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拉致問題は「歴史的な視点で解決を」再調査合意から1年、蓮池透さんに聞く
なぜ、こんなにかかってしまったのか ?
(第1回)
(www.huffingtonpost.jp: 2015年06月29日 より抜粋・転載)
膠着状態が続く北朝鮮の拉致問題について、「死亡」や「未入国」とした被害者の再調査に北朝鮮が合意(ストックホルム合意)してから1年が過ぎた。
菅義偉官房長官は、北朝鮮の調査委員会が発足した7月を報告期限と考えていることを示したが、1970年代後半に発生した拉致問題は、2002年の日朝首脳会談での金正日総書記の謝罪を経て、すでに40年近くが過ぎようとしている。
拉致被害者の蓮池薫さんの兄、蓮池透さんは、1997年の発足当時から拉致被害者家族連絡会(家族会)の事務局長を務めてきたが、途中から北朝鮮との対話を提唱したため、経済制裁を主張する家族会の一部メンバーと対立して2005年に事務局長を辞任。2010年には家族会を除名された。
拉致問題に「歴史的な視点での解決」が必要だと訴える蓮池さんに、再調査合意からの1年と、拉致被害者帰国からの13年を振り返り、解決に足りないこと、必要なことを聞いた。
■「拉致問題」のゴールは何か
kim jong il koizumi 2002
☆再調査の合意から1年。
拉致問題はまだ、進展がありません。
思い出して見ると、ストックホルムの協議直後、外務省は何も言わなかった。
多くのマスコミが「不調に終わった」と書きましたが、2〜3日過ぎたら安倍首相が囲み取材で「合意した」と発表しました。
あれで多くの拉致被害者家族や国民は「今度こそ何とかなる」と期待を持った。首相官邸側があおったわけですよね。そして結局また何もない。
2008年の福田政権でも再調査は合意していますよね。
あのとき思ったのは、同じことをするのになぜ6年もかかったのか、ということです。
思うに、「ストックホルム合意」は合意じゃないんですよね。日本側は拉致が最優先と言っているけど、北朝鮮側は拉致問題は非常に優先順位が低い。拉致被害者から、特定失踪者、遺骨の問題、日本人妻、残留邦人など、非常に包括的な内容になっている。
どこまで行ったらゴールなのかがわからない合意で、絶対うまくいくわけないと思っていました。案の定です。
当初、第1回の報告は「夏の終わりから秋の初め」と言っていましたよね。
それが何も出てこず、いつの間にか菅義偉官房長官が「1年後」が期限ということにしてしまった。
平気で「1年」と言ってしまう感覚が理解できないんです。
12年たっているんだから、もう1年ぐらいどうってことないだろうという感覚なら、それは許せないですよ。
この1年、外務省や警察庁が、初めて拉致問題対策本部を交えて訪朝団を派遣して「最優先課題だ」と北朝鮮側に伝えただけ。
そのあと総選挙、年が明けたらISの人質事件、そして安保法制。
「あらゆる手段を尽くす」と安倍首相は言っているけど、本当に手段を尽くしてるのか。
北朝鮮側が調査委員会を立ち上げたら、日本独自の制裁を一部解除した。
徐々に解除したら何か出してくるだろうという、甘い見通しでやっていた。
弟もあきれていました。「何の戦略もないな」と。
まず「最優先課題」というなら、あんな包括的な内容で合意せず、まず拉致問題についてゴールとは何かきちんと決めた上で、拉致問題をまずやるべきだった。
ほかのことはやらなくていいというわけではない。
北朝鮮側にとって拉致は優先度が低いから、このままでは他の問題を小出しにして、拉致問題は後回しにされて、どこまで行っても終わらないということになります。
abe
北朝鮮が拉致被害者と、拉致の疑いがある行方不明者の「包括的全面調査」実施を日朝協議で約束したと明らかにする安倍晋三首相(中央)=29日午後、東京・首相官邸 撮影日:2014年05月29日
☆安倍首相は「一人残らず取り返す」と言い続けています。
家族は、感情的には、みんなそう思っています。
問題は世論が「北朝鮮が今度『死んでる』などと言ったら許さない」という風潮になっていることです。
北朝鮮側にとってみれば、生存者がいることを発表すれば「ほら見たことか、もっといるだろう、出せ」と言われる。
特定失踪者も880人いる。北朝鮮も国の存亡に関わる問題だから、簡単には出してこない。
それなりの決断をさせるためには、日本側も真剣に考えないといけないのに、それがない。
まず拉致問題の「解決」とは何か。政府認定の拉致被害者が17人いて、5人帰って来て12人。
この人たちが全員帰ってくれば解決なのか、12人の安否が確認されれば解決なのか。
しっかり定義した上で、家族や国民に説明して、かつその内容を北朝鮮側と合意しなければ、うまくいかない。それは総理大臣の決断しかない。
☆総連(在日本朝鮮人総連合会)議長の次男が
逮捕され、北朝鮮が非難するなど、日朝関係は
行き詰まっているようにも見えます。
でも、クラッシュまで行っていないでしょう? 北朝鮮側は相当、安倍政権に期待していると思うんです。
「安倍さんだったら、家族や世論を黙らせることができる」と踏んでいる。非常にネガティブな情報が出てきたときも、安倍さんなら納得させられるという考えが根底にあるんじゃないか。
