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アベノミクスの第1の矢の土台になっている考えは、イエール大学名誉教の浜田紘一の考えである。
デフレ・インフレは貨幣現象であって、モノに対して貨幣の量が多ければインフレになり、少なければデフレになる。インフレになると景気がよくなり雇用が増す。デフレになると不景気になり雇用が減る。だから、貨幣を供給すればインフレになり、デフレ克服が可能だ。というもので、極めて単純明快である。
その考えは理屈としては正しいが、現実はそうではない。山に登るとき地図を見て、山の入り口から頂上まで一直線に線を引いて登ろうとするようなものだ。
これは無理である。登れない。現実は川あり谷あり崖ありで、紆余曲折を経て辿りつく。無理して強行すれば、がけから転落し大変なことになる。
浜田の言うように貨幣を供給するだけでは、景気は良くならない。無理してやれば、賃金は上がらずインフレだけすすみ、生活はますます苦しくなる。要するに浜田の考えは、机上の空論だ。学者のよく犯す間違いだ。現実が理解できていない。
すでに日銀は、この10数年、ゼロ金利政策や量的緩和政策を行ってきた。それでもデフレは克服できない。その理由は何だったのか。
銀行が企業に貸し出さない。バブル崩壊を経験して慎重になっているからだ。企業も不安で投資しない。結局、その金は安全な国債に流れている。国が潰れるのはまだあとの話であろうから、国債はとりあえず安全である。
とにかく不安があって国債に銀行のお金が流れ、その国債を日銀が量的緩和で買い、銀行にお金をばらまく。すると銀行はまた国債を買う。これがこの10年続いてきたわけで、貨幣供給だけでは、ダメだ。浜田の考えには、なぜ銀行が企業に貸さないのか、企業はなぜ投資しないのかの分析がない。
国民はみんな不安に思っているから消費しない。雇用保険が充実していない。失業したら大変だ。国は生活保護法で絶対救わない。だからお金を使わない。老後が心配だ。だからまたお金を使わない。現在、日本の貯蓄の約半分は老人のものと言われる。しかし老人はいつ死ぬかわからないから、使えない。国民に安心を与えないと消費は増えない。
だから安心革命が必要だ。年金で十分生活ができるようにすることだ。失業しても生活ができるようにする。
政府は生活保護の予算を削り、何兆円と公共事業にお金を出している。ゼネコンは儲かるが、波及効果が無い。阿部総理はそのへんがわかっているので、垂れ流したお金のあとで賃上げを企業に要求した。しかし、企業の賃金は経営者と労働者が交渉で決めるべきもので、政府の言うことではない。
政府のできることは、非正規雇用の最低賃金を上げることだ。不利な立場にいる人を保護するのが政府の役割で、やっていいこととやって悪いことの区別がついていない。
日本の最低賃金はこれまで時給650円から750円だ。近年は少し上がってきたがそれでも低い。同じ経済レベルヨーロッパの半分だ。ヨーロッパ先進国は平均1500円の時給だ。二倍にせよとは言わないが、1000円は欲しいものだ。
だが、そうすると経営者は「パートを雇わなくなり失業がますます増えるだろう」と言う。
確かにそうだろう。経営者の立場も分かる。そこで経営者の負担を減らすことも大切だ。まず医療・介護を税方式にすることだ。現在の保険方式では経営者が折半で保険料の半分を払う。それを税方式にして負担を減らす。折半をなくする。財源は所得税の累進度を上げることで解決する。1980年代の税制、つまり最高税率を今の40%から60%に戻すことだ。
また厚生年金の脱退自由を認めることだ。経営の苦しい会社は国民年金に入るとよい。これで折半が消える。
その代わり、雇用保険に全労働者を加入させる。現在、週労働時間20時間未満は雇用保険に入らない。そこで全労働者雇用保険に加入させ、週20時間未満は保険料全額会社負担にするとよい。20時間を越したら現行通り、原則折半にする。経営者は折半に持ち込みたいから、すぐにパートの労働時間が増え、ワーキング・プアーはなくなる。
また年金で生活できるように、最低保障年金を創設する。基礎年金に10万円ほどプラスすることだ。現在の国民年金の実際の平均受給額は5万年、厚生年金が15万年、共済年金が20数万円。これでは生活ができず、貯蓄し、不安で使わない。だから貯蓄を使わせるため最低保障年金が必要だ。
現役世代や老人に安心を与え、さらに非正規雇用の賃金をあげる。そうすると、すぐ消費が増え景気は良くなる。これが正しい政策だ。
黒田日銀のようにインフレターゲットなど格好つけなくても景気はすぐよくなる。雇用も増える。
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