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金融市場にとどまらないギリシャ危機の余波は ?
ギリシャは、ロシアや中国との距離を縮めている、
ウクライナの政変は西側陣営の謀略工作がある !
ギリシャが、EUを離脱、ロシアとの関係を深めることは、地政学上の重大事項になる !
世界支配を狙う覇権国の裏の謀略事例
「植草一秀の『知られざる真実』」:2015/07/06より抜粋・転載
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1)ギリシャ国民投票で緊縮策受入れNOの結果が判明した !
2)ギリシャのIMFへの返済は、不履行の状況に留め置かれている !
3)賛成多数、チプラス首相は辞任という、債権団のシナリオは実現しなかった !
4)債権団とギリシャ政府の路線対立は、「弱肉強食 対 共生」 !
5)「借りた方が悪い」だけではなく、「貸した方にも一定の責任がある」 !
6)緊縮策は、経済の悪化を招き、財政状況の一段の悪化を招く !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
7)ギリシャについては、一定の債務軽減策を盛り込むことが有効である !
ギリシャの経済状況を踏まえれば、財政健全化を誘導する政策パッケージのなかに、一定の債務軽減策を盛り込むことが有効である。
1989年のメキシコ債務危機に際して採用されたブレイディ(米国財務長官)プラン以来、債務減免措置の積極活用が債務問題解決の基本に置かれてきた。
債権団がユーロの安定を守ることを最重視するのであれば、こうした対応策を念頭に入れる必要があると考えられる。
ただし、金融問題処理において、常に重要になるのが、「モラル・ハザード」と呼ばれる問題である。
債務危機に対して、あらかじめ、救済されるとの予測を与えてしまうと、債務返済に対する意欲が削がれることになる。
8)「最終的には救済される」との予測が、債務履行
に対する「モラル・ハザード」になる !
「最終的には救済される」との予測が、債務履行に対する意欲を低下させてしまう面が存在するからである。
この意味で、債務問題の処理は難しい側面を有するが、今回のギリシャ問題においては、こうした債務処理一般の問題とは別に、経済政策の基本路線をめぐる対立が存在する点に留意が必要である。
ギリシャ政府と債権団の対立の中心に、財政再建策の方法の相違があった。
既述したように、債権団は、年金給付の引下げ、付加価値税の増税、低所得者への追加支援の早期打ち切りなどを求めている。
これに対してギリシャ政府は、法人税増税などを主張している。
9)「弱肉強食推進」と「共生重視」との間で、大きな路線対立が存在 !
つまり、経済政策運営上の基本路線である、「弱肉強食推進」と「共生重視」との間で、大きな路線対立が存在するのである。
「弱肉強食推進」の経済政策路線とは、民営化、小さな政府、規制撤廃、市場原理などを軸とする、
いわゆる「ワシントン・コンセンサス」と重なるものである。
経済危機に便乗して、こうした「弱肉強食推進」の政策を強要する「ショック・ドクトリン=惨事便乗型資本主義」が、今回のギリシャケースでも指摘できるのである。
ギリシャでは、本年1月の総選挙で急進左派連合(SYRIZA)が第一党に躍進し、弱冠40歳のSYRIZAアレクシス・チプラス党首が首相に就任した。
債権団としては左派政権であるチプラス政権を債務危機問題の機に乗じて退場させたいと考えているのだと推察される。
10)債権団が一定の譲歩を示すことが問題解決の道筋である !
債務危機問題での債権団の強硬な姿勢が、ギリシャにおいて、左派政権を誕生させた経緯を踏まえれば、むしろ債権団が一定の譲歩を示すことが問題解決の道筋であるとも考えられるが、近年の特徴としては、市場原理主義勢力の原理主義的対応が目立っている。
そして、問題は、単に経済上に留まらない可能性がある点に十分な注意が必要である。
債権団と対立するギリシャは、ロシアや中国との距離を急速に縮めている。
東欧および中東を中心とする世界地図を見ると良く分かるのだが、世界の地政学においては、新たな東西冷戦構造が、強まりつつあるように見える。
11)ギリシャは、ロシアや中国との距離を
縮めている、ウクライナの政変は西側陣営の謀略工作がある !
