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中国の人民元切下げを契機に、グローバルに金融市場の動揺が拡大 !
株価反落によって中国経済の悪化が強まり、人民元の切下げを選択 !
自公政権・マスコミが隠す「失われた20余年」の実態 !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2015/08/22より抜粋・転載)
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1)グローバルに金融市場の動揺が広がっている !
中国の人民元切下げを契機に、グローバルに金融市場の動揺が広がっている。
中国の人民元は、基本的に米ドルにリンクして変動してきた。
このため、2012年夏以降の米ドル大幅上昇に連動して、人民元は、他通貨に対して大幅に切り上がった。
対日本円では、1人民元=12円から1人民元=20円にまで、人民元は急騰した。
日本を訪問する中国人観光客にとって、人民元高は、福音である。
2)人民元で買える品物が、約2倍に急騰、日本商品等は、半値になった !
1人民元で買える品物が、約2倍に急騰したのだ。
日本で購入する商品やホテル代、交通費が、ほぼ半値になったということだ。
このために、中国人観光客の日本での消費が爆発した。
いわゆる「爆買い」と呼ばれる現象が広がったのだ。
このことが、消費税増税で低迷する、日本の消費市場を底支えする大きな要因になった。
日本経済は、中国人消費によって底支えされたわけだ。
3)人民元は急騰で、中国の輸出は、強い下方圧力を受け始めた !
しかし、このことは、中国経済にとっては大きな打撃になった。
日本から見れば、中国製品の価格が、ほぼ2倍になったということだ。
1人民元の商品を12円で買うことができたのに、これが20円になった。
当然、中国製品を購入するメリットがなくなる。中国の輸出は、強い下方圧力を受け始めた。
為替レートの激動が、各国経済に大きな影響をもたらす。
短期的な影響においては、通貨の下落は、輸出の増大を通じて、一国経済を底支えする要因になる。
4)自国通貨を切り下げる インセンティブを有する !
だから、経済が低迷する局面で、経済政策当局は、自国通貨を切り下げるインセンティブを有する。
そして、国内経済を刺激する、あるいは、国内金融市場を安定化させるために用いられる、金融緩和政策は、自国通貨を下落させる効果を併せ持つ。
このため、経済が悪化し、金融市場が不安定になった国においては、金融緩和政策を強めて、経済を支えるとともに、自国通貨の下落を容認する傾向が強まるのである。
5)2009年前後、米国が震源で、世界の金融市場が震撼した !
2008年から2009年にかけて、世界の金融市場が震撼した。
リーマンショックに象徴される、サブプライム金融危機が世界経済、世界金融市場を襲ったのである。
この危機の震源地になったのは、米国である。
米国では、リーマンブラザーズが破綻して、金融恐慌の危険が足下に迫った。
この危機に、バーナンキ議長率いるFRBは、徹底的な金融緩和政策で対応した。
公的資金で、金融機関の破綻の連鎖を食い止める荒業も併用した。
危機に直面して、超金融緩和と、自国通貨切下げで対応したのが、米国だった。
6)米ドルの下落の裏側は、日本円の上昇、ユーロの上昇だった !
米ドルの下落の裏側は、日本円の上昇、ユーロの上昇だった。
超金融緩和、自国通貨切下げの先頭を進んだのが米国だった。
この政策対応によって、米国経済は2012年頃には大幅に改善した。
しかし、これと対照的に日本では、円高による圧迫が強まったのである。
2012年から、今度は、日本が自国通貨切下げの動きに進んだ。
7)超金融緩和政策の下で、円安ドル高が進んだ !
超金融緩和政策の下で、日本円の下落が始動し、日本円の対ドルレートは、1ドル=78円から
1ドル=125円、にまで暴騰したのである。
これに連動して、日本経済は浮上することができたわけだ。
そして、次に自国通貨切下げに進んだのがユーロ圏諸国である。
ECBは、2014年に量的金融緩和政策実施を決定した。
8)量的金融緩和政策実施で、 ユーロの下落が進行した !
連動して、ユーロの下落が進行した。EU経済は、緩やかな改善傾向を示している。
中国では2014年後半以降に実施された金融緩和政策によって、株価が大暴騰した。上海総合指数は2000ポイントから5000ポイント超へと一気に2.5倍の水準に跳ね上がった。
この上昇があまりに急激過ぎたために、その反動が生じた。
5000ポイントまで上昇した株価が3500ポイントへと30%の急落を演じたのである。
9)株価反落によって中国経済の悪化が強まり、人民元の切下げを選択 !
この株価反落によって中国経済の悪化が強まり、中国政策当局は、人民元の切下げ措置を選択することになった。
米国、日本、欧州と連鎖してきた自国通貨切下げの政策対応を、中国政策当局が最後に採用したということになるが、このことが世界経済、金融市場を動揺させる新たな震源になり始めているのである。
そのメカニズムとは次のようなものである。
最大の問題は、世界第2位の経済大国の地位にのし上がった中国経済の動揺が増幅される懸念が強まっていることである。
10)中国は、21世紀の世界の成長センターと、評価されている !
中国の潜在的な成長能力は高く、中国は、21世紀の世界の成長センターであると見られている。
その中国に対する海外からの投資意欲は、基本的に強い。
そして、中国人民元が中長期で上昇する方向にあることが、こうした海外からの資本流入を支える重要な要因になってきた。しかし、この方向に、中国政策当局が待ったをかけた。
中国政策当局自身が、人民元高にブレーキをかける姿勢を示したことになる。
人民元が、1元=12円から1元=20円になれば、中国経済に大きな影響が生じるのは、想像に難くない。
11)中国政策当局が、人民元高にブレーキをかける姿勢を示した !
このことが、ボディーブローのように中国経済に影響を与えている。
そして、経済悪化に伴って、中国人民銀行が進めている金融緩和政策も、方向として、「人民元下落」を誘導させるものになる。
中国株価は、金融緩和政策の強化によって大暴騰したのだが、この株価大暴騰に対して、よく勢力を働かせることができなかったことが、逆に、現在の混乱拡大を生む潜在的な原因になった。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
T 自公政権・マスコミが隠す「失われた20余年」の実態 !
「株価」と名目GDPの実態・ 日本だけの超長期低迷
「株価」:@1989年12月末:日経平均:38,915円、米・NYダウ :2753ドル。
A2010年12月末: 日経平均:10,229円(0.26倍)。
米・NYダウ:11,577ドル (4.21倍)
B2013年12月30日:日経平均:16,291円(@の0.42)
米・NYダウ:16,504ドル(@の6倍)
名目GDP:@1991年:日本:467兆円、米国:5,9兆ドル
A 2012年:472.6兆円(@の1.01)、2013年:米:16.7兆ドル(2.83)
U 2013年・安倍自公政権・マスコミ が、インペイする近年の状況 !
2007年4月~8月:米・住宅金融大手等数社が破産・サブプライムローン危機(2007年8月)。
世界同時株安。金融化商品の暴落。
麻生・自公政権下、2008年9月、リーマンショック、世界同時不況。
2009年9月政権交代、鳩山政権への自民党体制からの破壊工作で経済も混迷
2011年3月、東日本大震災・原発(建設推進は自民党)大事故でさらに不況深刻化。
2012年12月まで、20年間・長期不況にあった世界唯一の日本。
長期不況・大失政の最大の責任は、自民党・自公政権にある。
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