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偽りの原発稼働ゼロ方針 (東京新聞2012.10.1 私説・論説室から)
野田佳彦政権が「原発稼働ゼロ」方針の閣議決定を見迭った件は多くの読者が竟えているだろう。政府の方針がグラグラしているのはあきらかだ。
ところが、もっと重大な問題がある。実は「ゼロ方針」自体が表向きにすぎず、実態は「原発依存度15%案」なのである。
どういうことか。ゼロ方針を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」には別紙があり、そこに2030年の省エネ量や節電量、再生可能エネルギーの電力量の目標が記されている。
それをみると、政府が6月末に公表した30年に原発依存度ゼロ、15%、20〜25%という三つの選択肢のうち、ゼロ案ではなく、15%案のシナリオで想定した目標数字とぴったり合っているのだ。
たとえば、省エネ量はゼロ案なら八千五百万㎘が必要になるが、15%案なら七千二百万㎘ですむ。ゼロを目指すなら前者を採用しなけれぱならないのに、なぜか達成が容易な後者の数字を目標にしている。
同様に節電量や再生可能エネの電力量、さらに消費生活に密着する家庭用燃料電池や次世代自動車の新車販売台数も15%案で掲げた数字と同じである。
これでは言葉でいくら「原発稼働ゼロ」を宣伝しても、実際にはゼロにならない。原発事故であれほど情報操作が批判されたのに、国民をあざむくような話である。政府に反省はないのか。(長谷川幸洋)
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