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工夫しながら古里の味/井上能行のふくしま便り
2013年2月26日 東京新聞 「3・11後を生きる」 より
テストには必ず正解がある。しかし世の中には、正しい答えが見えない問題がたくさんある。今回は、そういう話を書きます。
福島県産のコメは今、米袋を一つ一つ検査してから売られる。学校給食で地元産を使う自治体が増えている。福島民報によると、平成23年産米は15市町村だったが、24年産米は38市町村に増えた。科学的に安全だから地産地消に戻るということだ。
一方、消費者庁などが開いた県民講座で「放射線量の高い所に住んでいるのだから、食品による内部被ばくはできるだけゼロにしたい」と若いお母さんが訴えた。給食にはより安全なコメを、という気持ちはよくわかる。
福島市の隣にある川俣町では6年前、給食センターをつくった。完全給食は「悲願」だったという。町内の農家が学校給食協力会をつくり、お米だけでなく、新鮮で安全な野菜を供給してきた。協力会の人と子どもが一緒にジャガイモ掘り、といったイベントで「顔の見える給食」を目指した。
町の広報誌に1年後の様子が載っている。給食がきっかけで葉野菜、トマト、チーズなどを食べるようになった子どもがたくさんいる。母親からも、献立の参考にしていると好評だ。
それが原発事故で一変、県外産の食材を使っている。
同庁でも1月からコメは地元川俣産コシヒカリに代えた。検査は5回で、最後は炊きたてのご飯を町の放射性物質検査センターに持ち込む。
給食センターの栄養教諭井間真理子さんは「一番大事なことは安全な食べ物を提供すること。今までは、食中毒を起こさない、異物の混入を防ぐ、でしたが…」と寂しそうに話す。
みんなが安全と安心を求めて苦しんでいる。正解はなくても、救いはないのか。
そう思っていたら、今月5日の献立に「シャモのブイヨンスープ」があった。川俣シャモは川俣町の特産品で、東京スカイツリーの展望レストランでも使われている。
町教育委員会の女性職員は「毎月、必ずシャモの料理があるんですよ。値段が高いから、献立作りは大変だと思います」と笑顔で説明してくれた。食材は県外産でも、郷土料理の「ひきないり」も献立表にあった。古里の味を伝える努力は続いていた。(福島駐在編集委員)
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