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アベノミクスの実態は、大資本だけが栄えて、一般労働者が切り棄てられ、
消費税大増税不況に突入 !
2014年度は、GDP実質成長率が−1.0%成長、消費税大増税で、日本経済は撃墜が実態 !
アベノミクス円安の功罪は ?
「植草一秀の『知られざる真実』」:2015/06/02より抜粋・転載)
1)現金給与総額を押し上げた主因は、「ボーナス」であった !
厚生労働省が毎月勤労統計を発表し、4月の現金給与総額が発表された。
事業所規模5人以上の事業所では、4月の現金給与総額が前年同月比 +0.9%の伸びを示した。
4月の全国消費者物価上昇率は、前年同月比 +0.6%だった。
現金給与総額の伸びから物価上昇率を差し引いた、実質所得が、前年同月比 0.3%となった。
4月は、実質賃金が、前年比でプラスを記録したことになる。
しかし、現金給与総額の中身を見ると、所定内給与 +0.6%所定外給与 −2.3%
特別に支払われた給与 +14.9%となっており、現金給与総額を押し上げた大きな要因が、「特別に支払われた給与」=「ボーナス」であったことがわかる。
3月の現金給与総額は、前年同月比 +0.0%、消費者物価上昇率は、前年同月比 +0.3%(消費税増税の影響2.0%を除く)で、実質所得は、前年同月比−0.3%だったから、4月は3月に比べると改善を示した。
2)所得環境が基調として改善しているとは言えない !
しかし、4月の実質賃金増加は、ボーナスの増加に支えられており、所得環境が基調として改善しているとは言えない。
大企業を中心に企業収益が好調で、そのおこぼれを頂戴するかたちでボーナスは増えているが、所定内給与は目立った増加を示していない。
2014年度は、GDP実質成長率が−1.0%成長に落ち込んだ。
消費税大増税で、日本経済は撃墜されたのである。
3)2014年度は、GDP実質成長率が−1.0%成長、消費税大増税で、日本経済は撃墜 !
その日本経済が、辛うじて「奈落の底」に落ちるのを回避できたのは、
1.2015年度の消費税再増税を先送りしたこと
2.原油価格が急落して、日本経済に大きな所得増大効果が付与されたこと、によっている。
この二つの条件が整わなかったなら、日本経済は、奈落の底に落ちていたはずである。
原油価格が5割下落すると、日本の石油輸入代金が年間で「約7兆円節約」される。
原油価格急落は、日本経済に7兆円減税と同等の経済効果を付与したのである。
『金利・為替・株価特報』http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html、
では、日本の株価見通しについて、以下のような予測を提示してきた。
2014年11月 年末にかけての「掉尾の一振」
年初からの株価下落
2014年5月 株価上昇
2014年10月 株価中立
2015年2月 株価上昇
2015年5月 株価弱含み
2015年5月 株価上昇
4)石油輸入代金が年間で「約7兆円節約」、株価上昇は、「原油安の配当」が主因 !
2015年の株価上昇は、「原油安の配当」によるところが大きい。
原油安=所得増大=物価下落=金利低下=株価上昇のメカニズムが作動したのである。
しかし、この構図は、原油価格が反転上昇すると逆流する。
2015年半ばにかけてのリスクとして、この点を強調し、5月7日執筆のレポートで警戒スタンスを示した。
しかし、5月7日夜発表の米国雇用統計が市場心理の悪化を回避する内容となり、原油価格の反転が小康状態に移行する可能性が高まったため、5月中旬には株価見通しを「上昇」に回帰させた。
日本株価の上昇圧力の主因は、企業収益の増大 !
5)日本株価の上昇圧力が強い最大の背景は、企業収益の増大 !
この点を踏まえると、日本株価が、大幅に水準を切り上げてもおかしくはない。
この点の分析は、『金利・為替・株価特報』に記述しているが、別の視点から捉えると、この現実に日本経済の「歪み」がくっきりと浮かび上がっているということもできる。
それは、大資本だけが栄えて、一般労働者、末端労働者が切り棄てられているという現実なのである。
2014年度は日本経済の実質GDP成長率が−1.0%に落ち込んだ。不況への転落である。
日本経済新聞は執拗に「消費税増税の影響軽微」の報道を展開したが、現実はこの報道とかけ離れたものになった。
6)大資本だけが栄えて、一般労働者が切り棄てられ、消費税大増税不況に突入 !
日本経済は消費税大増税不況に突入してしまったのである。
不況に突入しながら、政府が不況入りを正式に認めないことも問題であるし、それを正確に報道しないメディアも問題である。不況に突入すると、通常は株価が下落する。
しかし、日本株価は2014年5月以降は底堅い推移を示した。
2014年10月には日経平均株価が14500円水準に下落する局面も観察されたが、その後は反転上昇した。
7)昨年末・総選挙時の株価上昇は、官製株価と増税先送り決定と原油価格の急落が要因 !
