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野党からの安保法案批判論 !
米国の戦争にノーといえない政府、 侵略国の仲間入りは許されない !
治安活動を主任務にしていたが、約3500人が死亡 !
(第1回)
(www.jcp.or.jp/akahata/aik:2015年5月31日 より抜粋・転載)
衆院特別委 志位委員長の質問〈下〉
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日本共産党の志位和夫委員長が、5月28日の衆院安保法制特別委員会で行った質問を紹介します。
志位和夫委員長 私は、昨日に引き続いて、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。
昨日は、武力行使を行っている米軍等への軍事支援――いわゆる「後方支援」の問題点の究明をいたしました。
今日は、引き続きまして、PKO法改定法案の問題点、そして集団的自衛権の問題について、総理の基本姿勢をただしていきたいと思います。
志位 :PKO法改定で、アフガンのISAFのような活動
への参加が可能になる
安倍首相 :(ISAF型の活動への参加を否定せず)
志位 :55人の兵士が死亡したドイツ軍と同じ立場に、
自衛隊を置くことになる
PKO法改定案――非国連統括型の活動、自衛隊の業務内容と武器使用基準の拡大
志位 :第二の問題に入ります。
政府が提出したPKO法改定法案――「国連平和協力法改定法案」にも、重大な問題点があります。とりわけ、この法改定によって、国連が統括しない、PKOとは関係のない活動にも自衛隊を派兵する仕掛けをつくろうとしているのはきわめて重大であります。
形式上「停戦合意」がつくられているけれども、なお混乱、戦乱が続いているようなところに、自衛隊を派兵して、治安活動をさせる。パネルをごらんください。(パネル1)
具体的には、第一に、「国連平和協力法」の目的規定に、新たな活動として、「国際連携平和安全活動」なるものを追加し、「国連が統括しない人道復興支援活動や安全確保活動等」に自衛隊が参加するようにする。
第二に、自衛隊の業務内容を拡大し、「安全確保業務」――治安活動と、「駆け付け警護」の二つの活動が新たにできるようにする。「安全確保業務」として、「特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護」などを行うとしています。
図
(パネル1)
そして第三に、武器使用基準を拡大し、自己保存型と武器等防護のための武器使用だけでなく、任務遂行型の武器使用――「業務を妨害する行為を排除」するための武器使用も認めるとしています。
総理にうかがいます。こうした法改定がなされれば、2001年から2014年までの期間、アフガニスタンに展開した国際治安支援部隊=ISAFのような活動に自衛隊を参加させ、「安全確保業務」などにとりくむことが可能となるのではありませんか。
この質問は、一昨日(5月26日)の本会議で行いましたが、総理からは定かな答弁がありませんでした。お答えいただきたい。
安倍晋三首相 :今般ですね、PKO法の改正により、新たに規定する、いわゆるこの安全確保業務はですね、防護を必要とする住民等の生命、身体および財産に対する危害の防止および抑止、その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問および警護を行うものであります。
安全確保業務をですね、実施する場合には、これ、紛争当事者の停戦合意をはじめとする参加5原則が満たされていると、この参加5原則とは、いま申し上げました停戦合意、そして領域国および紛争当事者の受け入れ合意、中立的な立場の厳守、そしていま申し上げた原則が満たされない状況が生じた場合には、撤収が可能であるということであります。
そして要員の生命等の防護のための必要最小限の武器使用が基本でございますが、こうした5原則が満たされており、かつですね、かつ、派遣先国および紛争当事者の受け入れ同意が業務を実施する期間を通じて、安定的に維持されると認められることが前提となるわけでありまして、この治安維持…あの、いま申し上げましたように、たとえば、掃討作戦のようなですね、活動を行うことはできない。もちろん、戦闘に参加することはできないという仕組みになっております。
志位 :私は、「ISAFのような活動に参加することが可能になるのではないか」と聞いたんです。
この質問に対しては、総理は、すでに本会議の答弁で、「ISAFは既に活動を終了しており、今日の視点で、改めて当時のアフガニスタンの状況を再現して、新たな基準に基づいて再評価を行うことは困難です」(5月26日、自民党・稲田朋美氏への答弁)とお答えになっています。そういうことですね。それを聞いているんです。
安倍首相 :えー、それは、あのー、そういうことでございます。
志位 :ここ(議事録)に書いてあるように、「再評価を行うことは困難」だということをおっしゃいましたけれども、「参加できない」ということはおっしゃいませんでした。参加を否定しなかった。これはきわめて重大であります。
これはどうなるか。これが問題になってまいります。もちろん、せん滅、掃討作戦ができるのかと私は聞いたんじゃない。
「安全確保業務」ができることになるんじゃないかと聞いた。
それを否定しなかった。これがどうなるかということを、具体的事実を示してただしていきたいと思います。
★戦後ドイツ史上初めての陸上での「戦闘状態」
に陥ったドイツ軍 !
