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これぞ、ジャーナリズム 今西憲之さんのメルマガ、講演
http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/2699.html
投稿者 たおたお 日時 2012 年 7 月 07 日 23:16:33: cd/HIhWUkLsWg
 

まいど、いまにしです。
福島原発の真実 最高幹部の独白 今西憲之、週刊朝日取材班著(朝日新聞出版) 
http://p.tl/-qcO

の発売から、10日ほどが経過しました。
多くの方から、さまざまな反響をいただき、感謝です。
アマゾンでは、原発の本のカテゴリーでトップにもしていただき
ありがたい限りです。もっと、トップが長く続くように、よろしゅうたのんます。
著書について、多くあった質問に、私なりの見解を書きたいと思います。
この号は、転載、引用OKです。

1 なぜ、最高幹部という匿名なのか?

最高幹部を取材するにあたり「情報源の秘匿」について、私が過去の取材で経験したことがないほど、きつく求められました。
「情報源の秘匿」は、記者にとって絶対に曲げられないものです。もし、情報源が明らかになれば、東京電力のことです。
ひどい仕打ちが待っている。
エリートでもある最高幹部の未来を、私のペンで壊すことはできません。
一方、原発の本当の姿を伝えるには、最高幹部への取材、生の声、その内容を限られた部分でも報じる価値は十分あります。
10年、20年後に実名で書くのか、匿名でいま書くのか。
私は、いま、書くことを選びました。
いま、書くべき内容、価値があると判断したからです。
いま、書くには、こういう書き方をするしかなったということです。
「情報源の秘匿」と私の力不足から、取材した中身の2、3割程度しか書くことができませんでした。
いつの日か、すべてを書くことができればと思っています。


2 最高幹部は実在するのか?

この本は基本的にほとんど、私が執筆しています。同じ程度の本が2冊書けるほどの原稿を書き、
削り落として、この分量となりました。
この世に実在しない人のことを、そんなにたくさん書けるわけありません。
3月に政府・東京電力統合対策室 (旧:福島原子力発電所事故対策統合本部)から、
原発事故から昨年12月までの会議録が公表されました。

http://www.nisa.meti.go.jp/gensai/files/zentai/zentai_09.pdf

9月13日の会議録。
<(東電吉田所長)ここで言った内容が今回の週刊誌に載っていることから、
これを聞いている人の中のどこかにXさんがいる。(中略)
一方お願いであるが、このような記事が重要視されない広報の在り方を検討>

こう述べているのは、福島第一原発の吉田所長(当時)である。
<ここで言った内容>というのは、週刊朝日で私が書いた原発ルポの第2弾で
この会議の模様を詳細にリポート。
それを指している。リポートできたのは、会議にアクセスできる最高幹部がいたからです。
この会議は大臣も出席するほど重いもの。私が盗み聞きなどできません。
<Xさん>といない人を呼びかるわけありません。記事が事実であるという前提です。


3 今西さんは本当に原発の中に入って取材したのか? 誰かに撮影してもらったものではないのか?

私は昨年春から秋まで複数回、福島第一原発に最高幹部の了解のもと、いきました。
原発ルポを週刊朝日で発表後も、中に入っています。とても広い原発。その中の地理や
位置関係などは、原発作業員と対等に話ができます。
原発内は防毒マスクに、防護服、高い放射線。限られた過酷な条件で撮影した写真、
動画。素人ではあそこまで撮影できません。プロでも、1度であそこまで撮影するのは
不可能でしょう。

さきほどの会議録の9月6日を見ると吉田所長は
<(東電吉田所長)1点お願いだが、週刊朝日の記事について、内容は極端な話を言えば間違っていないと
自分は思っている(中略)そもそもなぜこんな記事がニュースになっているのか、
プレスに現場を公開しないからであると数ヶ月前から私は思っている。被ばくを気にしないのなら、
プレスに公開すれば良いではないかと考えている。本店の広報に改めて、広報戦略を考え直して欲しいというのが、
1F所長としての意見である。>
吉田所長は私の記事を認めて、そう話している。
プレスに公開という訴えは、まさにこのとおりです。


4  危ない原発に行くことに問題はないのか?

