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井上・公明党幹事長の衆院代表質問(要旨)(上)
今と自公連立前の公明党の比較資料
(www.komei.or.jp:2016年9月29日(木)付より抜粋・転載)
公明新聞:アベノミクス加速国会
安倍首相は今国会を「アベノミクス加速国会」と位置付けられ、最低賃金の引き上げや中小企業・小規模事業者の資金繰り支援、無年金者対策など、あらゆる政策を総動員し、事業規模28兆円を超える経済対策で、アベノミクスをより一層加速させ、「結果を出す」ことに、強い決意を述べられました。私も同じ思いであります。
安倍内閣発足から3年9カ月が経過し、自民党と公明党の連立政権による政治の安定と、機敏かつ的確な政策対応により、日本経済は大きく改善しています。
7月の参議院選挙で、自公連立与党が改選議席の過半数を大きく上回る勝利を得ることができたのも「政治の安定」を求める国民の意思の表れであり、私たちに寄せられた国民の期待ではないでしょうか。
デフレ脱却まであと一歩、経済再生は正念場を迎えています。経済成長の成果を地方、中小・小規模事業者、家計にまで届け、「成長と分配の好循環」をより確実なものとしなければなりません。
◆今夏の豪雨被害
この夏、8月から9月にかけて、一連の台風によって記録的な豪雨が相次ぎ、東北、北海道を中心に日本各地で、生活インフラや農業、水産業等に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々、被災された皆さまに心からのお悔みと、お見舞いを申し上げます。
公明党は、発災直後から国会議員を被災地に派遣し、地方議員と連携して、被災者や被災自治体など現場のニーズを調査し、迅速に対応してきました。
私自身も岩手県釜石市などの被災現場に急行しました。
サケ・マスのふ化場や養殖施設は壊滅状態。漁港では、流木などの漂流物が散乱し、東日本大震災後に、ようやく新しくそろえた漁船や機械にも被害が発生。崩落した道路、濁流によってえぐられた河岸など、甚大な被災状況を目の当たりにしました。震災復興の途上で追い打ちをかける深刻な被害に、住民のショックは計り知れません。
公明党は今月14日、各地の被災現場で実施した調査に基づき、復旧・復興に向けた「緊急要望」を政府に提出。政府も16日の閣議で、今回の暴風・豪雨災害に対し、いち早く激甚災害の指定を決めました。
今後さらに、インフラの復旧・復興はもとより、被災者の生活や住宅再建、なりわいの再生など、ソフト・ハードの両面から、適切な支援策を、迅速かつ、きめ細やかに実施する必要があります。
◆景気・経済政策
中小企業の成長が不可欠、地域経済を活性化する成長戦略
アベノミクスにより有効求人倍率は史上初めて、47都道府県全てで1倍を超え、実質賃金もプラスに転じ、6カ月連続でアップ。雇用の拡大、賃金の上昇による「経済の好循環」は着実に実現しつつあります。
しかし、明るい兆しが見えてきたとはいえ、少子高齢化、人口減社会の中で、安定した経済成長を実現するためには、本格的な「成長と分配の好循環」の確立が必要です。成長による果実が生まれなければ分配もなく、適切な分配なくして安定した成長はあり得ないからです。
なかでも、日本経済の発展のためには、地域に根を張り、活躍する中小・小規模事業者の成長が不可欠です。2点に絞って質問します。
一つは、技術革新と新しい産業革命に対する取り組みです。
ロボット技術や新素材開発、ナノテクノロジー、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、ビッグデータなどを活用した「第4次産業革命」をさらに加速させ、新たな需要の創出と生産性を向上させなければなりません。
そのためには、官民を挙げて、科学技術研究費の大幅な拡充に向けて大胆な目標を掲げ取り組むべきです。同時に、科学技術の実用化や、地域の中小・小規模事業者に対する導入支援を積極的に行うことが成長力をさらに加速させる鍵であると考えます。
もう一つ、地方創生を後押しする観光戦略の推進も地域経済の起爆剤となる成長の柱です。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、世界中から日本の魅力に注目が集まります。この絶好の機会を逃すことなく、観光振興による内需拡大策を集中的に展開すべきです。
