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労働者や年金生活者にとって、円安と
インフレ率上昇は、百害あって一利なしだ !
米国流・新自由主義経済政策が
日本国民の生命を脅かすのだ !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/01/30より抜粋・転載)
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1)賛成5、反対4の採決で、日銀がマイナス
金利採用に踏み切った !
2)安倍政権従属の金融政策を遂行するために、
5名を支配下に置いている !
3)第二次安倍政権発足後に起用した5名の総裁、副総裁、
審議委員のすべてを、リフレ派に染め抜いた !
4)中央銀行の独立性を尊重せず、
安倍政権の支配下に日銀を置いている !
5)マイナス金利導入で、金利低下でメリットを受ける
セクターを中心に、株価=官製相場が上昇した !
6)日銀支配・安倍政権下、量的金融緩和は
大規模に実施されたが、インフレ誘導は失敗だった !
7)日銀支配・安倍政権下、金融政策全体が、
かなり、手詰まりな状況になっている !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
8)上海総合指数が、2000ポイントから2600
ポイントの水準で底入れするのか否かが重要だ !
上海総合指数が、2000ポイントから2600ポイントの水準で底入れするのかどうかが、当面の重要な焦点である。
原油価格も1バレル=30ドルを割り込み、金融変動のリズムとして、底練り反動が想定される、タイミングに差し掛かっていた。
そのタイミングでマイナス金利が提示されたから、それなりの効果が表れたと見られる。
短期の循環変動の側面から考えれば、この流れが、暫くは、持つ可能性はある。
9)マイナス金利政策と量的金融緩和政策
との整合性が成り立ちにくい !
しかし、再論になるが、金融政策の効果波及メカニズムから考えると、マイナス金利政策と量的金融緩和政策との整合性が成り立ちにくい面を否めない。
ミルトン・フリードマンなどの、いわゆるマネタリストと呼ばれる経済学者が見出した経験則は、マネーストックと名目取引量の連動関係だった。
マネーストックの増大が、名目取引量、名目GDPを増大させる。
マネーストックを増大させれば、インフレ率を引き上げられる、あるいは、マネーストックを減少させれば、インフレ率を引下げられるというものだった。
10)マネーストックの増大が、名目取引量、名目GDPを増大させる、
重要なことは、マネーストックを増大だ !
この意味で、重要なことは、マネーストックを増大させるということになる。
ところが、短期金融市場に中央銀行が資金を大量供給しても、マネーストックが増大するとは限らない。
現実に、日本ではベースマネーの大量供給が実施されてきたが、マネーストックは大幅には増大しなかった。結果として、インフレ誘導にも失敗した。
マネーストックが増大するためには、金融機関の対市中での与信が拡大することが必要だ。
銀行貸出が増大して、初めてマネーストックが増大する。
市中銀行に対する中央銀行のベースマネー供給=準備預金量増大策は、市中銀行が対市中での与信を拡大させる必要条件ではなるが、十分条件ではない。
11)この3年間の現実は、準備預金は増えたが、
銀行が対市中での貸出を増やさなかった !
準備預金は増えたが、銀行が対市中での貸出を増やさないことがあり得るからである。
実際に、この3年間の現実は、このことが発生したことを示している。
1月29日の東京株式市場では、銀行の株価が下落した。
マイナス金利は、銀行が日本銀行から受け取る利息収入を大幅に減少させる恐れがあり、銀行の収益が悪化することが懸念されたのである。
12)銀行は、マイナス金利が適用される部分の
準備預金量を節約し、ベースマネーが減少する !
銀行は、マイナス金利が適用される部分の準備預金量を節約しようとするだろう。
この行動が、ベースマネーを減少させる恐れがある。
そうなると、これまで推進されてきた量的金融緩和政策との整合性が取れなくなる。
マイナス金利導入で長期金利も低下して、史上最低金利を更新した。
その影響で、金利低下で恩恵を受けるセクターの株価が上昇した。これは順当なことである。
金融機関は、余資を振り向ける先を外貨に求める可能性がある。
このマネーフローが円安を促す可能性もある。
13)労働者や年金生活者にとって、円安と
インフレ率上昇は、百害あって一利なしだ !
しかし、円安が進行して恩恵を蒙るのは、輸出大企業だけであることが、これまでの3年間の経験で明らかになっている。
労働者や年金生活者にとって、円安とインフレ率上昇は百害あって一利のないものだ。
実質賃金は減り、年金の実質価値は減り、虎の子の貯金の実質価値が減少するからだ。
こうした政策決定に、輸出大企業幹部が関与するということも正当な状況ではない。
円安と歓迎する輸出製造業出身の日銀審議委員はマイナス金利政策に賛成し、円安でデメリットを受ける電力会社OBの日銀審議委員は、量的金融緩和政策に反対票を投じるというのは、分かりやすいが、そもそも、日銀の政策決定が、こうした利害関係で決定されることがおかしいのである。
マイナス金利導入で、目先は局面の変化があり得るが、日本経済を国民目線でしっかりと引き上げる経済政策が検討されなければ、今回の政策決定も、「弥縫策」の域を出ないことになるだろう。
*「弥縫策」:びほう‐さく:
一時のがれに、とりつくろって間に合わせるための方策。「―を講じる」
*補足説明:リフレ政策とは ?
