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民主党・岡田代表、参院選で改憲阻止の姿勢を明確に !
自民党の「憲法改正草案」への、憲法学者の意見は ?
(headlines.yahoo.co.jp:毎日新聞 12月17日(木)21時49分配信より抜粋・転載)
<民主>岡田代表、参院選で改憲阻止姿勢を明確に
民主党の岡田克也代表は、12月17日の記者会見で「来夏の参院選で(自民党など改憲に積極的な勢力が)3分の2を取れば憲法改正に進む。
安倍政権の憲法9条改正には反対だ」と述べた。
政権の改憲志向を強調することで、与党の圧勝を阻止する姿勢を明確にした。
「安倍首相は立憲主義についての考えが基本的に間違っている」。岡田氏は会見でこう述べ、立憲主義が参院選の争点の一つになるとの見通しを示した。
岡田氏の発言には、学生団体「SEALDs(シールズ)」など安全保障関連法に反対する市民団体の支持を取り付ける狙いがある。
無党派層や若者も多く加わる市民団体の協力は票の上積みに直結する上、市民団体は党候補が出せない1人区で擁立を進める見通しで、市民団体との協力関係が選挙情勢を左右する可能性がある。
さらには、首相に近い野党勢力から改憲への協力姿勢を示す動きが相次ぐ。
「おおさか維新の会」の松井一郎代表(大阪府知事)は12日、「憲法改正に必要な3分の2の勢力に入る」と明言し、次世代の党も基本政策に自主憲法制定を盛り込んだ。
自民、公明両党は衆院で改憲の発議に必要な3分の2以上の議席を維持しており、参院選で与党やおおさか維新が圧勝すれば参院でも3分の2以上を確保しかねないと民主側は警戒している。
民主党は、党内に保守系とリベラル系を抱え、改憲への賛否が分かれる。
2014年の衆院選の党公約でも「未来志向の憲法」と改憲容認をにじませた。
統一会派結成で合意した維新の党も改憲に前向きなだけに、改憲問題の取り扱い次第では党内や統一会派内で火種になりかねない。【影山哲也、松本晃】
(参考資料)
憲法学者は自民党改憲案をどう読んだか ?
(d.hatena.ne.jp: 祭りの後の祭り:2013-07-16より抜粋・転載)
自民党の「憲法改正草案」への意見:
自民党の「憲法改正草案」に対する批判はこれまで断片的に述べてきたが(注)、その感想を一言で表すならば、(憲法に対する無知とその復古主義思想に対する)“驚愕”の二文字に尽きる。
では、憲法の専門家である憲法学者たちは自民党改憲案をどのように読み、どのように感じたのであろうか。極めて断片的ではあるが、以下に最近、私が読んだなかから憲法学者の感想を抜粋してみよう。
◆高見勝利・上智大学教授:
(自民党の96条)<改正案に接したときの衝撃はいまでも鮮明に記憶しているが、唖然としたというか「まさかそれはないだろう」という思いであった。>
――「憲法改正」『法学教室』2013年6月号
◆青井未帆・学習院大学教授:
<今、憲法を変えようとしている政治家たちの言葉は、あまりにも軽い。憲法改正を提唱しているのに、憲法(学)を真剣に考えているとは、到底思われない。
(「立憲主義」という言葉を聞いたことがないと暴露した磯崎陽輔や、憲法13条も芦部信喜も知らないことを暴露した安倍晋三を例に挙げ)<改憲に臨む態度としてあまりにも真摯さに欠ける。驚きを通り越して、すっかり悲しくなる。>
――「憲法は何のためにあるのか」『世界』2013年6月号
◆奥平康弘・東京大学名誉教授:
<自民党の憲法改正にかかわる人びとは相当に小児病的であり、現代立憲主義に余りにも無知であると思う。>
――「「自主憲法制定=全面改正」論批判」『世界』2013年3月号
<ぼくは、「草案」のなかに国旗・国歌をこんなふうに具体的な名称をつけて押し出してきているのを見て、相当にショックであった。改正論者たちがかくも強気なのだと思い知らされた。>
――『改憲の何が問題か』岩波書店、2013年
◆愛敬浩二・名古屋大学教授:
<(『世界』2013年3月号の奥平氏の発言に)同感である。
この「不真面目さ」から読み取るべき事柄は、このレベルの改憲案でも党内で合意が出来てしまうという自民党の「変容=劣化」である。>
――『改憲の何が問題か』
◆小林節・慶応大学教授:
<96条改憲の本質は、権力者が自分を縛っている憲法のハードルを下げようとしている点にあります。
