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『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』とは ?
検察首脳が、組織的に行う、「裏金作り」とその乱用 !
原田検事総長の決断で「裏金作り、嫌疑なし」として巨悪にふたをした !
三井環公安部長は、現職のまま実名で、裏金問題をマスコミに知らせようと決断 !
三井環を黙らせるため、不当逮捕決行 !
(gendai.ismedia.jp/: 2010年08月16日より抜粋・転載)
著者:元大阪高検公安部長 三井環 講談社: 定価1500円(税込)
◎担当編集者よりの紹介◎
本書は、検察庁で秘密裏に行われてきた裏金作りを内部告発しようとして、口封じ逮捕された現職の検事による、検察の闇を告発する書です。
「検察の暴走」や「機密費」が、世間を賑わせていますが、社会正義を実現するはずの検察は、内部に「裏金作り」という闇をかかえています。これを隠し通す限り、検察の正義は自己矛盾に陥り、その捜査はゆがんだものにならざるをえません。
そして検察の抱える闇は、政権によっても利用され、政治事件の理不尽な捜査や、国策事件までを生み、検察暴走のもとになっています。
著者は、検察の矛盾を自らの身に引き受け、でっちあげ事件で逮捕され、服役し満期出所したいま、命をかけて検察の大罪を告発しようとしています。本書では、検察がメンツで生み出す冤罪、検察と暴力団の癒着の告発に始まり、検察改革への根本的提言までが詳細に語られています。
そして冒頭には、今回初めて三井環氏を取材し、放映した「ザ・スクープ」キャスターの鳥越俊太郎氏による、渾身の検察批判が掲載されています。
【内容構成】
特別寄稿 検察は汚れた服をきれいに洗え 鳥越俊太郎
序 章 検察の闇を告発する ●出所前の怒り ●仮釈放は却下に・・・
第1章 「けもの道」を行く検察 ●真っ黒な事件を真っ白に ●裏金報道を隠すための逮捕・・・
第2章 でっちあげ逮捕とその裁判 ●三井の首を取れ ●裏金作りを論じない検察・・・
第3章 二億円をめぐる検察と暴力団の癒着 ●射殺事件の深い闇 ●核心的証言に辿りつく・・・
第4章 国民の敵 検察 ●嘘のリークで「悪徳検事」に ●いきなり逮捕して大失態・・・
第5章 法務検察のあるべき姿とは ●職をかけて逮捕 ●調査活動費全廃を・・・
終 章 真実を露にするとき ●原田検事総長は裏金を認めた ●全面謝罪以外、道はない・・・
第一章
「けもの道」を行く検察:検察は終わりだ
私が裏金告発するようになった当初の動機は、加納駿亮大阪地検検事正に対する人事権の濫用に対する不満があったためである。
ある収賄事件で、捜索と差し押さえを先行しないで、いきなり大学の講師を逮捕し、後で無罪の証拠が発見されたことがあった。その暴走を私が咎めたのだが、その捜査の統括責任者が加納だった。加納のメンツを潰したこととなり、それによって私は加納から逆恨みされ、人事や給料での嫌がらせを何度も繰り返し受けた。
★検察首脳が、組織的に行う、「裏金作り」とその乱用
そこで私は、なすすべもなくなり、検察首脳が、組織的に行う、「裏金作り」とその乱用について、加納をターゲットに、最高検察庁に匿名で刑事告発をしたのである。
だが、これに対して、ときの原田明夫検事総長は、平成一三年一一月、加納をろくな捜査もせずに、「嫌疑なし」とした。検察組織全体としてこの問題の幕引きを図ろうとしたのだ。
原田検事総長のこの判断に、私は「検察は終わりだ」と思った。
そして私は腹が立って仕方がなくなった。原田検事総長による「けもの道」(後述)の選択が、私が「義憤」に駆られて、検察の裏金問題を告発するきっかけとなった。
私が検事の職に就いたときに抱いていた、「検事」としてあるべき姿、組織にどっぷりつかって忘れかけていた、「正義を体現する」という姿を呼び覚ますことになったのである。
★最強の捜査機関が、表では犯罪を検挙しながら、
裏では、自ら犯罪を犯し、これを隠蔽している
原田検事総長は、まさか現職の検事が告発するなど考えもしなかっただろう。
原田検事総長の選択は、検察自らが、正義を捨て、不正義を選択したことと同義だ。
犯罪を犯した者が、その犯罪を隠蔽するなどという(極端な)「不正義」「悪」はないだろう。
最強の捜査機関が、表では犯罪を検挙しながら、裏では、自ら犯罪を犯し、これを隠蔽しているのだ。
原田検事総長の心中も複雑だっただろう。
★原田検事総長の決断で「裏金作り、嫌疑なし」として巨悪にふたをした
自らの決断で「裏金作り、嫌疑なし」として巨悪にふたをし、検察としての存在理由である「正義」を犠牲にしたからである。
ここには、過去培われてきた「検察イコール正義」という神話と、検察OBに対する配慮もあったと思う。
また、検事総長として、天皇から認証され、正義を体現するはずの原田自身が、犯罪に手を染めた事実を自分自身で受け入れたくない、という思いがあっただろう。
★三井環は、現職のまま実名で、裏金問題をマスコミに知らせようと決断 !
