたっぷり入っている饅頭である。味がいい。いずれも健康食そのものである。
 料理は他にもあるが、いろいろと確かめるうちに、この二つが絶品であることを確信するに至った。感じでは、多くの学生は広い中華風の学食に集中していた。そのため混雑が激しい。そのこともイスラム食堂利用の理由でもあった。何しろ言葉がわからない。手で指さしながらの注文しかできない文盲人間なのだから。
 また白菜の塩漬けが無料で提供している。これもいい味だ。大きな容器に盛られると、すぐに消えてしまう。人間の舌は民族に差などない。
 朝の7時から開店する。何度かその時間に入った。すると、必ず食事している老夫妻と出くわす。不思議な光景だが、恐らく元教師か外交部OBに違いなかった。これは幸せだ。自宅での食事を回避できる。中には料理だけ注文してキャンパス内の住宅で、のんびりゆっくり食事する者も。OBでもここで暮らせるというと、彼らは最高の福祉を享受していることにもなる。

<校内理髪店のおばさん> 

 中国での散髪が好きな日本人である。一度だけ吹っ掛けられて困ったことがあるが、街中の理容店に入る時、あらかじめ値段を聞くことにすれば問題はない。友人がいれば確かめてから散髪してもらう。

 外交学院の理容店の存在を数年前に知った。昨年もここで散髪した。上海の同済大学でも経験している。散髪だけだから、べら棒に安いのと時間もかからない。散髪に時間をかけるという観念のない人間だから、中国での散髪は最高なのだ。
 むろん、指圧やらのサービスを加える贅沢な散髪もあるが、かえって面倒なのだ。これも育ちかもしれない。幼いころは父親のバリカンで散髪してもらったものなのだから。

 中日関係史学会からタクシーで戻った直後、陶君に理髪店に案内してもらった。片言の日本語を使うおばさんが店主だ。かすかに覚えていた。
 確か父親が日本語の達人で、娘もその影響を受けて少し勉強していたようだ。昨年はそんな話をしてくれた。ハサミとバリカンを使用しての散髪だから、そんなには時間がかからない。幸い客はいなかった。
 おしゃべりしながらの散髪を北京で、というと、これは贅沢な時間である。「娘は結婚せず、仕事に熱中している」という。「御主人は」と聞くと、亡くなって独り暮らしと実にあっけらかんとして答えた。「再婚してはどうですか」というと、彼女は「とんでもない」と首を振った。
 「一人暮らしが最高。好きな時に大好きな食事をする。買い物をする。今が一番幸せな時ですよ」とたたみかけてきた。老いても食事の用意、夫の世話となると、主婦にとって生涯自由はない。こうして学生相手のバリカン生活が幸福の源というのである。
 そういえば、我が家でも思い当たる節がある。彼女の再婚否定は本心に違いなかった。

 散髪後だったか。懐かしい張剣君が彼の親しい陳梅君らと一緒に訪ねてくれた。人懐こい二人には昨年も世話になった。張君は卒業して今年は社会人として仕事をしていた。中国を代表する中央テレビの報道記者になっていたのである。これはすばらしいニュースである。卒業したあとも会いに来てくれる。こんなことは今の若者の価値観にはない。余裕のない証拠でもあるが。

 昔のことを思い出して感激してしまった。女子大の教壇に立っていた時、一人の学生が泣いて「就職を」とせがんできた。こんなことも初めてのことで面食らってしまった。政治家の知り合いはいっぱいいるが、経営者を知らない。
 やむなく宇都宮さんに泣きつくしかなかった。ミノファーゲン製薬本舗社長でもあったからだ。肝臓とアレルギーの特効薬「強ミノ」は、有名な副作用のない薬である。免疫力を高めるいい薬だ。それを製造販売している彼の政治家ともう一つの顔である。事情を説明すると、目の前ですぐに湯浅総務部長を呼んで入社手続きをしてくれた。これには依頼者が仰天してしまった。というよりも、筆者の頼みに即座に応じてくれた宇都宮さんの情愛に感動した。だが、肝心の学生からは一度だけ賀状が届いて、以後それきり連絡がなかった。
 若者の心情がこの程度だと知らされるのだが、薄っぺらな人間関係が正に現代社会なのかもしれない。
 だから、大きなキウイフルーツを3個も買って部屋に入ってきた張君との再会は、またとないお土産となった。マスコミの仕事はきつい。「健康を大事に」と彼に忠告させてもらった。

