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「泉田新潟知事」が原子力規制委員長と初面会 ! 定期協議を要請 !
安定ヨウ素剤服用の介入レベルを設定しない日本をOECDが批判 !
T「泉田新潟知事」が原子力規制委員長と初面会 !
(毎日新聞 8月24日(月)19時11分配信より抜粋・転載)
☆現行の法体系に整合性がなく、実施が困難だ !
全国知事会危機管理・防災特別委員長を務める泉田裕彦新潟県知事は、8月24日、原子力規制委員会の田中俊一委員長と初めて面会した。
泉田知事は、原子力防災を巡る現行の法体系に整合性がなく、実施が困難だと指摘した上で、規制委と知事会の定期的な協議の場をつくるよう求めた。
規制委は、東京電力福島第1原発事故を受けて改定した原子力災害対策指針で、原発事故時に5〜30キロ圏の住民は屋内退避し、被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤は原則として事故後に配ることや、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を避難に使わないことなどを決めている。
☆安定ヨウ素剤の事後配布についても「SPEEDIの予測情報がないと
的確な配布が困難」 !
泉田知事は、5〜30キロ圏内での避難住民の搬送について「放射線量が高い場所でのバス運転手の派遣は、労働安全衛生法の制約があり難しい」と指摘した。
安定ヨウ素剤の事後配布についても「SPEEDIの予測情報がないと的確な配布が困難になる」と述べた。
これに対し、田中委員長は、「SPEEDIの活用は混乱のもとで、いろいろな問題が起きる」と説明。定期協議については「なかなか難しい」と述べた。
泉田知事は、これまでもSPEEDIの活用などを求めて規制委を批判し、田中委員長との面会を求めてきた。【酒造唯】
U 安定ヨウ素剤服用の介入レベルを設定しない日本をOECDが批判 !
(noimmediatedanger.net :2015年3月26日 より抜粋・転載)
☆日本だけが原発事故時の安定ヨウ素剤服用
の目安となる介入レベルを設定していない !
2003年発行のOECD(経済協力開発機構)の報告書「原子力発電所事故または核の緊急事態における短期防護策」(注1)に、日本だけが原発事故時の安定ヨウ素剤服用の目安となる介入レベルを設定していないことに、厳しいコメントが述べられている。
この報告書は、OECD加盟国へのアンケート調査結果で、「安定ヨウ素剤の基準に関する概要」というページ(p.40)に各国からの回答が掲載されている。
日本の回答だけが介入レベルなしで、「大量の放射性ヨウ素が放出され、高い甲状腺線量が予想される所では、専門家の判断に従って安定ヨウ素剤が服用されることもある」(stable iodine prophylaxis could be taken according to the judgment of experts)という回答が記されている。
この日本の対応ついて、OECD報告書は、以下のように述べている。
日本は、安定ヨウ素剤服用のための介入レベルを設定していない。
日本の専門家にとって、放射性ヨウ素の量と甲状腺への予想線量によって異なるという。介入レベルを決定する複雑な手続きを事故が起こるまで延期し、専門家の判断に委ねるというのだ。事故の際には即座の行動が必要になるが、準備しておくべき介入レベルが緊急時に手元にないのである。(p.40)
福島原発事故後の原子力規制委員会の対応は、2003年と変わっていないようで、「服用のタイミングは、規制委が判断し、原子力災害対策本部を通じて各自治体に伝えるとした」(2012年12月 注2)。そして、2015年3月の案でも、介入レベルは出されていない。
☆安定ヨウ素剤は、服用が6時間以上遅れると、効果はほとんどなくなる !
OECDの報告書は、安定ヨウ素剤服用の重要性を、かなりのページ数をさいて説明しているが、副作用については言及していない。むしろ、その効果がどのくらい続くか、回答した国々が何回まで服用可としているかなどに主眼点が置かれている。
安定ヨウ素剤の効果が最も望めるのは、「被ばく前か、被ばく直後」、「被ばくから2,3時間後の服用は効果が2倍減る」「服用が6時間以上遅れると、効果はほとんどなくなる」「放射性ヨウ素の被ばくから12時間後には、防護の価値はなくなる」(p.39)と書かれている。
☆安定ヨウ素剤は、屋内退避や避難と共に服用することが推奨されている !
