http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/4420.html
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金融市場にとどまらないギリシャ危機の余波は ?
債権団とギリシャ政府の路線対立は、「弱肉強食 対 共生」 !
ユーロ圏、ギリシャに厳しい救済条件、独仏の対立あらわに !
経済学者ピケティ氏、独首相にギリシャの債務減免訴える !
「植草一秀の『知られざる真実』」:2015/07/06より抜粋・転載
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1)ギリシャ国民投票で緊縮策受入れNOの結果が判明した !
7月6日の日本時間午前8時から、FIFAワールドカップ女子サッカーの決勝戦がカナダのバンクーバーで行われ、日本は、米国に5対2で敗れ、準優勝となった。
他方、ギリシャ国民投票で緊縮策受入れNOの結果が判明した。
週明けの日本は、二つの大きなニュースに揺れ動いた。
ギリシャのチプラス政権は、IMF、EU、ECBの債権団(トロイカ)がギリシャに求めている財政緊縮策に対する賛否を国民投票にかけた。
当初は、緊縮策への賛成が反対を上回るとの世論調査が優勢であったが、国民投票が近づくにつれて差が縮小し、実際の国民投票では反対が賛成を大幅に上回った。
2)ギリシャのIMFへの返済は、不履行の状況に留め置かれている !
ギリシャに対する金融支援再開交渉が6月末で期限切れを迎えた。
金融支援再開は、決定されず、ギリシャのIMFへの返済は、不履行の状況に留め置かれている。
ギリシャ政府は、交渉の大詰め段階で、7月5日の国民投票実施を決めた。
債権団トロイカは、金融支援継続を決めずに、国民投票期日を迎えた。
ギリシャのチプラス政権は、債権団の提示する緊縮策に合意できないと主張しており、ギリシャ国民に国民投票での反対を呼びかけた。
賛成多数の結果が示された場合には、チプラス首相は辞任し、新しい政権が樹立されて、緊縮策を受け容れる可能性が高かったと考えられる。
3)賛成多数、チプラス首相は辞任という、債権団のシナリオは実現しなかった !
債権団は、こちらのシナリオ実現を期待したと考えらえるが、結果はそうならなかった。
6月30日付ブログ記事
「ギリシャデフォルトリスク上昇責任は債権団にもある」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-6a79.html
にも記述したが、債権団とギリシャ政府との間には、経済政策運営に対する、根本的な路線対立がある。
その対立を一言で表現すれば、「弱肉強食 対 共生」ということになるだろう。
チプラス首相は、急進左派勢力SYRIZAの党首を務める40歳の人物である。
4)債権団とギリシャ政府の路線対立は、「弱肉強食 対 共生」 !
チプラス政権は、財政再建を実現するための手法として、法人課税の強化、を提示しているが、これに対して債権団は、付加価値税の大幅引上げ、年金給付の削減、低所得者層への給付引下げ、
を求めている。経済政策の基本方向がまったく逆なのである。
チプラス政権の目指す方向が「共生」であるのに対し、債権団の目指す方向は「弱肉強食」なのである。
また、債権団の提示する提案には、基本的に、債務軽減、が含まれていない。
債務問題の解決のためには、常に、債権減免措置が必要である。
5)「借りた方が悪い」だけではなく、「貸した方にも一定の責任がある」 !
資金の融通に際しては、第一に、「借り手責任」が問われなければならないが、これだけで問題は解決しない。
「貸し手責任」の重要性も重視されるようになっている。
「借りた方が悪い」だけではなく、「貸した方にも一定の責任がある」と考えるのが、債務問題解決のひとつの「鉄則」になっているのである。
実際、3年前のギリシャ危機に際して、債権団は厳格な緊縮策をギリシャに求めた。
ギリシャは、この緊縮策を忠実に履行したが、債権団が主張していたような経済成長は、実現しなかった。
6)緊縮策は、経済の悪化を招き、財政状況の一段の悪化を招く !
緊縮策は経済の悪化を招き、財政状況の一段の悪化を招く。
日本では、1997年度の経済政策、2000−2002年度の経済政策で、超緊縮財政政策を基軸とする、「改革」政策が強行実施されたが、この「改革」政策によって、財政赤字は激増した。
1996年度に21.7兆円だった財政赤字は1999年度に37.5兆円に激増した。
2001年度当初予算で28.3兆円に削減したはずの財政赤字が2002年度に35.0兆円に増加した。
経済成長を重視しない、超緊縮財政は経済を悪化させ、税収を減少させて、財政赤字を逆に拡大させてしまうのである。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
T ユーロ圏、ギリシャに厳しい救済条件、独仏の対立あらわに !