◆第2次補正予算案
一方、8月2日には、世界経済の潜在的なリスクに対応するため、足元の経済の現状を踏まえ、「未来への投資を実現する経済対策」を取りまとめました。そして2016年度第2次補正予算案が編成され、具体的な対応が始まろうとしています。
今回の補正予算の特徴は、1億総活躍社会の実現に向けた子育て、介護の環境整備や訪日外国人観光客の増加に向けた環境整備といった未来につながる投資、また、水道管の更新など生活密着型のインフラ投資策が盛り込まれている点です。
古くなった水道管の漏水は早急な対応が必要であり、それを担うのは主に地元の中小・小規模事業者です。地方や中小企業が主役となる投資策であり地域経済の下支えになると期待されます。
◆働き方改革・長時間労働の是正を
働き方改革の具体的な検討を行う「働き方改革実現会議」が今月より始動しました。
今回の改革は、長時間労働の是正をはじめ、同一労働同一賃金の実現など非正規労働者の待遇改善にも積極果敢に挑み、実行できるかどうか、政府の本気度が問われます。
当然、実行段階においては、労使の合意や雇用への影響などの配慮は必要ですが、国民一人一人の活躍を後押ししていくためにも、スピード感を持って実効性ある取り組みを進めていただきたい。
第一に着手すべき課題は、長時間労働の是正です。
わが国は欧州諸国と比べて週49時間以上働く長時間労働者の割合が高く、ワーク・ライフ・バランスや健康保持の観点からも、思い切った労働時間法制の見直しが必要です。
三六協定で定める「時間外労働の限度基準」の実効性の確保とともに、「特別条項付き協定」を結べば、さらに労働時間を延長できる現行の仕組みを見直し、上限規制を設けるべきと考えます。
また、勤務終了時から次の始業時までに、一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」について、今回の第2次補正予算案に、導入する中小企業への助成が盛り込まれましたが、さらに各企業での取り組みが進むよう、導入に向けた指針の作成や情報提供など、必要な支援を継続すべきです。
非正規労働者の待遇改善
第二は、非正規労働者の待遇改善です。
公明党は、非正規労働者の時間当たり賃金が正社員の6割程度である現状を改め、欧州並みの8割程度に引き上げるために、同一労働同一賃金の実現に向けた検討を急ぐべきと申し上げてきました。
導入に向けては、労働時間が異なる労働者間の賃金の差異をどこまで認めるかなど、さまざまな課題が指摘されています。
雇用形態にかかわらず「合理的理由」のない不利益な取り扱いを禁止するという基本的な考え方のもと、日本型の雇用慣行や中小企業に留意しつつ、同一労働同一賃金の実現に向け、どのように法改正やガイドラインの策定を進めていくかが大変、重要です。
併せて、賃金の引き上げと労働生産性の向上を図るためには、非正規労働者に対する能力開発機会の拡大が必要であり、教育訓練給付の拡充など労働者の生涯を通じたキャリア形成支援を強化すべきと考えます。
◆社会保障の充実・無年金者対策を確実に
わが国の高齢者人口が増え続け、医療費は2014年度に初めて40兆円を突破しました。社会保障給付費が年々増え続ける中、消費税率引き上げの再延期により、「社会保障の充実が行き詰まる」のではないかと心配する声があります。
しかし、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築するため、民主、自民、公明の3党合意に基づき、社会保障と税の一体改革を進めるという基本的な枠組みは変わりません。「3党合意は生きている」ということを改めて強く申し上げておきたいと思います。
加速する高齢化などを踏まえた改革の工程表の見直しは必要ですが、消費税率引き上げを再延期しても、一体改革の基本に沿ってしっかりと推進しなければなりません。
その上で、消費税率10%への引き上げと同時に予定していた社会保障の充実策については、必要な財源を確保し、可能な限り前倒しして実施すべきです。
