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安倍政権の集団的自衛権行使容認を批判 !
柳澤元内閣官房副長官補[安全保障担当が
(第2回)
<集団的自衛権:柳澤協二さん(1)>解釈改憲そのものに平和の問題だけ
ではなく日本の民主主義の根幹にかかわる問題が内在している !
(kiikochan.blog136.fc2.com/:2014年2月28日基調講演より抜粋・転載)
(文字起こし)
<集団的自衛権>
1.国際情勢・日本防衛とは無関係な政策
2.アメリカの期待とも無関係な政策
3.アジアとの連携にも無関係な政策
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
4.「具体例」の非現実性
それから安倍総理は具体的な例で全国民にわかりやすく説明していただきたいとこう言っている訳です。
かねてからいろんな例があがっていますけれども、その例を一つ一つあまり細かくならない範囲で申し上げますと、「アメリカの船を守る」という話があります。
これは、一体今の状況の中で、大体近所にいて同じ行動をとっている船同士がどちらかが攻撃されれば、それはどっちに対する攻撃か分からないという事で、いまも自衛隊法の中でも、武器統合法の規定というものを使って事実上は防護出来ますよという話もしてるし、日本の保有地であれば、中曽根政権の時にすでに米艦護衛は個別的自衛権の範囲で出来るという理解も成されている。
じゃあその、全く日本の有地を出ないで平和な時にいきなりアメリカの船が攻撃されるという、「こういうケースっていったいなんなんだい?」ということですね。
最近になって言われているのは、これは2009年の北朝鮮がミサイルを発射した時に日本海と太平洋の飛翔経路の真下にアメリカにイージス艦が出てたんですね。
私はあの時官邸にいて、「何で日本はいないの?」って聞いたら「日本はもっと離れたところで横から観察するんです」とか何か防衛省が説明していましたけれど、つまり一番特等席をアメリカが取って、ハワイへ飛んでいくミサイルだと言ってかなり本気で情報収集をしていたんだろうと思います。
そこに北朝鮮の戦闘機が飛んできたという事が言われています。
私自身は確認していませんが、そして「攻撃されたらどうするんだ、守ってやらなきゃいけないじゃないか」という議論がそこから出てきているんですけど、ただこれは、アメリカがアメリカ単独で情報活動をするっていうのはかなり、かなり挑発的な事もやっているんですね。
去年の12月も、カオレンスという巡業艦が中国の空母艦隊の演習状況をごく間近で、
なんか、仲間になったぐらいの距離で見ているところを、中国の船に進路妨害されたという事件もあったし、それから皆さんご記憶かと思いますが、中国が航空識別圏を決定したら、その直後にすぐB52をその中に飛ばしていく訳ですね。
それに対する相手の出方も含めてアメリカの情報活動というのは、結構えげつなくやる。
そこにじゃあ、どうするんだ?と。
そこにもしかしたら攻められるかもしれない訳ですね。
これは、アメリカは非常に過去こういう例はいくつもあります。
北朝鮮の上空で電子偵察機が撃墜されたり、その前には情報収集艦が北朝鮮の領海の中で拿捕(だほ)されたりという事件もあったけど、それから中国の戦闘機とアメリカの電子偵察機が衝突して乗員が拘束されると。
こういうのを繰り返してアメリカはずっと外交解決でやってきているんですね。
ここにだから、誰かが出ていってそれを
「俺が助ける〜!」って助けに行って、本当の戦争になっちゃう、っていうのは、
それはアメリカが決して望む事ではない。
アメリカはしかし一方で、いまはとてもやる余力無いと思いますが、ベトナム戦争で北爆の発端になったのはトンキン湾事件という、これはだから、「パトロールしているアメリカの船に近づいた船が攻撃してきた」と。
後でそれがでっちあげだったとわかったんだけれども、そういうこともやるんですね。
だから、これは第3国というか日本が「お助けします」という筋合いの話では多分ないんだろうというふうに思います。
それからよく言われる「アメリカに飛んで行くミサイルを落とさなければまずいんじゃないか」という、そういうのが。
まずいのはまずいかもしれないけれども、ここでも「誰が一体アメリカにミサイルを撃ち込むんですか?」
アメリカにミサイルを撃ち込むという事は、大量の報復を受けて自分の国が壊滅することを意味している訳ですね。
それを「アメリカの抑止力」と呼んでいるわけであります。
政府もそれがアメリカの抑止力の中核であるという認識を持っている訳で、じゃあそのアメリカにミサイルを撃ち込むっていう事は、抑止力ってなかったの?っていう話のもなる訳ですが、いずれにしてもアメリカに飛んで行くミサイルって、
なんていうか一番近い距離を飛ばそうと思ったら北極圏を超えて飛ばすんですから、しかも、大きなロケットで飛ばすんで、速いし高いところを飛ぶ訳ですね。
後からイージス艦の、より遅くて低いところを飛ぶミサイルでそれを追っかけたって、当たる訳がない。
この想定そのものが条件的にもあり得ないし技術的にもあり得ない。
