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 安倍首相の言う、トリクルダウン論は、正論か ?     「富める者が富めば、貧しいものにも自然に富が浸透」する   
http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/3490.html
投稿者 青木吉太郎 日時 2015 年 1 月 09 日 17:27:24: jobfXtD4sqUBk
 


    安倍首相の言う、トリクルダウン論は、正論か ?

「富める者が富めば、貧しいものにも自然に富が浸透」するは、本当か ?

新自由主義経済政策は、格差拡大推進だった !

安倍政権が隠す、失われた20余年の実態:
2倍以上経済成長の欧米と
20余年停滞の異常な日本の大失政 !


T 企業優遇のトリクルダウン政策が失敗する時

(www.quon.asia :大西良雄ニュースの背後を読む :

2014年10月14日より抜粋・転載)

中国の先富論と トリクルダウン論は、相似 ?


 日経新聞10月5日の「けいざい解読」に「中国の先富論とアベノミクス」と題した秀逸のコラム記事が掲載されていた。
ケ小平氏の「先富論」とアベノミクスは、相似形経済成長が止まれば、先富論もアベノミクスも破綻する。

 コラムによれば、中国の成長を支えたケ小平氏の「先富論」は、「沿海部がまず稼ぎ、豊かになる。
経済のパイが大きくなったところで内陸部の貧しい人たちにも富を分配する」というものだったが、安倍総理の経済政策「アベノミクス」はこれと似ている面があるという。

 アベノミクスについては、「大胆な金融緩和は物価や資産価格を押し上げる。
資産を持つ高所得者は株や土地の値上がりで潤う一方、低所得者は物価の上昇でむしろ苦しくなる。

それでも『しばらくすれば成長戦略が軌道に乗り、経済全体のパイが大きくなる。給料も上がるからそれまで待ってほしい』と訴えるのがアベノミクスである。」と書いている。

 先富論もアベノミクスも、持続的成長による低所得者への将来の分配を予定している。
しかし、成長が止まれば持つ人と持たない人の格差が広がっただけで終わり、社会不安が高まり先富論もアベノミクスも破綻すると結論付けている。

 中国は今、過剰投資の弊害が表面化、これを支えたシャドー・バンク(影の銀行)の破綻が懸念され、経済成長率が大きく鈍化している。
「先富論」の成果が内陸部に浸透する前に地方経済の破綻が懸念されている。人々がまんべんなく豊かになる前に高齢化社会が来るという「未富先老」の憂いさえ叫ばれ始めた。


2)昨年4月以降、景気後退が始まっている !


 「アベノミクスの効果を全国津々浦々まで届けたい」というのが安倍総理の決まり文句だが、
それが届く前に景気後退が始まっている。

今年1月が景気の「山」、景気後退が現実となった、アベノミクス効果が全国津々浦々に及ぶのは困難である。
 まだ暫定だが内閣府の景気基準日付のよると日本の景気は2012年11月に「谷」を打った。その後、アベノミクスによる景気拡張が始まったが、今年(2014年)1月に景気の「山」に達した模様だ。内閣府は8月景気動向指数(一致指数)の低下を確認、景気の基調判断を「足踏み」から景気後退の可能性を示す「下方への局面変化」へ下方修正した。

 景気基準日付による景気の「谷」の認定は1年半以上先になるが、今年1月が景気の「山」だったと認定される可能性が大きい。

となるとアベノミクスによる景気拡張期間は、2012年11月から2014年1月まで14か月だ。これまで景気拡張期間の戦後最短が22か月だったからアベノミクス景気はこの記録を更新することになる。

その後の景気後退が、8月までの「ミニ後退」に終わるか、後退が長引くか、予断を許さない情勢だ。

3) IMF(国際通貨基金)等も
大きく下方修正した !

 一方、2014度の日本の実質経済成長率は、2013年度の2.3%から大きく減速、1%を下回る可能性が出てきた。
暦年だがIMF(国際通貨基金)は、2014年の日本の実質経済成長率予想を1.6%から0.7%へ大きく下方修正した。
民間の「ESPフォーキャスト10月調査」では2014年度の実質成長率は0.34%で0.5%前後とされる潜在成長率を下回る予想になっている。

 円安にもかかわらず増加しない輸出数量、円安による物価高と消費増税による実質所得(購買力)の大幅な低下、天候不順など減速の原因は複合化しているが、実質経済成長率が潜在成長率を下回るような事態に至っては、アベノミクスの効果が全国津々浦々に及ぶことなどほとんど期待できない。

 それどころかアベノミクスによる円安によって電力、ガソリン、灯油、飼料など生活必需物資が軒並み値上がり、東京圏などに比べ地方住民の実質所得低下幅は大きくなった。

賃上げの恩恵に預かれない非正規社員、地方と中小企業の従業員、年金生活者には物価上昇による所得目減りが痛撃している。

 しかもアベノミクス景気は資産家や大企業正社員とそれ以外の人々との格差を広げたまま失速しているのだ。
これでは「おこぼれ」に預かるどころか、アベノミクスは「やらずぶったくり」だったということになりかねない。

先富論から取り残された中国内陸部の人々とアベノミクスによる円安被害を蒙ったままの北海道、東北、山陰、四国、九州など地方住民らが重なって見える。


4)「富める者が富めば、貧しいものにも自然に富が浸透」するは、本当か ?