憲法の拘束から権力者たちが自由になろうとすることは、権力者たちが憲法を自ら管理しようとしていることを意味します。
さらに言えば、自らの管理下にある憲法を国民に押し付けようとしていると言っていい。その姿勢が自民党改憲案の全体ににじみ出ています。>
<前提として無知と無教養があることは否めません。立憲主義の上で何をしてはいけないのかという境界線が見えていない。>
<改憲条件のハードルを下げる改憲をした国は、国会図書館の調査能力をもっても見当たりません。>
<国民が権力者を縛るためのものだという憲法への観点が欠落しているため、たとえば「家族は、互いに助け合わなければならない」という条文が第24条に加えられています。道徳は法に盛り込まないという大原則を踏み外すもので、書いた人の法的素養を疑わせます。>
<そもそも、国民を憲法で躾けようとする発想がおかしい。こういう世襲貴族の目線だから、国民を縛る道徳を憲法に盛り込んだうえで、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」などと規定する(第102条)。
これは憲法を知らない人が書いた改憲案だと言うしかない。>
――水島朝穂×小林節「権力者の改憲論を警戒せよ」『世界』2013年7月号
◆水島朝穂・早稲田大学教授:
<最近の権力者は自己抑制しなければいけないという自覚にあまりに欠けています。
自己抑制の自覚以前の問題として、彼らが本当に何もわかっていない点こそ警戒しなければいけないでしょう。安倍首相がその典型です。
彼らが憲法の意味を理解したうえで、意図的に専制政治やファシズムを作り出そうとしているのであれば、民主主義を壊す者として可視化することは容易です。
権力者の自己抑制と言うことが概念としてだけでも認識されていれば、96条の先行改憲などは言い出すとしても多少は恥じらいを伴うはずのものですが、安倍首相にはその認識が一切ありません。
権力の意味を理解できていない権力者が堂々と自分への制約を取り払うために改憲しようとしているわけで、これは危機的状況です。>
――水島朝穂×小林節「権力者の改憲論を警戒せよ」『世界』2013年7月号
<条文の設計が、既存の法律を無批判に、ときに大雑把、乱暴に転写したものになっている点も、憲法と法律の根本的な差異に無自覚な、「改正草案」の危うさを示している。
それは、憲法は権力を制限する規範であるという近代の(そして近時では国際的な共通理解としての)立憲主義の大前提を無視したまま(あるいは、知らないまま!)、日本国憲法を、国民が「尊重」しなければならない規範、権力の発動要件を定めたルールへと変質させようとする、「改正草案」全体に通底する問題性とも重なってくる。
憲法の緊急事態条項に、改めて人権の「最大限の尊重」を求める規定を挿入するという「愚挙」を目にしたとき、この一事をもってしても、「改正草案」において想定されている「憲法」が単なる重要な法律に類するものに過ぎないという壮大な勘違いに気づかない人々が権力を担い、憲法を改正しようとしていることに慄然たる思いがする。>
――『改憲の何が問題か』
◆川岸令和・早稲田大学教授:
<(自民党改憲案がその前文に「日本国民は(……)基本的人権を尊重する」という表現を挿入したことについて)基本的人権を尊重すべきはまず何よりも国家権力を行使する者であることを忘れてしまっている。>(引用者注:「忘れてしまった」のか、それとも「そもそも知らない」のか?)
<結局、「改正草案」は近代的な意味の憲法が何たるかを理解せず、道徳と混交するものである。>
<そもそも「改正草案」は天賦人権説を否定しており、「改正草案」が作り出したものということになる。
ということは、憲法という制度の枠の中だけで権利を取り扱えばよいという思考が強くなっても不思議ではない。>
<さらに「改正草案」が「和」の精神にわざわざ言及している点で、人権保障にとっては極めて深刻な影響をもたらしかねないと思われる。
(中略)「改正草案」はここでも近代的な憲法が必然的に有する普遍的性格を十分に斟酌していない。>
<人権の主張が他人に迷惑をかけないという道徳の問題に置き換えられてしまっているのである。>
――『改憲の何が問題か』―この続きは次回投稿します―
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