(AFP=時事2015年 7月13日(月)7時37分配信より抜粋・転載)
ベルギー・ブリュッセルでユーロ圏首脳会議の開始前に言葉を交わす(左から)ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのフランソワ・オランド大統領(後ろ向きの人物)、ギリシャのアレクシス・チプラス首相(2015年7月12日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】欧州連合(EU)のユーロ圏19か国は12日、首脳会議を行い、ギリシャに「受けるか否か」の過酷な救済条件を突きつけた。
ドイツ、ギリシャの「一時的なユーロ圏離脱」
を検討、消息筋
ユーロ圏は12日の首脳会議に先立ち、11〜12の両日に開いた財務相会合でギリシャが提出した改革案について協議していた。
改革案はギリシャ議会が11日に承認したもの
だが、今月5日の国民投票で否定されたものと似た内容となっていた。
ギリシャ、ドイツ、フランスの3首脳が協議している最中、欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)が同日予定されていたEU28か国の首脳会議を取りやめると発表したことで、事態が緊迫していることが改めて示された。
2010年以来の3度目の救済策を取り付けるため、ギリシャは、改革案の法制化を求められた。
フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ(Alexander Stubb)財務相は、ギリシャは、ユーロ圏財務相会合で合意され、同首脳会議で検討される条件の下、15日までに改革案を法制化しなければならないと語った。
ギリシャは、労働改革、年金制度、付加価値税などの税制、民営化措置などで厳しい条件を導入することを求められている。
ギリシャ危機は、ユーロ圏の2大国、緊縮財政派のドイツと、ギリシャを最も支援してきたフランスとの緊張をあらわにした。
強硬姿勢のドイツは、アレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)ギリシャ首相が、3年間で860億ユーロ(約11兆7000億円)にも上る救済計画の条件に同意しないならば、ギリシャのユーロ圏からの「一時離脱」を求めている。
フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は、フランスは、ギリシャをユーロ圏に留めるため「あらゆる方策」を尽くすと述べ、「ギリシャの一時的なユーロ離脱」を否定した。【翻訳編集】 AFPBB News
U 経済学者ピケティ氏、独首相にギリシャの債務減免訴える !
(AFP=時事2015年07月08日 配信より抜粋・転載)
経済学者ピケティ氏、独首相にギリシャの債務減免訴える 写真拡大 ×都内の日本記者クラブの記者会見に出席したフランスの経済学者トマ・ピケティ氏(2015年1月31日撮影、資料写真)。
(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA 【メディア・報道関係・法人の方】写真購入のお問合せはこちら
【7月8日 AFP】著名な経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏やジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)氏らが7日、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相に対し、「これ以上の惨事を避ける」ためにギリシャの債務を減免するよう呼び掛けた。
ピケティ氏らは、米誌「ザ・ネーション(The Nation)」のオンラインサイトに掲載されたメルケル首相宛ての公開書簡で、
ギリシャは、債権団が求める財政緊縮策に既に応じており、その結果、深刻な
経済不況が生じていると主張した。
同氏らはまた、「ドイツの財務相と欧州連合(EU)側が処方した薬は患者の病気を治すどころか、出血させている」と述べた。
さらに、ギリシャ政府に求められている改革に同国が応えるために必要なのは、
債務の「大幅免除」だと主張。
「今のギリシャ政府は、自身の頭に銃を向け、引き金を引けと言われている」ようなもので、「その弾丸は、欧州におけるギリシャの未来をつぶすだけではなく、希望や民主主義、繁栄の光であるユーロ圏を巻き添えにする」と主張している。
公開書簡には、所得格差に関する著作で知られるフランスの経済学者ピケティ氏や米コロンビア大学(Columbia University)の開発経済学者サックス氏の他、米ハーバード大学(Harvard University)の政治経済学者ダニ・ロドリック(Dani Rodrik)氏、英オックスフォード大学(University of Oxford)の経済学者サイモン・レン・ルイス(Simon Wren-Lewis)氏、ドイツ元副財務相のハイナー・フラスベック(Heiner Flassbeck)氏が署名している。(c)AFP
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