12月に実施された、総選挙に合わせて株価が人為的に引き上げられたかのような印象もあるが、強い影響を与えたのは、増税先送り決定と原油価格の急落だった。
これ以外に、公的年金の日本株への投資比率引上げ、日銀による国債買入れ激増策が発表されたことも影響した。
こうした「株価吊り上げ政策」が影響したのは事実であるが、より本質的な背景は、企業収益の増大にある。
不況にもかかわらず、上場企業の企業収益は増益を維持したのだ。
8)「株価吊り上げ政策」と企業収益の増大が日本株価の上昇の背景だ !
このことから、企業収益と株価との関係を示す、PER(株価収益率)などの指標から判断すると、日本株価の上昇が肯定される状況が生み出されたのである。
『金利・為替・株価特報』に記述しているように、こうした指標的判断=バリュエーション判断では、日本株価には、なお上昇余地が残されている。
もちろん、FRBの金融引締め、原油価格の上昇、ギリシャのデフォルト、などの重要リスクが存在することを忘れてはならないのだが、こうしたリスクが拡大するまでは、日本株価が上方への水準修正圧力を受ける可能性は、残されている。
問題は、経済全体がマイナス成長=不況に陥っているのに、企業収益が増加するという現象が持つ意味である。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
T 東京外国為替市場の円相場は、円安ドル高が進み、123円台
(www.asahi:2015年5月27日13時53分より抜粋・転載)
5月27日の東京外国為替市場の円相場は、円安ドル高が進み、一時、約7年10カ月ぶりとなる1ドル=123円台をつけた。
米国の年内の利上げ観測を背景に円売りドル買いが進んだ前日の海外市場の流れを東京市場でも引き継いだ。
前日に発表された米国の景気指標が堅調だったことが、米経済の不透明感を後退させ、低金利の円を売ってドルを買う動きにつながっている。
午後1時の対ドルは、前日午後5時より55銭円安ドル高の1ドル=123円07〜13銭。
対ユーロは同38銭円安ユーロ高の1ユーロ=133円92〜93銭。
U アベノミクス円安の功罪 !
国内生産強化の動きの一方、“円安倒産”は増加
(newsphere.jp:2014年10月10日より抜粋・転載)
◆自動車部品の世界的大手デンソー、国内での生産拡大を検討 !
大手自動車部品メーカーのデンソーが、国内での生産拡大を検討していることを報じて、円安のプラス面を強調的に伝えたのがブルームバーグである。
デンソーは、2014年3月期の単体売上高が2兆4908億円に及び、売り上げ規模では、現在、世界第2位の自動車部品メーカーだ。
トヨタ自動車にとっては最大の部品供給メーカーである。ロイターによると、売り上げの48.8%を、ダイハツ工業、日野自動車を含むトヨタグループに頼っている。
また、株式時価総額では、9月末の時点で国内第14位だった。
ブルームバーグによると、デンソーの加藤宣明社長は3日のインタビューで、「国内生産をある程度維持すること、あるいは生産量を増やすことさえも可能です」と語ったという。
◆国内の自動車産業の“空洞化”が止まる?
自動車産業では、現地ユーザーの好みに合いやすくするためと、輸送コストを不要にするため、また為替差損のリスクを減らすために、(日本ではなく)販売国で製造することが支配的な傾向になっているという。
ブルームバーグが着目したのはそこだ。デンソーには、自動車メーカーが生産量を増加させるタイミングと場所で、自らも生産量を増加させる傾向があるという。
そこで、もしデンソーが国内での部品の生産を増やすということになれば、安倍首相の円安政策が、国内生産への関心を再びかきたたせているということのしるしになるだろう、と述べている。
つまり、自動車産業全体で、生産拠点の国内回帰の動きが始まるのではないか、とほのめかしている。
◆中堅企業、中小企業にとってはありがたくない円安 !
このように円安は、輸出が大きな割合を占める大企業製造業にとってはメリットを持つものだが、中堅企業、中小企業にとっては必ずしもそうとは言えない。
ウォール・ストリート・ジャーナル「日本リアルタイム」は、
円安が原因で倒産した企業が、昨年に比べて急増したことを報じて、
円安のマイナス面を伝えた。
記事がソースとしているのは、東京商工リサーチが8日に公表したレポートだ。
記事によると、今年1月から9月までの間に倒産し、その原因として円安を挙げた企業の数は214社だった。前年同期では89社であり、2.4倍の増加だ。
倒産した企業の多くは、中小企業だったという。
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