しかし将来は発射できるように強力なレーザー兵器で破壊する手段が出来ればそれが可能になるって、それは将来は可能かもしれないけれど、今はそんな強力なパワーを持ったレーザー装置の開発というのは現実的には進んでいない訳ですから、つまりこの話は「将来できるかもしれん」という事は、「今やらんでもいい」という事なんですね。
少なくても緊急性がないという事。
あるいは最近は米本土と言わずにこの前の安倍総理の国会答弁では「グァムに飛んで行ったらどうすんだ?」という話をしてて、「グァムなら居場所によってはちゃんと日本のミサイルでも落とせるんだ」といって、じゃあ、去年の3月にキム・ジョンウンがなんて言ったか?っていったら、「三沢も横須賀も沖縄もグァムも我が国のミサイルの攻撃の射程内にあるんだ」と。
つまり、アメリカと本気で戦争をしようと思ったら、そういう基地を一気にやっつけないと、もうグァムだけやっつけて、在日米軍基地を放っておいたら、
そこから飛んできた飛行機で、もうメタメタにやられる訳ですから、軍事常識的にはグァムだけたたいて日本有事にならないというケースは私は全く考えられないと思う。
ですからこれも、そういう意味でアメリカに向かうミサイルの砲撃というのも現実的ではないなと。
あるいは最近言いだしている事で、「アメリカを攻撃した国に武器を運ぶ船を臨検しなければいけない」
いまの船舶検査法は周辺自治体にしても北朝鮮制裁にしても、強制力は持っていない訳ですけれども、
しかしここでもじゃあ、「誰がアメリカを攻撃してるんですか?」っていうことを。
で、そこに武器を運ぶっていう事は、引き続きアメリカと戦争状態にあるという事を意味しているんですね。
仮にこれが北朝鮮が起こした周辺事態になるとするならば、北朝鮮への制裁がなかなか効いていないのは何故か?
それは船でいろいろ運ぶからじゃなくて、中朝の国境を超えて中国から物資が入るからですよね。
まして戦争になれば、そんな日本の近海を貨物船が武器を運んで通る訳がない。
中国の国内を通っていくんですから。
これも実際に現実性も実行性もあまり考えられない。
それからまた最近言われているのは、「ホルムズ海峡が機雷で封鎖されたらどうするんだ?」と。
どうするんだって言ったって、そりゃぁイランはね、そうとうな機雷付設能力を持っているといわれています。
だけど相手がイランであれば、まずは戦闘機もいるし、それから潜水艦もいるし、ミサイル艇もあるわけで、そういったものを叩きつぶさなければ、
そう艦艇がトボトボと行って湾岸戦争の後にやったようなああいう作業なんかとってもできない訳ですね。
だからそれはつまり、ホルムズ海峡の機雷を除去するっていう事は、イランと全面戦争するという事を意味している訳であります。
それは、アメリカはやるかもしれないという事はあるけれども、今は、今は少なくてもなんとか、去年の9月にはシリアへの攻撃もアメリカは差し控えたわけですし、
なんとかイランそのものも大統領が本ていになり変わって交渉をしようとしている。
やはりそういう事でないと、軍事力だけではなかなか解決できないという状況の方が想定されている
第一そういう事で中東情勢が大混乱になればね、アメリカがイランを攻撃することによって、それは「機雷があるから危険だ」というどころの話ではない。
その中で日本はどういう外交的な役割を持つかという事をむしろ考えていかなければいけない。
そういう問題であろうと覆います。
5.立憲主義と解釈改憲
5番目にちょっと傾向を変えて、これは前回阪田先輩からお話があったと思いますが、そもそも立憲主義ってなんだ?っていう事なんです。
憲法っていうのは、「国民が政府に与えた権限はここまでだよ」という事を示すのが、明示するのが憲法の役割だという事なんです。
そうすると、政府が自ら、自分がもっと自由にやれるような方向で、政府の権限が拡大する様な方向の解釈を見直すというのは私はだから逆に政府がもっと自分のやれる事を縛るような解釈に直すように私はできるんだろうと思います。
しかし政府が自分の自由を広げるような解釈の見直しというのは、それはやはり、もう近代国家の立憲主義精神からみて、基本的に許されない事だというふうに思います。
ただそういう議論をすると、「それでは間に合わないかもしれない」と。
憲法改正の手続きを踏んでいてたら、何時何があるかもう分からないから間に合わない。
ただ、間に合うかどうかという問題は、「間に合わないと思ったなら、もうさっさと手続きを始めなさいよ」ということなんですね。
つまり、憲法96条には3分の2で発議をして、国民投票で決めるという手続きがある訳ですから、そういう手続きを踏んで、国民のコンセンサスを問うという事が、実は民主主義国家の民主主義であるゆえんであるし、それが民主主義のコストなのです。
そのことを覚悟しないで「国を守るためにはそんな事は言ってられない」というふうな事を言うのは、「じゃあ一体何を守ろうとしているのか?」「国は守るけれども民主主義は守らないということなのか?」という、こういう話になってくるので、どうも解釈改憲そのものに非常に大きな、平和の問題だけではなくて、日本の民主主義の根幹にかかわる問題が内在しているんだろうと私は思います。
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