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論点シリーズ:憲法70年、必要か ? 憲法改正:緊急事態条項は ?
報ステ:緊急事態条項の危険性、安倍首相とヒットラーの類似点を示唆 !
(mainichi.jp:2017年9月22日より抜粋・転載)
毎日新聞・東京朝刊:毎日ジャーナリズム:
大規模災害や内乱に備えるための「緊急事態条項」が憲法改正項目の候補の一つに浮上している。自民党改憲草案(2012年)は、緊急事態宣言下、内閣は法律と同じ効力を持つ政令を制定でき、国民は国の指示に従わなければならないと記す。一方、「現行法で対応可能」との指摘もある。国民の生命を守るために条項は必要なのか。
◆緊急勅令の再現許すな ! 渡辺治・一橋大名誉教授
緊急事態条項の狙いは、緊急事態を口実に、国会の意思を無視して政府に権限を集中させることにある。ドイツにおけるワイマール共和国の崩壊とナチスの制覇をもたらした教訓が持ち出されるが、より注目しなければならないのは戦前日本の教訓だ。現代の改憲案の緊急事態規定は、戦前の明治憲法のそれをまねたものだからだ。
明治憲法は緊急事態条項の「宝庫」だった。政府はこれを活用して国民を戦時体制に駆り立てた。
明治憲法の緊急事態条項は四つ。議会閉会時に緊急事態が生じた時、政府が議会の議を経ずに法律に代わる命令を出せる緊急勅令(第8条)▽戦時、事変に際し、軍事独裁を可能にする戒厳大権(第14条)▽憲法を停止し、天皇独裁を可能にする非常大権(第31条)▽恐慌等の危機に際し、勅令で行う財政緊急処分(第70条)だ。
いずれも緊急事態に際しての天皇の独裁的権限を規定したものだ。政府にとって使い勝手が良かったのが8条と70条の緊急勅令だ。緊急事態ならば議会を通さず法律に代わる命令を出せるため、歴代内閣は緊急勅令を乱発し、国民に不人気な政策を強行した。
1928(昭和3)年の治安維持法改正は、共産党員の弾圧目的で制定した同法の処罰対象を党の支援者にまで拡大する内容だが、法案は議会の反対多数で廃案となった。だが、時の田中義一内閣は議会閉会直後に同じ内容を緊急勅令で通してしまった。満州事変では緊急勅令を使い、議会にかけずに戦費支出のため国債を増発した。戦前はこうした緊急勅令が100回以上も乱発された。
戦後の日本国憲法は9条で戦争放棄をうたうと同時に、緊急事態条項を条文から外した。だが、この憲法に不満を抱いた保守政治家は、憲法を改正して軍備の保持と同時に、政府権力を強める緊急事態条項の復活を切望した。50年代に発表された憲法改正案には、ほぼ例外なく9条改正とセットでこの条項が明記された。
60年の安保闘争による岸内閣の退陣で、復古的な改憲論は下火となったが、北朝鮮の核開発と東日本大震災が状況を変えた。非常時に政府が迅速に対応するためだとして、緊急事態条項が「国民受けが狙える」項目として復活したのだ。
しかし、政府が非常時に緊急事態条項を使うのは、国民の安全を守るためではない。23(大正12)年の関東大震災の際には、緊急勅令によって戒厳令の一部が発動されたが、そこで行われたのは被災民の迅速な救済ではなかった。報道や言論活動が禁じられ、「暴動の恐れ」を理由に多くの朝鮮人や社会主義者が殺された。政府が行ったのは、緊急事態を口実とした国民の自由の制限と弾圧なのだ。
自民党は条項について国会議員の任期延長に絞って議論するという。だが、自民党の「本命」が緊急命令権にあるのは、戦前の経験を見れば明らかだ。
しかも、緊急事態条項の創設は、海外での武力行使を認める9条改憲とセットになっている。戦争にかかわることを否定している現行憲法の抜本的な転換につながる。
このような憲法改正を認めてはいけない。【聞き手・尾中香尚里】
◆ヒトラーの危険な「手口」 ! 石田勇治・東京大大学院教授
麻生太郎副総理兼財務相が、8月末「ヒトラーはいくら動機が正しくても駄目」と発言した。ヒトラーを肯定的ととれる言葉で引き合いに出して自説を述べるのは論外だ。麻生氏は2013年にも「(ワイマール憲法は)誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」と発言したが、あの時は二つの意味で耳を疑った。
一つは、日本政治の中枢から、主権者である国民が気付かないうちに憲法が変わるのが良いとの考えが表明されたことへの驚き。もう一つは、国家テロと言論弾圧によって議会制民主主義を形骸化させ、独裁体制を樹立したヒトラーの政治手法のどこに模範とすべき点があるのか、という疑問だ。