ウクライナの政変は、西側陣営がウクライナを奪還するための、一種の謀略工作であった可能性が高い。これに機敏に対応したのがロシアである。
ウクライナを軸とする東西対立は、激化したと考えてよいだろう。
中東においては、アサド大統領のシリアがあり、イスラム原理主義の本拠地であるイランが存在する。
エジプトにおいても、一時、ムスリム同胞団を基軸とするムルシー政権が樹立された。
中東原油を支配する王族と欧米資本はイスラム主義の台頭を警戒して、エジプトの軍事クーデターを全面支援したと見られる。
12)ギリシャが、EUを離脱、ロシアとの関係を
深めることは、地政学上の重大事項になる !
EUの一角であるギリシャが、EUを離脱して、ロシアとの関係を深めることは、地政学上の重大事項になるのである。
ギリシャの経済規模はEU全体の2%にも達しない。
また、金融危機の波及を遮断するための措置も各種講じられてきてはいる。
しかしながら、債務問題の交渉決裂を背景に、一国が通貨同盟、経済同盟から切り棄てられる事象が顕在化することは、EUの中期展望に対して、大きなダメージをもたらす可能性がある。
ギリシャ問題の今後の展開を十分に精査して、短期的な金融市場の対応と、中長期の影響とを区別して、考察する必要がある。
『金利・為替・株価特報』、http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html、では、引き続き、金融市場への影響考察と、金融変動の中短期予測について、有益な情報を提供して参りたいと思う。
(参考資料)
世界支配を狙う覇権国の裏の謀略事例
ウクライナ情勢が、いかに日本に影響与えるか !
佐藤優氏 の解説
(news ポスト:2014.03.19 より抜粋・転載)
予断を許さないウクライナ情勢10+ 件だが、「日本も無関係ではない」と言うのは、
元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんだ。
「ロシアとウクライナの関係は、歴史、民族、宗教が入り組んでいて非常に根深い。
言わば毒ヘビと毒サソリのにらみあいですが、実は日本にも影響するんです」
(以下、「」内は佐藤さん)
背景には、ロシアに対するウクライナの“愛憎”がある。
「帝政ロシア時代、ウクライナは『小ロシア』と呼ばれ、結びつきが強かった。
現在もウクライナの東部、南部には日常的にロシア語を話し、ロシア正教徒である “親ロシア”の人々が多く住んでいます。
これに対し、ガリツィア地方と呼ばれるウクライナ西部(中心都市はリヴィウ)の住人は独特なカトリック教会(ユニエイト教会)のメンバーが多く、通常ウクライナ語を話します。
第二次大戦後にソ連軍に占領された歴史から“反ロシア”感情が渦巻く地域で、非常に排他的な民族主義団体も存在します」
2013年11月、ウクライナのヤヌコビッチ前大統領が、それまで進めていたEU(欧州連合)との経済連携の強化を突如中断。
これにガリツィア地方を中心とした反ロシア勢力が激しく抵抗し、首都キエフで十数万人規模の反対集会を続けた。
そしてついに2014年2月23日、武力行使で政権を倒し、ウクライナに親欧米政権が誕生した。
ちょうど日本中が熱狂したソチ五輪の閉幕間際だったが、実は今回の政変には五輪開催が深く関係しているという。
「ロシアは、日ごろからウクライナに大量の工作員を送り込んでいますが、ソチ五輪開催中は、自国のテロ警戒のため、工作員を引き上げていました。
反政府側は、この隙を狙い、政権打倒を目指した。
五輪閉幕までに倒さないとロシアから猛反撃されるからです。
平和の祭典の裏側では、政権打倒のための“血の五輪”
がひそかに開催されていたのです」
政変後、ロシアのプーチン大統領は、すぐさま、ウクライナ南部にあるクリミア自治共和国に軍隊を送って、武力で制圧した。
ロシアの黒海艦隊の軍港(セバストポリ)があり、住民の多くは、ロシア系という、ロシアにとって重要拠点だからだ。
プーチン大統領に欧米が強く反発する一方、クリミア自治共和国の議会と住民は、ウクライナからの独立とロシアへの編入を求めている。
この行方が最大の焦点だ。
「このままロシアがクリミアを併合すれば、“軍隊を派遣して領土を広げた”と国際社会から非難されます。
日本も同調せざるを得ず、北方領土交渉は、行き詰まるでしょう。
一方でクリミア議会や住民の声を無視すれば、ロシア国内の“愛国派”がプーチン大統領
を批判し、政権が不安定になります」
※女性セブン2014年4月3日号
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