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報道では、最終処分場の平松町での無記名住民投票の結果をうけて、岩手県の低レベル放射性物質含有のガレキ焼却を浜松で行うかどうかの最終判断を、鈴木市長が示すということでした。
以前の意見への返事をいただきましたが、新潟県知事が環境省にあてた、質問状に関してのコメントがありませんでした。今時点にいたってもなお、環境省は、新潟県に対して質問状への返答はしておらず、このことは、瓦礫焼却による放射性物質拡散の安全性についての、明確な科学的根拠のないままに、東京都、島田市、北九州市などで、健康についての責任などもてないその地の首長の判断により、強行されている現状にあるといっていいと思います。
今回、市長が最終的に判断するということなので、以下の点について、直接鈴木康友市長のご見解を伺いたいと存じます。
(公開に問題がなければ、市長の返事について、公表いたします)
1 放射性物質に関する浜松市の認識について
原子力発電所等の施設から排出される低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶等に封じ込め、放射性廃棄物を処分するために整備した我が国唯一の最終処分場において処分するという厳格な対応をとっている。また、環境中への放射性物質をやむなく放出する場合においても、厳格な基準を遵守し、その基準を満たすことを確認するための排ガス等の常時監視などの措置をとることとされている。放射性廃棄物を処分するために整備された青森県六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにあっては、埋設を行う放射性物質をセメント、アスファルト等で固化することなどを規定し、埋立総量も上限を定め、更にその周辺の放射線モニタリングを徹底し行うことで国から事業許可を受け、事業を行っている。
(1)震災後制定された法令により、放射性廃棄物の処分を想定していない市町村の廃棄物処理施設で放射性廃棄物の焼却や埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を常時監視しないなど、震災以前の規制を緩めたことは、浜松市は、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクを高めることを許容したということでよいか。
その場合、その考え方は何か。また、その決定に至る議事録等を示されたい。このリスク管理の原則の変更は、市長の政治的責任や、最終処理場の地域住民の多数決で決定できるような問題ではない科学的な問題であることを、鈴木康友市長は厳しく認識されたい。
(2)ICRPの1990年勧告では、低線量・低線量率の発がん確率について「線量反応関係には真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない。」とされている。いくら基準値を下回ったと言っても、一般ごみ焼却場での、岩手県の瓦礫焼却を行う場合、放射性物質が濃縮拡散することになるが、その場合、発がんについての閾値を設定できないとするICRP勧告を破棄したということになるが、鈴木市長は、責任を負うということであれば、その科学的根拠を明らかにされたい。
(3)浜松市長は、放射性物質を扱う専門組織及び専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることの妥当性をどう考えているのか。
環境省細野大臣に対して、新潟県泉田知事は、市町村が行う放射性物質の管理に係る予算措置や職員の教育訓練を実施しないのか、また、管理の実効性を確保するためにどのようなことを行うつもりかと、本年5月21日に質問状を提出しているが、返答が得られていない。
2 放射能対策についての技術的問題について
焼却した場合に、セシウムがガス化(原子化)し、従来のダイオキシン対策で作られたバグフィルターでは、原子サイズのセシウムを捕捉することができない。しかし、鈴木市長の責任で、瓦礫焼却を判断するということであれば、以下の疑問点については、十分根拠をもって説明できると考える。市長におかれては、是非その根拠について、ご回答を願いたい。
(1)環境省の資料では、「排ガスは冷やされて、気体状あるいは液状のセシウムは、主に塩化セシウムとして固体状になり、ばいじんに凝集したり吸着する。」とあり、全てのセシウムが塩化物となることを想定していると考えられる。
市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、セシウムは何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。
(2)震災がれきを焼却している施設では、国の指導に従って通常の測定方法(JISZ8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」)により検体を採取、測定し、排ガス中の放射性セシウム濃度としているが、ガス化している放射性セシウムがある場合は正確な測定でない可能性があるが、これに対する科学的検証を示されたい。
(3)静岡県島田市の災害がれきの試験焼却の結果において、公表されているデータによれば、焼却から発生する排ガス、ばいじん等の一連の行程での放射性セシウムの物質収支量を見ると、4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その原因と理由を示されたい。
3 放射能対策についての管理面の問題について、以下の問題点について、環境省よりの回答が新潟県に対して得られていない。この状況で、放射性廃棄物を浜松市で受け入れ、管理してゆくことが妥当である根拠について、示していただきたい。
(1)震災以前は厳格に国が規制していた放射性廃棄物の処分について、これまで放射性廃棄物の処分の経験がなく、また、放射能に関する専門職員及び組織を持たない市町村に委ねることは、放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を市町村に転嫁しているように見えるが、トラブルが生じた場合、国はどのような具体的な責任をとるのか。(現に国の基準を満たした焼却灰を埋め立てたにも拘わらず、その排水から放射性セシウムが基準を超えた事例が見られている。)
(2)放射性廃棄物の処分のために設置されている青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、管理期間を概ね300年と見込んでいる。
放射性セシウムの半減期は30年であるが、市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や封じ込めのレベルをどの程度と見込んでいるのか。
また、市町村最終処分場の埋立期間は概ね15年とされているが、その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか(「廃棄物最終処分場の性能に関する指針(平成12年12月28日付け)(環境省)」第四1(1)性能に関する事項に「埋立処分を行う期間内(十五年間程度を目安とし、……)とされている。)
(3)群馬県伊勢崎市の最終処分場や千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、国が示した排水基準の目安を超える放射性セシウムが検出されるなど、実際に放射能の漏洩等、現に管理できていない事例が見られる。
放射性物質の取り扱いの経験のない多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、本来、国で一元的に管理すべきではないか、根拠を示されたい。
4 実質的にリスク管理ができない中での瓦礫の広域処理が、いま現在必要なのか
(1)環境省ホームページ等を基に推計すると、平成26年3月末における地元未焼却量の推計は98.4万トンとなり、これは、広域処理を行わなくとも、平成26年3月末から岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で焼却処理が終わる量である。一方、4月17日付け環境省資料によれば、既に162万トンの広域処理が現実的なものとなりつつあるとのことなので、これ以上の広域処理は不要ではないか。
(2)仮設焼却炉を岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中又は設置予定であるとのことだが、これらによって全ての災害廃棄物を本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。
(3)このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
(例)岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり16,300円なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり59,000円となっている。広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。)
(4)このような不透明な状況で、ガレキ広域処理を浜松市が受けることは、一定の受注業者への利益供与のために、浜松市住民、および、平松町の住民に対して、発がん閾値の存在しない放射性物質拡散のリスクを負荷することになるとみられてもやむを得ないと考える。さらに、そのリスクは、年余にわたって発癌効果を示すもので、とても、鈴木康友市長が、政治的にも道義的にも責任を負うことができるものではないと考えるが、その点についてのご見解を、是非示していただきたい。
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