<蘇夫妻との晩餐> 

 連絡することで、相手に迷惑をかけてしまう場合がある。十分過ぎる接待に対して、である。しかし、北京に来てあいさつをしないのも問題だから、事前に訪問を知らせた。案の定、妻と一緒に会いましょうと電話してくれた。
 中国青年報の蘇海河記者だ。昨年は中国一番の高級北京ダックの店に呼んでくれた。渋ると「家内は医者で金持ち。心配はない」というものだから腰を上げてしまった。
 以前の日本人は北京でダックを食べるのが贅沢の象徴だった。久しく忘れてきたことを昨年、蘇夫妻が思い出させてくれたのだ。彼は学生らが引き揚げたころ、車で迎えに来てくれた。夫人も近くの病院で仕事をしているということだった。
 夕刻の渋滞を計算に入れたらしく、新しく見つけた北京ダックの店に案内してくれた。彼には健康を注意する必要はなかった。漢方医と生活しているのだから。
 広い店内は以前に比べてうるさくない。静かな雰囲気である。豊かな社会だからか。それに脂ぎった料理が少ない。金曜日の夜だから家族連れも目立つ。バブル崩壊以前の日本に雰囲気が似ているのかもしれない。料理の残りを押しつけてきたので、喜んで受け入れた。明日の朝食だ。食堂に行く時間が節約できるだろう。

 寝る前に以前数回会ったことのある呉さんに電話してみた。朝鮮戦争にも従軍したマスコミ人だ。かなりの年齢だ。さすがに「会いに行く」とはいわなかったが、頭脳に衰えはなかった。
 日米ネオコン政権の野望を掌握していた。「韓国・ベトナムからインドなど中国封じ込めに動いている。日米のインド重視は要注意だろう。しかし、これが成功するとは思えない」と分析した。

<暴走・政経塾内閣> 

 日本では自衛隊を自衛軍にする動きが、政権交代後に本格化している。改憲軍拡路線である。松下政経塾政権が本性を露わにしつつある。年末の防衛大綱見直しは、自衛隊の南西方面への大移動を本格化させる。中国を仮想敵にしている作戦である。
 南北朝鮮問題を利用する一方、新たに中国との緊張での改憲軍拡に拍車をかけようという、恐ろしくも愚かな作戦は、ワシントンと連携している。日米産軍複合体主導のアジア外交である。若い日米留学組の日米研究者を欺いても、昔から日本問題に取り組んできている呉さんらの目を誤魔化すことはできない。
 そういえば、武器輸出3原則を緩和させようと政経塾政権は熱心に取り組んでいる。菅総理自ら中国脅威論を議会などであおっている。政経塾の前原外相と歩調を合わせている。漁船問題を引き起こした元凶である前原批判を、どのマスコミも野党もしていない。不思議な国会だから、日本沈没の元凶である財政破綻問題を与野党とも棚上げして、つまらない揚げ足取りに時間を費やしている。

 「個別の問題は、コメントは差し控える。法と証拠で対応するというだけで法務大臣は務まる」と暴言を吐いた柳田大臣が、本日11月22日に辞任した。この発言を伝授したのは法務官僚で、歴代の法務大臣が実践してきたものだ。この答弁を突き崩すことができなかった不甲斐ない野党にも問題がある。官僚の壁を突き崩せない政党・政治家ばかりである。

 また、ヨーロッパではギリシャに次いでアイルランドが財政破綻から、やむなく国際社会に支援を求めた。その後にポルトガルとスペインが後塵を拝するだろう。数日来のNATOとロシアの接近も曰くありげだ。
 北朝鮮の核施設建設問題で、またしてもワシントンが蠢いて東アジアに緊張を振りまいている。ワシントンの謀略家は、徐々に中東から東アジアに的を絞ろうというのか。近い将来、平和憲法を餌食にしようとしているのだろうか。
 ローマ法王によるコンドーム使用容認が、今朝の欧米ニュースのトップを飾っていた。性欲・食欲・権力欲から解放されない人間なのか。

2010年11月22日13時30分記

=転載終了=  

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