だったら逆にそれを利用して、日本側が「どんな答えでも、ちゃんと根拠や証拠があり、きちんと説明があれば、受け入れる」という懐の深さを彼らに見せないと、なかなか真実が出てこない。
そこをよく自覚してほしいんですよね。
☆被害者家族らと一緒に「これ以上、死亡者が出たら許さないぞ」という強硬な
風潮を先導してきたのも、安倍首相です。
そうですよ。被害者は感情的になって当たり前。
でも、政治家が一緒に感情的になってはだめ。
仮に家族の意向や世論に反することであっても、毅然とやることが必要だと思う。
もっと理性的にやらないと、動かないんじゃないかという気がするんですよね。
安保法制では世の中の言うことに耳を貸さないんだから、拉致問題でもそういうやり方をなぜ踏襲しないのか。
別に「あきらめろ」と言っているわけではない。こう言うと非常に誤解を受けやすくて、「おまえのところは家族が全員帰って来たからそう言うんだろう」と言われる。本当にそうなら私、何も言いませんよ。
「うちはよかったな」と黙ってしまえば終わり。
でも、他の人たちの問題が気になるし、そのためには北朝鮮から情報を得ないといけない。
どうしたらいいか、自分なりにいろいろ考えた上での結論だということはわかってほしい。
このまま「全員返せ」「全員返せ」と叫ぶだけじゃ動きませんよ。
☆最近は蓮池薫さんも講演などで、かなり口調
が厳しくなっている、いらだっているように見受けられます。
そりゃ、いらだちますよ。帰って来た人間は「自分たちだけが帰って来た」という思いがある。
常に、まだ帰って来ていない人のことが頭にあるから、それが解消されない限り、本当の意味の自由はないと思います。
肉体的には解放されても、精神的にはまだ解放されていないんですよ。
喜んでいれば「他の人が北朝鮮に残っているのに」と言われ、ふさぎ込んでいれば「うれしくないのか」と言われる。
理不尽な状況に置かれているわけですよね。
彼らの精神的に複雑な状況を打破するためにも、早くほかの人たちの問題を解決しないといけない。
■なぜ、こんなにかかってしまったのか ?
kim jong il koizumi 2002
2002年9月17日、北朝鮮の金正日総書記と握手する小泉純一郎首相(当時)。
金総書記は初めて北朝鮮による拉致を認め謝罪、両首脳は「日朝平壌宣言」に署名した。
13年という月日は、私が弟と会えなかった24年の、半分以上です。
このまま24年たってしまうのかもしれないと恐れています。
裁判でいずれ判決が出るという問題じゃない。
いつになるんだという疑心暗鬼しかないんですよ。
時間がかかりすぎている。
☆改めて、なぜ、こんなに時間がかかってしまっているのでしょうか。どこで間違った
のか、と考えることはありますか。
きっかけは2002年の日朝平壌宣言ですよね。
小泉首相の訪朝で「5人生存、8人死亡」という北朝鮮側の発表をうのみにした。
「どうして死んだんだ、証拠を出せ」と、あの場で突っ込むべきだった。
本当に死んだなら、犯人の処罰や損害賠償まで話を持って行かないと家族は納得しない。
紙一枚で「死んだ。だから葬式を出せ」と、現代では通用しない方法をあえて取ろうとした。
それがつまづきの原因であり、元凶だった。
北朝鮮が大変な人権侵害をしたのは、まぎれもない事実だけど、日本政府も被害者の人権を軽視していたのではないか。
そもそも拉致被害者を24年以上放置しておいて、国交正常化のためには「死んでもいいや」という程度の認識だったのではないかと思います。
生存と言われた5人にしても「すぐに連れて帰る」ぐらいのことは言ってほしかった。
なぜ「一時帰国」だったのか。5人の人権を完全に軽視していますよね。
紙一重のところで免れたけど、あのとき、弟たちが北朝鮮に戻ってしまっていたら、我々は今ごろ、弟一家が住む平壌に通っていたかもしれない。
☆外務省はそれで何とかなると思ったんでしょうか。
メディアもある意味、裏を取らずに「死亡」と報道して、既成事実化に加担したでしょう。
文句を言わずに平壌宣言にサインしたから、向こうは「言質取ったぞ」ということになりますよね。
だから今でも日本政府が言っている「平壌宣言にのっとって国交正常化を目指す。
拉致被害者の全員帰国を実現する」というのは矛盾しているんです。
平壌宣言にのっとったとたんに、8人死亡が既成事実として成立してしまう。
一方で北朝鮮側は解決済みだという。
その結果、死んでいる、生きているという水掛け論のようになり、向こうから出てきた証拠なるものがいい加減だったので「おかしい」という話になった。
それだけでなく「おかしいから生きているんだ。返せ」ということになってしまった。
それは主に家族会、「救う会」の主張ですが、論理に飛躍があると思うんです。
「おかしいから追及してもっと正確なものを出させる」という方法もあったと思うんだけど、日本は「北朝鮮はうそつきだ」、北朝鮮も「日本も約束を守らない」と一方的な主張をぶつけ合うだけで、何も進まなかったというのが実情じゃないですか?
kim jong il koizumi 2002
外務省の前に座り込む北朝鮮拉致被害者の家族ら(東京・霞が関の同省前で)
撮影日:2000年03月06日
―この続きは次回投稿します―
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