行かず、政府、TEPCOの言うがまま、報じている方がおかしいのです。
危ないから行かない、何かあれば責任をとらなくてはならない。
大手メディアの考えはこんなところでしょう。
これなら、責任の所在がない役所、官僚と同じ。
現場に行かず、大本営発表ばかり報じることで、格好よくいえば、
国民の知る権利に応える報道ができるのでしょうか。
山のように、日本には記者、カメラマンがいます。一人くらい、
こんなアホがあっても、かまへんでしょう。

5  東京電力や政府から圧力はありませんか?

長くこの商売をしていると、いろんな知り合いがいます。
TEPCOにもいます。
以前にもメルマガに書きましたが、ある大手新聞社の記者でTEPCOと
関係が深い人から、さかんに会いたいという話がありました。
TEPCOの幹部からも
「私たちことも、ご理解を」
と連絡があったこともあります。
どこかで「TEPCOがボーナスもらうなんて、もってのほか。
給料は今の半額。電気料金値上げする前に自分の足元をみろ」
という趣旨の発言をしました。すると、TEPCOの人から連絡が
あり
「ボーナスでない、給料下がるでは、社員の士気が下がります。
原発の収束作業も遅れるかも」
というので、大ゲンカになりました。TEPCOのおかがで、どれだけ
多くの国民が恐怖にさらされ、士気が下がっているのか、わかってへん
のですわ。
政府からは、特にありません。
原発に行き、あまりに警備態勢がいい加減だったので、それを
民主党の閣僚経験者や自民党の防衛のスペシャリストに検討を
求めてからは、健康を案じる連絡はよく頂きました。
圧力はこれからでしょう。私だけでなく、TEPCOに批判的な人間は
いじめられるシーンがあると思います。税務署なんかは、要注意です。
しかし、それを恐れていては何もできません。

6 原発ルポを書き、本を出し、原発でたくさん儲けた、そのために書いている?

2月に確定申告をしました。
昨年の収入は前年比で、ムチャクチャ増えたことはありません。
原発ルポを週刊朝日で書いた原稿料も、普段と同じです。
はっきり言って、もっと楽な取材をしていたほうが、
危険もなく、効率よく稼げます。ずっと、商売繁盛でしょう。


7 本にサインがほしい?

〒1048011
東京都中央区築地5−3−2 朝日新聞出版 週刊朝日編集部
に本を送っていただければ、サインして返送いたします。
本以外へのサインでよければ、送付先を教えて頂ければと思います。


最後に


先に書いた、会議録。
9月13日には、東京電力の西沢社長がこう述べている。
<(西澤社長)
・先週、某週刊誌のルポライターが無断で1F構内に入り、いろいろ記事化したが、
昨日も同じルポライターが同じ週刊誌に記事を書いたようで、事実関係を現在チェックしている。
外部の者が許可なく構内に立ち入っていろいろ記事化することは言語道断で許されることではない。
導いた人がいるとしたらそれは決して許されない。この行為は法律上違法となるが、
倫理上でもやってはいけないもの。やっていいことと悪いことのしゅん別をしっかりやっていただきたい。>
このコメントについて、東京電力本店の管理職の一人は
「西沢社長は、週刊朝日の記事を見て『原発の中をこんなに報じられると、まずいじゃないか。
今まで広報が努力してきたこと、どうなるのだ』と怒っていた。通訳すれば、週刊朝日に本当の
原発の写真がでてしまった、これまでうまく事故を小さく見せるように、うまくごまかしてきた。
広報のがんばりが水の泡という意味です」
そう教えてくれた。そして、こうも付け加えた。
「会議には大臣も来ます。そこで、1週刊誌の記事が何度も話題になる。東京電力、
政府としても看過できなかった記事だということ。的を得た、いや得過ぎた内容だったから。
どうでもいい記事を議題にあげていれば、忙しい大臣からどやされますよ」

西沢社長は、強く私のことを非難している。
「違法」「倫理」「しゅん別」などと、ほざいている。
原発を爆発させ、10万人を超す人たちの故郷を奪い、命を落とした人もいる。
離婚を余儀なくされた人もいる。
事故から1年が経過し、今もって警戒区域の自宅には戻れない。未来永劫の帰れない人もいる。
警戒区域には国民の税金でつくった国道があるにもかかわらず、そこに足を踏み入れることもできない。
行けば罰金をとられ、前科前歴となる。警戒区域は今や、日本の国土ではないような状況だ。
多くの人の人生を狂わせた。警戒区域の入り口は24時間、警察の警備がかためている。これもまた、税金だ。
勝俣会長の自宅まで警察がいる。
事故のおかげで、多大な税金がすでに投入されているのだ。
そんな状況に追いやりながら、東京電力の社員はボーナスまで支給されている。
どっちが「違法」なのか、「倫理」「しゅん別」はあるのか。
事故を収束でけへんくせに、えらそうに言うな。