公明党が強く主張してきた年金機能強化法の改正法案が今国会に提出されました。これにより、年金の受給資格の取得期間が25年から10年に短縮され、今まで年金を受給できなかった人も、保険料を10年間納めていれば年金が受け取れるようになります。
新たに年金を受給できる人は約64万人に上ります。この法改正によって、年金を受け取れる人のすそ野が広がる大きな改革です。2017年度中の早い段階で、確実に実施すべきと考えます。
◆福祉・介護人材の確保
首相は所信表明演説で「介護の仕事は、本当にやりがいがある」と述べた学生の言葉を引用し、人材確保への決意を語られました。
しかし、生産年齢人口が減る中、人材の確保が簡単でないのも事実です。福祉・介護人材の賃金は2017年度予算の厚生労働省の概算要求に月1万円引き上げることが盛り込まれていますが、併せて、ICT(情報通信技術)や介護ロボット等による負担軽減、職場環境の改善とともに、キャリアアップの仕組みづくりも促進すべきです。
◆がん対策の強化
がん検診受診率の向上に効果が大きい個別の受診勧奨・再勧奨の対象を今後、拡大する方針と聞いていますが、新たな取り組みの効果について検証が必要です。
また、緩和ケアについては、いまだに終末期の医療だと誤解している人が多くいます。がんの診断早期から治療と並行して行うことで身体的にも精神的にも苦痛が少なく過ごすことができます。
たとえ「がんになっても、痛まない、苦しまない」社会を築かなければなりません。そのためには、全ての医療従事者が基本的な知識と技術を身に付けるための緩和ケア研修が重要です。
一方、2人に1人ががんになる時代となり、がんの罹患者が年々増え続けています。そこでがんとの共生について具体的な対策が求められています。特に、がんになっても働ける環境づくりが必要です。また、学校や職場におけるがん教育も重要です。
以上、来年6月の「がん対策推進基本計画」の見直しを見据え、患者に寄り添ったがん対策の強化について伺います。−この続きは次回投稿します−
(参考資料)
今と自公連立前の公明党の比較資料
T 公明党「中道革新連合政権」構想5項目
公明党初期(池田第三代会長時代):
(島田裕巳『創価学会・もう一つのニッポン』139頁等):
@ 反自民党、反大資本、中道主義
A 平和・自立・中立政策に基づく外交政策、「日米安保条約の段階的解消」
在日米軍基地段階的縮小、
B 日本国憲法と議会制民主主義の擁護、
C 国民福祉優先の経済政策
D政治経済の改革手段としての暴力革命・急進主義を否定し、漸進主義を選択する。
U 自公連立前の公明党のスタンス:
政権交代で改革実現 !
(1) 自民党の一党支配を打破し、新政権軸を目指す !
(石田委員長)公明党の基本路線:
1993年7月、総選挙に臨む基本姿勢について、石田委員長は「自民党の一党支配の下で、『政治腐敗が起こる® 改革が叫ばれる® 改革が実現しない® 選挙で政権が動かない® また腐敗が起こる』というような“悪循環”が何度となく繰り返され、今まさに政治不信はその極に達している。
この『“悪循環”を繰り返してきた最大の原因』は、“自民党に代わる政権の受け皿がなかった”ということであると思う」と日本プレスセンターで発言しました。
さらに、「政治を刷新して、緊張感を持たせる、また、政・官・財の癒着を断ち切るには、どうしても二つの問題が重要になってくる。
1つは“政権交代のシステム”であり、もう1つは“抜本的政治改革”だ」と主張しました。
(1998年まで、この政権交代を目指す路線を続け、自民党・マスコミから昭和32年の大阪事件以来、迫害・誹謗中傷をうけていました。公明新聞1993年7月6日号3面)
(2)政権を選択できる、二大政党制をつくりたい !
(浜四津敏子代表):
日本が構造改革のできない行き詰ったシステムになったのは、自民党一党支配の政治できたからです。これを脱却し、健全で成熟した民主主義を発展させるには、一党だけが長期に政権を握り続ける体制は好ましくありません。つまり、国民が政策・政治姿勢を判断し、「今回は、こちらの政権に日本の政治を任せてみよう」という、政権を選択できる二大政権政党もしくは二大政権勢力が日本に存在することが、中長期的に好ましいと思います(浜四津敏子代表「公明新聞1998年8月16日号1面」)。
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