リフレ‐せいさく【リフレ政策】(kotobank.jpより抜粋・転載)
《reflation policy》不況時に生産活動が停滞しているとき、インフレの発生を避けながら、金利の引き下げや財政支出の拡大などにより景気を刺激し、景気回復を図ること。代表的なものに1933年以降、米国で採用されたニューディール政策がある。
リフレーション政策。
(参考資料)
米国流・新自由主義経済政策が日本国民の生命を脅かすのだ !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/01/18より抜粋・転載)
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1)米国流に、すべての基本に市場原理を置く
ことには、弊害があることを留意すべきだ !
すべての基本に市場原理を置くことには、弊害があることを留意するべきだ。
市場原理によって資源の配分が、効率化することを否定するつもりはない。
市場メカニズム、価格機能が資源配分の効率化をもたらすのは事実である。
しかし、何から何まで市場に委ねれば良いというわけではない。
消費者はモノやサービスの価値と価格を吟味する。
高い価値のあるものを安い価格で買いたいと考える。当然のことだろう。
しかし、モノやサービスの価値を正しく知ることは、実は難しい。
2)多くの分野で、モノやサービスの価値・「安全」が、分かりにくい !
価値の違いが誰の目にもはっきりと、間違いなく分かるものであれば問題はないだろう。
しかし、多くの分野で、モノやサービスの価値が分かりにくい場合がある。
「安全」に関する本当の価値は、実は分かりにくい部分がある。
「安全」が問題になるのは、例えば、今回のバス事故のような乗り合いバスの安全性。
あるいは、食品の放射線量や添加物、残留農薬などの問題。
ステーキを安く提供する店があるが、消費者がどのような肉を食べているのかについては、その詳細は分かりにくい。
3)バス等の安全性・食品の放射線量や添加物、
残留農薬等、消費者には、わかりにくい !
消費者はできるだけ高い価値のモノやサービスを、できるだけ安い価格で買おうとするだろう。
他方で、事業者の多くは、利益を追求する。
事業者が投入するコストに比例して、モノやサービスの価値が高まるという前提を置くと、事業者にとっては、できるだけ価値の低いモノやサービスを、できるだけ高い価格で売ることに努めるだろう。
しかしながら、例えば、乗り合いバスのような例で考えると、普通の消費者は、目的地まで行って、目的地から帰ることだけを考えると、そのサービスの価値は、どの事業者でも大差がないから、できるだけ安い価格を提示する事業者のサービスを選択しようとするだろう。
4)市場での競争は、もっぱら価格競争だけに集中する傾向になりやすい !
そうなると、市場での競争は、もっぱら価格競争だけに集中することになる。
事業者の競争は、単純な価格競争に陥り、そのなかで利益を出そうとすれば、提供するサービスの質を低下させざるを得なくなる。
今回のバス事故では、規則で定められている価格を、大幅に下回る価格でバス会社のサービスが提供されていたことが判明した。
5)価格競争により、見た目には分かりにくい
部分で、実質的なサービスの劣化が生まれる !
消費者には、「目的地に行き、目的地から帰る」というサービスの基本内容だけしか見えないが、過酷な価格競争が展開されると、こうした、見た目には分かりにくい部分で、実質的なサービスの劣化が生まれることになる。
この構造によって発生した事故であるとすれば、この事故を、単なる偶然によって引き起こされた
「事故」として済ませぬ部分が浮かび上がる。
6)消費者にわかりにくい事については、公的な
規制を設定することも検討すべきだ !
人間の生命に関わる重大な問題であるなら、そこに公的な規制を設定することも検討すべきということになる。例えば、食品に関して、さまざまな添加物の使用制限がある。
カビの混入も許されない。
賞味期限切れの食品の流通も許されない。
食肉などでは、産地や種別の表示に対する厳しい規制も存在する。
したがって、安全な旅客輸送を確保するためには、厳正な規制の設定と、その規制を遵守させる体制の確立が不可欠なのである。
すべてを市場原理に委ねて、制限のない競争を是認すれば、いくらでも、この種の悲劇が発生してしまう。
7)小泉自公政権以降、日本では、規制撤廃、市場原理が、
唯一の正義であるかのような論説が横行 !
2001年の小泉政権誕生以降、この国では、規制撤廃、市場原理が、唯一の正義であるかのような論説が振り撒かれてきた。
そして、市場メカニズムで勝者と敗者が生まれ、勝者だけが肥え太り、弱者がせん滅されてしまうことを是認する風潮が強化されてきた。その流れを後押ししているのが、いまの安倍政権である。
しかし、その流れが正しくはないことを、私たちははっきりと認識するべきである。
価格メカニズムをすべて否定する考えは毛頭ないが、価格メカニズムだけにすべてを委ねることは明らかな誤りなのである。価格メカニズムが十分に機能できない部分がある。
8)消費者にわかりにくい事では、人びとの生命を守るための
厳しい運用体制が必要不可欠だ !
9)消費者に、商品や会社について、信用できる
客観的な情報が十分に提供されていない !
10)判断材料として、各種の口コミ、消費者による評価情報が重要だ !
―以下省略します―
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