ツイッターやFACEBOOKなどでも、たくさんのご意見、ご批判、ご指摘、
感想をいただきました。感謝です。
感想を寄せてくれた方の一人に、自民党職員の田村重信さんがいます。防衛、軍事の分野では屈指の専門家である田村さん。
私が見てきた生の原発とテロについて、情報交換をしました。「原発がそんな状況とは信じられない」と田村さんはすぐに

<自由民主党政務調査会  原発警備に関する検討会>
http://blogos.com/article/6341/

で警備体制について、議題をだしてくれました。
「こういう状況を、政府は出さない。マイナス情報だから。国の一大事、そんなことを言っている場合
じゃない。先に生の情報をあなたのおかげでこちらが掴んだからよかった。テロリストが先だったら日本は
おしまいだよ」
と田村さんは取り上げた背景を、こう語ってくれました。
そして、田村さんは本の感想を、ツイッターでこう書きこんでくれました。
<この本は今西さんでないと書けない。他のマスコミは安全な場所で論評するだけだから>
わかる人には、わかってもらえる。それでええんです。
書いて、よかったです。

これからは今西さんファン作成の講演録の一部です。

「放射能のサウナ、原発にいって、はっきりいうて、ギャラはかわらへん。
いっても全然、商売繁盛しません。けど、なんでいくのか。
記者やからです。サラリーマンやないからです。
原発に何回もいく。万が一のことがあると、命が失われます。
そんなん、わかってますねん。
けど、私の後ろには、毎週、何十万って読者付いてます。
もしもがあれば、週刊朝日の編集長とか、えらいひと、
大変ですわ。クビかもしれん。
そら、長年、いっしょにやってきた同志です。
いろいろ考えます。
けど、なんで、毎週、雑誌をつくってんねん、そら、読者が
おるからです。
原発に、何回も飛び込む、そら、そこで勝負かけたんです。
ずっと、私は原発の近所にいってた、会社にいわんと。
数人は知ってましたけどね。
少々、いっても大丈夫やとは思っていた。
毎日、作業員は朝出掛け、夕方に帰るのですからね。
ただ、記者として、そのリスクを負って書くかどうかです。
サラリーマンなら、出世考えて、上司のこと思い、いかへんのが
正解ですわ。
けど、私はしがないフリーライターです、個人商店。
商売繁盛ってずっといいますが、それ以上の後ろの読者、お客さん。
一番、知りたいのは原発がどないなっとるんかです。
だから、恰好よういうたら、勝負かけました。
自分もやし、一部の会社のえらい人にも迷惑掛けるかもしれんと
おもうてです。
たぶん、もしものことがあったら、えらい人、ほんまえらいこと。
けど、原発で万が一でしょう。
その瞬間、うらまれる。たぶん、あほな今西をほっらかしにと
左遷でしょう。せやけど、そんなえらい人、絶対を何年かしたら
うらめへん、私のこと。
なんでやいうと、体張って、読者を思うていっとるからです。
腰引けて、記者クラブや会社の出世、新聞協会賞とか自分の利得ばかりなら、
ずっと私もうらまれとる。
そこが違うんです。
(略)
普通、こんなんするのはアホです。
もうかりもせんのに。
けど、こんなんするアホがおるから、世の中、おもろいんです。
(大拍手)
(略)
そんでもって、テプコみたいな、会社のえらい人、あんな対応したら、
子供の根性、曲がります。退職金、年金、ようさんもらえても子供の
根性、まがったら、あかん。
もし、原発でもしものことある。うちは裕福な家やない、決してね。
路頭に迷うかもしれんです、子供たち。けど、根性は曲がらへんと信じてます。
うちのお父ちゃん、アホやけど、一生懸命、最後まで読者のこと思い、
書いたんやもんって。
(大拍手)
(涙、涙)
まあ、そんなアホがおっても、ええやんかって話ですがな。
まいど、おおきに。  

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