継続中の福島原発事故と次の原発事故に備えなければならない私たちにとって、以下の情報も重要だろう。「放射性ヨウ素の被ばくが2日以上続く場合、安定ヨウ素剤をさらに服用する必要がある。安定ヨウ素剤は、屋内退避や避難と共に服用することが推奨されている」。そして複数回服用の規定を設けている国を紹介している。
☆SPEEDIの活用と安定ヨウ素剤服用+屋内退避/避難時期の関係
ここで気になるのが、福島原発事故の放射性ヨウ素の放出が何回、プルームがどこに流れ、その量はどの程度だったかだろう。それは再稼働後の原発周辺の住民にとっても知っておくべき情報だ。プルームに晒される前に安定ヨウ素剤を飲み、同時に屋内退避や避難をすることが助かる唯一の方法なのだから、SPEEDIの拡散予測に頼るのが一番だと考えるのが普通だろう。現に、国と福島県は3月12日には「原発から北西方向への放射性物質拡散を予測し、13日には[津島]地区の10キロほど東側で高い線量を計測していた」(注3)。
☆SPEEDIの情報さえあれば、高線量地域に
避難して被ばくするようなことは避けられた !
ところが、浪江町には伝えられなかった !
ところが、浪江町には伝えられず、住民は、高線量の津島地区に避難した。SPEEDIの試算結果を国から受け取っていた、福島県は、公表しなかった理由について「予測の前提となる放射性物質の放出量が現実と懸け離れていると考えられた」と釈明した。
浪江町役場の人が「後に公表されたSPEEDIを見て目を疑った。住民が避難した津島地区は茶褐色の線に囲まれ、高線量を示していた。『(線量の)情報さえあれば…』」(注3)と言葉を濁したのは、「SPEEDIの情報さえあれば、高線量地域に避難して被ばくするようなことは避けられたのに」という意味だろう。
被ばくを避けるために有用なSPEEDIを、原子力規制委員会は、2014年10月8日に「住民避難などの判断に使わない運用方針を決めた」(注4)。浪江町の元副町長は「拡散方向の情報は絶対に必要だ」(注5)と、規制委員会の方針を批判する。
☆福島第一原発事故における SPEEDIの重要性
日本原子力研究開発機構の茅野政道氏は「SPEEDIを真に原子力防災に生かすために」(2014年9月 注6)という論文の中で、SPEEDIの重要性を専門家として検証しているので、要点を箇条書きにしてみる。福島原発事故の際のSPEEDIの予測データをもとにした実証報告だ。
福島原発事故の際に、SPEEDIは役割を果たした。「3月11日の事故直後から緊急時モニタリング計画に資するための単位放出計算を関係各所に提供している」。
3月15日に、高線量を記録した浪江町山間部のモニタリングも、SPEEDIの予測を基に行われた。
3月23日までには甲状腺内部被曝線量の図形作成をし、これに基づいて子どもの甲状腺被ばくのスクリーニング検査が行われた。
☆避難時期の判断にSPEEDIの結果は 活用できたし、その精度はあった !