ヒトラーが「手口」としたのはワイマール憲法48条の緊急事態条項だ。国の安寧と秩序が脅かされた時、普段は認められない緊急措置権(緊急令)の行使を大統領に認めるもので、当初はクーデター対策だった。世界恐慌で政党対立が激化し、国会が機能不全に陥る1930年代初頭には緊急令は法律と同等のものとして多用された。
33年1月に発足したヒトラー政権は、与党が国会に多数の基盤を持たない少数派政権だったが、ヒンデンブルク大統領の緊急措置権に支えられていた。翌月末、国会選挙戦の最中にベルリンの国会議事堂が炎上する事件が起きると、ヒトラーはこれを「共産党による国家転覆の謀略」と断定。
大統領を動かして緊急令を発動させた。人身・言論の自由をはじめ国民の基本権が停止され、共産党議員など左派指導者が一斉に拘束された。
同年3月の国会では、共産党国会議員81人全員が拘禁されるなか、政府は国会の3分の2の賛成を得て授権法(全権委任法)を成立させた。緊急事態条項をてこに立法権を手に入れたヒトラー首相は、政権発足からわずか53日で独裁への道を開いた。
議事堂炎上に伴う緊急令によって、国民の基本権は保障されなくなり、誰でも令状なしに逮捕されるようになった。公権力による人権侵害が合法化され、後のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)につながった。緊急令は45年のドイツ敗戦で連合軍が解除するまで続いた。
戦後に制定されたドイツの憲法(基本法)には当初、緊急事態条項はなかったが、68年の改正で盛り込まれた。だが、これは、主権回復の条約で戦勝国から非常時対応を求められたからだ。改正は、10年に及ぶ議論と3度の修正案を経て行われた。
また、ワイマール憲法への反省から、緊急事態か否かの確定は議会が行うこととし、そのために連邦議会と連邦参議院による(上下両院)常設合同委員会が設けられた。緊急時の議会の責任と権限はむしろ強化され、政府に全権力が集中する仕組みは作られなかった。
為政者のさじ加減で基本権を制限できる規定も存在せず、緊急事態条項は一度も使われていない。
ヒトラー政権の歴史は、緊急事態条項が大きな危険を伴う条文であることを教えている。日本国憲法に盛り込むことが適当なのか、過去の失敗事例に学ぶ視点が必要ではないだろうか。【聞き手・尾中香尚里】
◆震災時など国民守るため ! 百地章・国士舘大特任教授
☆右翼・日本会議系「美しい日本の憲法をつくる会」幹事長・
現行憲法は緊急事態条項を定めていない。国会は平時に時間をかけて法案を審議し、政府が執行していくのが本来のあり方だ。しかし、大規模テロ、大地震などの自然災害、重症急性呼吸器症候群(SARS)の全国拡大のような国家的な緊急事態が生じる可能性はある。
緊急時には緊急時のルールを作っておき、憲法に従って権力乱用を抑制する立憲主義が貫かれるようにしておくことが必要だ。国家が無秩序に陥ることを避け、緊急時にも国民の生命、財産が守られるようにするためだ。
例えば、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した場合、交通網が寸断され、国会議員が集まることができないような状況が想定できる。日本は法治国家だから、憲法および法律に基づいて、すべての政治が行われなくてはいけない。災害対策基本法などいくつかの法律には緊急事態の規定があるが、そのような規定では対応できない場合があり得る。
危機を回避するために、新たな立法措置を取らなければいけないことも予想されるが、国会が機能していない場合、新法を制定しようとしても制定できない。
国会が開けなければ、一時的に内閣が緊急政令を出して法律に代わる立法を行うことによって、危機を乗り切り、国民の生命と財産を守っていく必要がある。
加えて、国会議員の任期も憲法で定めているので、法律で延長することはできない。だから、任期延長の特例を認めるにしても、憲法の中に根拠規定を設ける必要があるだろう。
明治憲法8条は「緊急勅令制度」を定めていた。関東大震災時には、帝国議会が召集できず、当時の山本権兵衛内閣は被災者救援の十数本の緊急勅令を出して、被災者の食糧確保や物資供給のために商取引の制限などを実施した。だが、現行憲法では緊急政令は認められていないので、対策の施しようがない。
憲法に緊急事態条項を置かなくても、例えば、災害対策基本法などの法律で対応できるという意見がある。実際、災害対策基本法105条は「『災害緊急事態』を布告できる」と定めているが、東日本大震災の後、菅直人内閣は「災害緊急事態」を布告しなかった。