治安活動を主任務にしていたが、約3500人が死亡 !
志位 ISAFというのは、治安活動を主任務にしておりましたが、2002年から14年までの13年間で約3500人が死亡しております。
参加した各国のなかでも、私はドイツの経験を取り上げたいと思います。
ドイツの基本法=憲法は、侵略戦争を禁じ、ドイツ軍の活動を「自国の防衛のみ」と制限しています。ところが湾岸戦争後、ドイツ政府は「基本法はNATO域外への派兵を禁じていない」と基本法の解釈を変え、域外派兵に踏み出していきました。
ドイツは、アフガニスタン戦争にさいして、NATO(北大西洋条約機構)の一員として米軍などの軍事行動への「後方支援」に参加するとともに、ISAFに参加しました。比較的安全とされた北部で検問警備などの治安活動や復興支援活動を始めましたが、タリバンが攻勢を強め、戦後ドイツ史上初めての陸上での「戦闘状態」に陥ります。
そういうなかで、武器の使用基準を広げ、自衛のためだけでなく、任務遂行のための武器使用も認めていきます。
★治安活動や復興支援活動をした、
ドイツ兵士、55人が死亡 !
ドイツ軍によりますと、アフガンに派遣された2002年から昨年6月初旬までに、帰国後の心的外傷後ストレス障害=PTSDによる自殺者も含めて兵士55人が死亡しており、このうち35人は自爆テロや銃撃など戦闘による犠牲者でした。
ドイツの公共テレビZDF(第2ドイツテレビ)は、2013年10月、「われわれの戦争――アフガニスタンでの戦闘任務」と題するドキュメンタリーを放映し、ドイツ社会に衝撃を与えました。
番組では、“井戸を掘り学校を建てる”など平和貢献を行うはずだったドイツ軍が、
戦後初めての地上部隊による戦闘を行うようになった現実を生々しく描き出しました。
次のように報じました。
「建設任務から、ドイツ地上部隊による1945年以来
初めての戦争が生まれてきた。
兵士たちにとっての日常は、落下爆弾の破裂や市街戦
から成り立っていた。
ほとんど毎週のように、銃撃の応酬となった。
50名以上のドイツ軍兵士がこれまでに
アフガニスタンで命を落とした。
ドイツ軍の出動によって命を落とした敵の戦闘員やアフガニスタンの市民がどれだけいるかは、推定することしかできない。おそらくそれは数百人にのぼるだろう」。
こう報じました。
★ドイツの経験は、安倍政権が進めていることを
先取り的に示している !
志位 :いま安倍政権がやろうとしていることがどんな事態を招くか。その結果を、アフガニスタンに派兵されたドイツ軍が示しているのではないでしょうか。憲法解釈を変更してNATO域外への派兵に踏み出した。ISAFに参加し、平和貢献、復興支援、治安活動のつもりだったが、「戦闘状態」に陥ってしまった。
戦闘が頻発するなかで、武器の使用基準を広げ、自衛のためだけでなく、任務遂行のための武器使用も認める。それらの結果、活動は戦争と変わらないものになり、多数の戦死者を出すことになりました。まさに安倍政権がいま進めていることを先取り的に示しているのではないでしょうか。
総理にうかがいたい。政府のこの法案を通し、自衛隊を紛争地での「安全確保業務」――治安活動に参加させれば、アフガンに派兵して多くの犠牲者を出したドイツ軍と同じ立場に日本の自衛隊を置くことになるんじゃありませんか。いかがですか。
安倍首相 :最初、申し上げたとおりですね、まさに停戦合意があって、ちゃんとそれが履行されているということが大切であります。いま志位委員が言われた状態というのはですね、いまここに再現してそれを判断することが困難でありますから、すぐには一概には申し上げられませんが、このPKO5原則が果たしてですね、果たして、これが適用できるかどうかということについては、これは大いに疑問があるんではないかと、このように思うわけでありまして、停戦合意があって、紛争当事者――領域国と紛争当事者が受け入れ合意をしていると、こういうことであります。
そして中立的な立場が厳守されているということが、これある。わが国の場合は、この5原則があるわけでありますが、ドイツは違うということでありますから、ドイツと日本を一概にはもちろん、議論できない。
この5原則はきわめて重要であるということは申し上げておきたいと思いますし、このドイツの部隊と違ってですね、この掃討作戦、この掃討作戦というのは、あらかじめ公共の安全と秩序の維持を害する恐れがある勢力を特定した上で、その構成員を殺傷することを目的とするような作戦をいうわけでありますが、そういう作戦は行えない仕組みになっているわけでございます。
そもそも、武器の使用権限としてですね、任務遂行型の使用はできますが、相手に危害を与えるためにはですね、危害要件においてはですね、危害を与える射撃が認められるのは、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られるわけでありますから、これはもう、かなりこの活動範囲というものは、そういうなかにおいては、限られてくるということは申し上げておきたいと思います。
―この続きは次回投稿します―
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