SPEEDIの世界版であるWSPEEDIを用いて、農作物検査の指標のために日本の汚染マップを作成した。
また、SPEEDIの特性は、放射性プルームの動きを時・空間的に俯瞰できることだし、福島原発事故の際に「できた」という。
そして、避難時期の判断にSPEEDIの結果は活用できたし、その精度はあったと検証している。
素人の目線から最も重要だと思うのは、ベントや漏洩の影響が予測できたのかという点で、これも「測定結果と極めて近い予測結果が事象発生前に把握できるものが多数」あったという。
茅野氏の評価では、モニタリングが「数値の精度」と「理解の容易さ」には優れていても、「予報性」「迅速性」「全体把握」はない。
つまり、避難や安定ヨウ素剤服用時期を即座(被ばく前)に知るためにはSPEEDIしかないということになる。
その上、福島原発事故の場合、緊急時モニタリングが体系化したのは、地震から4日後で、それまで判断材料を提供できたのはSPEEDIだけだったという。
☆原子力規制委員会の「SPEEDIを活用しない方針」
にもかかわらず、原子力規制委員会は「原発の再稼働後に事故が起きてもSPEEDIを活用しない方針」を決め、その理由を「予測の精度が見通せないためとしている」(注5)。当然、どの程度「精度が見通せない」のか、検証が十分にされた上での決定かと思う。
しかし、福島原発事故後の各地の「実測値」とSPEEDIの予想値との照合などによる検証は、管見する限り、2014年10月2日(不活用決定の6日前)開催の「原子力災害事前対策等に関する検討チーム」会議(注7)で、茅野政道氏が「計算シミュレーションに基づく福島第一原発事故時の線量分布解析」と題した分析を発表しただけである。
☆原子力規制委員会は、実は、科学的議論は御法度の会議のようだ !
驚くことに、この会議の委員長である、中村佳代子氏(規制委員会専任委員)が茅野氏の報告について「議論をする場ではない」と牽制していること、外部委員の本間俊充氏(日本原子力研究開発機構安全研究センター長)が「議論はしませんけど、質問させてください」(注8)と、理解を深めたいと意思表示していることである。
原子力規制委員会というのは、科学的証拠を専門家の間で議論した上で決断を下すのかと思っていたが、科学的議論は御法度の会議のようだ。そして1週間後に規制委員会の決定としてSPEEDIが否定された。
事故後からの委員会の内容や議事録をざっと見ると、SPEEDI不要論は事故の4ヶ月後にすでに提案されていた。2011年7月27日開催の「原子力施設等防災専門部会防災指針検討ワーキンググループ(第1回会合)」で、独立行政法人・原子力安全基盤機構・防災対策部審議役の齊藤実氏の意見書「国際基準の取り入れに応じた目指すべき我が国の防災枠組み(進め方への考察)」に、SPEEDIについて「初期防護対策の判断には実用に供しないことが明らかになったことから、大幅な運用の見直し(初期の防護対策の意志決定に用いない)を図ること」(注9)と明記されている。
「諮ること」ではなく「図ること」と規制委員会に対する命令のように読める。
また、「実用に供しないことが明らかになった」というが、上記にあるように専門家の茅野氏の見解と正反対である。
齊藤氏の専門分野はわからないが、茅野氏は、WHOの『東日本大震災と津波後の原子力発電所事故の線量評価』(2012, 注10)にも引用されている専門家である。
☆ここら辺が危ないぞとパッと検査ができるというようなことを、逆に
させないという意図がある !
原子力安全基盤機構の問題点について、河野太郎・衆議院議員が公式サイト(注11)で紹介しているので、参照されたい。
そして、「原子力安全基盤機構が行う業務を原子力規制委員会に行わせるため」(注12)に、規制委員会に統合されたそうだ。SPEEDIを使わないという規制委員会の決定の本当の理由を、古賀茂明氏が、メールマガジンで論じているが、なるほどと思わせる。
それくらい、わけのわからない、放射線防護とは正反対の決定だからだ。「
放射能が漏れましたというときにSPEEDIの情報が常に公開されていれば、きっとここら辺が危ないぞとパッと検査ができるというようなことを、逆にさせないという意図があるのかな」(注13)と誰もが思う決定だ。
事故当初のSPEEDIを見れば(注14)、日々刻々と広がっていく拡散の様子がわかるので、それを参考にするのか無視するのかで、市民の健康と命を重視するか原子力維持を重視するかの価値基準がわかるということだろう。
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