被災地ではガソリンが不足して救援物資が輸送できなかったり、建造物の「財産権」の壁に阻まれて地方自治体が、がれきを撤去することができなかったりしたケースがあった。
当時、災害対策基本法に基づいて「災害緊急事態」が布告されていれば、「国会閉会中」が条件だが、政府は「緊急政令」を制定して、食料や水、ガソリンなどの「生活必需物資の取引制限や禁止」を命じたり、「物品の価格統制」を行ったりするなどの緊急措置が実施できたはずだった。
「災害緊急事態」を布告しなかった理由について、政府の役人は「憲法に定める権利や自由を大きく制約する恐れがあるため、慎重にならざるを得なかった」と説明していた。災害対策基本法に規定があるのに、憲法との整合性から「災害緊急事態」の布告もできないのなら、憲法に緊急事態条項を明記しておくべきだ。【聞き手・南恵太】
◆「何人も国の指示に従わせる」
自由民主党「日本国憲法改正草案」
第98条(1項) 内閣総理大臣は、(略)緊急事態の宣言を発することができる。
第99条(1項) 緊急事態の宣言が発せられたときは、(略)内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる(略)
(3項) (略)何人も、(略)国その他公の機関の指示に従わなければならない。(略)
(4項) (略)宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されない(略)
(参考資料)
『報ステ』古舘伊知郎が最後の反撃 !
ドイツ取材で緊急事態条項の危険性、
安倍首相とヒットラーの類似点を示唆 !
(biz-journal.jpい:2016.03.19より抜粋・転載)
◆特集は、合法的独裁を狙う、安倍自民党・改憲草案
・「緊急事態条項」だった !
2016年3月18日に放送された、『報道ステーション』(テレビ朝日)が、いま大きな話題を集めている。というのも、18日夜の特集は、安倍首相が改憲の入口として新設を目論んでいる「緊急事態条項」だった。しかも、ヒトラーが独裁のために悪用した「国家緊急権」と重ね合わせるという、安倍首相が、激怒すること間違いなしの内容で、古舘伊知郎キャスター自らが、ドイツへ渡りレポートする力の入れようだったからだ。
まず、古舘キャスターは、ドイツからのレポートの最初に、こう話した。
☆ヒトラーは、合法的に独裁を実現している !
「ヒトラーというのは、軍やクーデターで、独裁を確立したわけじゃありません。合法的に(独裁を)実現しているんです。じつは、世界一民主的なワイマール憲法のひとつの条文が、独裁につながってしまった。そして、ヒトラーは、ついには、ワイマール憲法自体を停止させました」
「ヒトラー独裁への経緯というのを振り返っていくと、まあ、日本がそんなふうになるとは到底思わない。ただ、いま日本は憲法改正の動きがある。立ち止まって考えなきゃいけないポイントがあるんです」 独裁の道に走らせたワイマール憲法の条文、それこそが「国家緊急権」だ。
「大統領は公共の安全と秩序回復のため必要な措置を取ることができる」という条文をヒトラーは悪用、集会やデモの開催を禁止し、出版物を取り締まり、共産主義者を逮捕し、野党の自由を奪い、あらゆる基本的人権を停止させた。ここまでは教科書にも書いてあることだが、本題はここから。この「国家緊急権」が「緊急事態条項」とそっくりではないか、と言及するのだ。
☆ヒトラーの「国家緊急権」が、安倍自民党の
「緊急事態条項」とそっくりだ !
国家緊急権と緊急事態条項が、そっくりだというのは、本サイトでも昨年から繰り返し指摘してきた。安倍政権は大規模な自然災害時に迅速に対応するために緊急事態条項が必要なのだと強調するが、これは建前に過ぎない。事実、自民党による憲法改正草案の該当箇所には、こうある。
《(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。》
☆緊急事態宣言は、国会の承認が必要だが事後でもいいので、
独裁は、事後承認でやりたい放題できる !
☆改憲(実は大改悪)人類普遍の権利でさえ「最大限尊重」
(厳守ではない)程度の扱いになる !
☆衆参で3分の2以上の議席になれば、安倍首相は、
ヒトラーのように独裁にひた走る !
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