そんなとき、私は原田の幕引きを見て、それまでは匿名であったが、現職のまま実名で、
裏金問題をマスコミに知らせようと再び動き出したのだ。
しかし、それを原田が察知すればどうするか。「告発されるかも知れない」と知ったときの、原田の恐怖心は、想像を絶する。
折しも外務省の裏金問題で、世の中が外務省を猛烈にバッシングしていたころだ。
それをわが身一身に受ける覚悟など、できるはずもない。
彼は、半ば逃亡者のような心境で方法を探した。
「三井を黙らせるにはどうしたらいいか・・・」
★三井環を黙らせるため、ドタバタ逮捕 !
そして、これ以上ない悪を自ら抱え込んで、法務検察は動いた。でっち上げで私を逮捕することこそが、彼らの出した答えなのだ。
ドタバタ逮捕: でっちあげ逮捕が私に及ぶことは、私は全く気付かなかった。
その気配も感じなかった。それが作られた事件であったから。
だが、裏金作りを公表するというからには、検察はなにがなんでも、どんな手段を使ってでも、堀の中に閉じ込めるのではないか。裏金作りを「嫌疑なし」にして、真っ黒を真っ白にしたのと同じように・・・。
★法務検察は、権力を使って、どんなことでもできるのだ !
法務検察は、やろうと思えばどんなことでもできるのだ。そのことに思いを致さなかったのが、私の不徳の致すところである。
このときの原田検事総長の焦りを、端的に表すエピソードがある。ぜひご紹介したい。悲喜劇とも言えるようなドタバタ劇だ。
平成一四年四月一七日、週刊朝日の山口一臣から、私が勤務していた、大阪高等検察庁公安部長室に直接の電話があった。
二二日の昼からテレビ朝日「ザ・スクープ」キャスターの鳥越俊太郎氏が、取材収録をしたいといっている、とのことだった。私がこれを了承すると、二二日に場所を連絡する、といって、その電話は切られた。
★「ザ・スクープ」への出演日時を知るため、「盗聴」なり、何かの細工をしていた !
保釈になってから、山口一臣から聞いたことだが、この電話をかけたとき、直通電話のはずが、なぜか違うところに転送された、ということだった。
おそらくそのタイミングで、「盗聴」なり、何かの細工をしていたのだろう。
収録日程や場所の情報は、これによって検察側に筒抜けになっていたのではないか、というのだ。
いずれにしても、テレビで裏金問題を「スクープ」されたらまずいと思った検察は、どこからか収録の日程を聞きつけ、すぐに行動に移る。
翌一八日午後三時ごろ、大阪高検の大塚清明次席検事から、それまで眠っていた、私のでっちあげ逮捕につながる「荒川メモ」(後述)が大阪地検に手渡された。
★三井環を黙らせるため、不当逮捕決行 !
しかし佐々木茂夫大阪地検検事正は、私の逮捕に反対したという。原田検事総長が、直接東京から陣頭指揮した逮捕だといわれている。
そこで主任の大仲士和検事が急遽、逮捕に向けた諸準備を始めた。そして、第一次逮捕が敢行されることになる。
結局、私は大仲検事の捜査報告書一本で逮捕され、通常は逮捕時に準備される関係者の調書は、一通もない。
私の取り調べをした水沼裕治検事は、逮捕前日の二十一日夕方、日曜日も終わるかというときに召集された。主任検事の大仲が裁判官に令状請求し、裁判官から許可が下りたのが二十一日の深夜である。
読者は、「微罪」ですらなく、関係者の調書もない第一次逮捕の案件(後述)で、令状が裁判官からすぐ出るのか、と不思議に思われるかもしれない。
だが、これが裁判官は「自動販売機」と言われるゆえんである。待ち焦がれた令状を取るために、大仲は、その日ホテルに泊まったとのことだ。
そして、翌二二日早朝、私は当時の自宅の玄関先で、大阪地検特捜部の検察事務官から任意同行を求められ、車で大阪高検まで連れて行かれることになる。
三七階が私の通常の部屋だったが、その日は二〇階あたりに連れて行かれ、何も言わずにいきなり午前九時ごろ逮捕となった。
任意同行の情報が検察からリークされ、読売新聞社記者から同行時の写真を撮られた。
リークしてもらった見返りに、読売新聞社は、悪徳検事ぶりを書き立てた。
もちろん、裏金作りの報道は一切しなかった。
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