企業優遇の「供給サイド経済学」を支えるトリクルダウン理論
「富める者が富めば貧しいものにも自然に富が浸透」、本当か?

 「徐々に流れ落ちる」ことを英語で「トリクルダウン(trickle down)」というが、経済学の分野でも「おこぼれが滴り落ちる」ことを期待する「トリクルダウン仮説」とか「トリクルダウン理論」と呼ばれる考え方がある。

 「ウィキペディア」を借りて言えば、トリクルダウン理論とは「富める者が富めば、貧しいものにも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」とする経済理論または経済思想である。
トリクルダウン理論は、レーガン米大統領の新自由主義経済政策「レーガノミクス」の中核をなした「サプライサイド経済学」を支える理論として知られる。


5)安倍首相がまねする「レーガノミクス」は不成功だった !

 経済は、家計を中心とする「デマンド(需要)サイド」と企業を中心とする「サプライ(供給)サイド」で構成されるが、「サプライサイド経済学」は、サプライサイドの牽引者である企業や富裕者を含む企業家にテコ入れして、経済成長を実現するする経済学である。

この経済学に従えば、家計など「デマンドサイド」は、企業や富裕者が牽引する経済成長から「滴り落ちるおこぼれ」を頂戴することになる。

 アベノミクスも、サプライサイド経済学を忠実になぞっている。円安株高で大企業・輸出企業を潤したうえ、法人税減税でさらに大企業優遇を強めようとしているのだ。

その推進者の一人、浜田宏一内閣官房参与(エール大学名誉教授)は、「当初金持ち優遇に見える法人税引き下げは、結局は日本に内外の投資を呼び込み、アベノミクスの成果を国民がより継続的に享受するために必要なのである」(「消費再増税『大胆な法人減税が大前提』」日経新聞10月13日「経済教室」)と書き、トリクルダウン理論を展開している。


6)新自由主義経済政策は格差拡大推進だった !


 しかし、企業や富裕層を潤した結果、円安で地方住民や低所得者、年金生活者が傷んでだという証拠は発見できるが、そのトリクルダウン効果で家計などデマンドサイドが実質的に潤ったという証拠は今ところない。

法人税引き下げの結果、浜田参与の言うように「日本に内外の投資を呼び込み」、
経済成長を実現してトリクルダウン効果を発生させることができるか、よくわからない。

 法人税引き下げは利益を計上していない7割の法人には恩恵が及ばない。
法人税引き下げの恩恵を受ける残り3割の法人が、引き下げによる利益拡大を内部留保の充実や自社株買いに充当してしまえば、あるいは海外工場の拡張や海外企業の買収に使ってしまえば、従業員のベースアップや中小企業への下請け代金引き上げなどには回らず「トリクルダウン」は発生しないからだ。

 浜田参与は前述の論文の中で、アベノミクスに対して「『円安で輸出大企業を優遇し、株高で金持ちを豊かにするだけで庶民に利益が回らない』とする批判もあった」と過去形で書いている。
しかし「庶民に利益が回らない」のは現在進行形だし、景気後退と低成長が予想される以上、未来形でもある。

U トリクルダウンの解説:
[英] trickle-down theory

トリクルダウン理論とは、富裕層が経済的に豊かになることで、最終的には貧困層も豊かになり、全体に富が行き渡るという理論、または仮説のこと。
「トリクルダウン」とは、「したたり落ちる」という意味で、富裕層から貧困層へ富がしたたり落ちることを意味している。

V 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の実態

1)アベノミクスの概要

(浜矩子・同志社大学大学院教授の説)

(ア) 大胆な金融緩和:実物デフレに変化なし、バブルだけが猛威を振う。
(イ) 機動的な財政出動:国土強靭化計画・バラマキ政治への回帰、時代逆行
(ウ) 民間投資を喚起する成長戦略:格差拡大が長期停滞の原因、必要なのは、
合理的分配だ
2) 失われた20余年の実態:
2倍以上経済成長の欧米と
20余年停滞の異常な日本
A:@ 株価:
1989年12月末:日経平均:38,915円、 NYダウ :2753ドル。
2010年12月末: 日経平均:10,229円(@の0.26倍)、NYダウ:11,577ドル (@の4.21倍)。

2013年12月:日経平均:16,291円(@の0.42倍) 、NYダウ:16,086ドル(@の5.84倍)。


B:@ 名目GDP:
1991年:日本:467兆円、米国:5,9兆ドル、

2010年:日本:480兆円(1.03倍)、 米国:14,6兆ドル(2.47倍)

 2012年:日本:472.6兆円(1.01)米国: 2013年:16.7兆ドル(2.83) 

 

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